ハーバード・ケネディスクールからのメッセージ

2006年9月より、米国のハーバード大学ケネディスクールに留学中の筆者が、日々の思いや経験を綴っていきます。

非日常的な日常の風景

2008年05月13日 | 日々の思い

 

  ケネディスクールのキャンパスで、ケンブリッヂの町で日々何気なく目にする風景や出会う人々、そして交わす会話の一言一言は実は現実離れした「非日常的な日常生活」であり、一たび日本に戻り仕事を始めれば、一日、また一日と泡沫の夢のように淡く消えて行ってしまうようなものかもしれない。

 一方で約720日間のこうした「非日常生活」での出会いの一つ一つは、今後自分が日常を強く太く生き、そしてそこにほんの少しでもポジティブな変化を起こしてくための糧となるべきものなのだろう。

 そして、ここでの「非日常的な日常生活」を、後になって単に懐かしむためだけのものではなく、今後日常を航海していくための羅針盤とするために、日々の出会いを形のあるものに残しておきたい。

 思い返せば、留学生活が始まって間もない2006年10月にこのブログ「ハーバード・ケネディスクールからのメッセージ」を付け始めたのはこんな思いからでした。それから1年7か月が過ぎ、いよいよ卒業、つまり「非日常の終わり」と「日常の始まり」が近づきつつあります。

 そこで今日の記事では、字で埋め尽くされたいつもの記事から趣向を変えて、僕がシャッターに収めた普段何げなく目にしている非日常的な大学周辺の風景を展示して行きたいと思います。

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  こちらはハーバード・スクェアに面した大学の入口。本に刻まれたVE RI TAS(真実)の文字が、ハーバードに集まっては散じる学生たちを見つめます。

        

 通学途中に必ず目にする美しいメモリアル・ホール。南北戦争で亡くなったハーバードの学生たちを追悼するために建てられたといいます。また、日露戦争中に米国世論を日本に引き付けるべく金子堅太郎が講演をした、そして今はオーケストラや学部生の授業のために使われている有名なサンダーズ・シアターはこの建物の中にあるのです。

     

 こちらはサイエンス・センターの入口。置き石にはじける涼しげな噴水に子供たちが遊ぶ姿はリーディングや課題で煮詰まった僕の気持ちをいつも和らげてくれました。

    

 赤煉瓦と芝生の緑が美しく映えるハーバード・ヤードの風景。一日一日と暖かくなり、ハーバードの風物詩ともいえる芝生に寝ころびながら分厚い本を読む学生たちも多くなってきました。

    

 そんなハーバード・ヤードを美しく晴れた春の日も、凍てつく雪あらしの日も見つめ続けるジョン・ハーバードの像。この像にまつわる三つのウソ(①像はジョン・ハーバード本人ではなく当時の学生、②ジョン・ハーバードは大学の創設者ではなく寄付者の一人、③像の横に刻まれた設立年1638年は1636年の誤り)は、東京から友人や家族が来るたびに何度紹介したか分からないくらいです。

    

 こちらは、ヤードの影の主人公?リス。寒い冬を乗り切るため、春から秋までは基本的に食べることしか考えていません。

     

 キラキラと光るチャールズ・リバーを横切るレガッタもハーバードの美しい風物詩の一つ。

    

 図書館から抜け出して川べりでぼんやりとコーヒーをすすったり、川に向かってパブリック・スピーキングのクラスの予行演習をしたのが懐かしく思い出されます。

    

  チャールズ・リバーを横切りケンブリッヂ市からボストン市へと入る地下鉄レッドライン。特に学期中は常に図書館か教室に詰めていたため、地下鉄に揺られてボストンに出向くのはちょっとした「遠出」でした。

    

 ハーバード・ブリッヂから臨む美しいボストンの風景。春から夏に季節が変わるにつれ、リバーに浮かぶヨットの数もどんどんと増えていきます。

    

 そして今日5月13日は2回目の結婚記念日です。

 米国留学という非日常生活を共にしてくれ、そしてこれから始まろうとしている日本での日常生活を共に創ってくれる妻へ感謝しつつ、二人で見上げた夕焼け空。すると一台の飛行機が飛び立ちました。

    

 あの飛行機はどんな日常に向かっていくのだろうか?

 美しい風景に囲まれた非日常的な留学生活も残りわずかです。


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