ケネディスクールの教授陣や学生たち、あるいは卒業生達は、しばしばそのスピーチの中で、あるいは日常会話の中で、母校のことを「コミュニティー(共同体)」と表現します。
ジョン・F・ケネディ大統領の就任演説における余りにも有名な一節
“Ask what you can do” 「(政府に頼るのではなく、まず)自分にできることは何か問いたまえ」
がケネディスクールを形作る哲学になっているからでしょうか、世界中から集う学生たちや教授陣は、Self-Absorbed(自分のことだけに没頭する)に自分自身の勉強・研究や就職活動に没頭するだけでケネディスクール・ライフを送るのではなく、
「ケネディスクールという共同体を少しでも良いものにするために、自分は何ができるだろうか?」
と自分自身に問いかけ、そしてそれを仲間と共に実際の行動に移していく人物が極めて多いのです。
例えば毎年9月から10月にかけて盛り上がるケネディスクールの一大イベントが「KSSG(Kennedy School Student Government)」という学生組織の代表(President)以下、幹事を決める選挙。
「ナンだ、いい年して生徒会長の選挙に盛り上がるなんて・・・」
とシニカルになってしまう読者のみなさんこそ、是非この時期にケネディスールを訪問していただきたい。
候補者の名前を掲げる巨大なバナーや選挙ポスター、大量に飛び交う選挙公約のビラやE-mail、さらには、候補者同士の公開討論会と詰めかけた学生との間の真剣勝負の質疑応答など、キャンパス内はそれこそ、さながらアメリカ大統領選挙を思わせるような熱気に包まれます。
さらに、各候補者を手弁当で助ける大勢のボランティアの存在も本物の選挙を彷彿とさせます。候補者の名前や経歴、公約を刻んだ、そして忙しい学生たちの目にパッと留まるようなキャッチフレーズを考え、それをビラやバナーに落としこんでキャンパス内で選挙戦を展開するのはボランティアの同級生たち。
勉強や就職活動に忙しいのは皆同じ。そういう中で、自分のことだけを考えるのではなく、
「自分が所属するこのコミュニティーを少しでも良くしていくには何が必要だろうか」
と真剣に考え行動する。そして落選という、努力が全て無に帰してしまうかもしれないリスクを取ってでもなお、KSSGの代表に立候補し戦う友人たちの姿には胸打たれるものがありました。
ケネディスクールではこの他にも、様々な個別勉強会や著名人を招いての講演会、出身国の伝統や文化を伝えるイベント、そしてボストン近郊でのボランティア活動等、実に多くの学生たちや教授陣がケネディスクールというコミュニティをより豊かなものにするために活動しています。
お陰でケネディスクールのキャンパス内はいつも様々なイベントを宣伝するビラで大賑わい。こうした雑然とした活気のある雰囲気は、僕が愛する母校、早稲田大学と似たものを感じます。
こんな雰囲気の中、昨年の秋学期は初めての海外での生活・勉強という環境に自分を適用させると共に、膨大な量の課題と戦うだけで精いっぱいだった自分も、今年は「共同体を少しでも良くしよう」というパブリック・マインドに溢れた行動派の友人たちに鼓舞されたこともあり、色々な課外活動の実施に関わってきました。
その一つが「クラス・アドバイザー」としてケネディスクールに新しい仲間として入ってきたMPP Class of 2009の新入生達にかかわる仕事。そしてもう一つが、ケネディスクールの日本人会である「Japan Caucus」の代表としての仕事です(つづく)。
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