ハーバード・ケネディスクールからのメッセージ

2006年9月より、米国のハーバード大学ケネディスクールに留学中の筆者が、日々の思いや経験を綴っていきます。

追伸 -報告会のお知らせ-

2008年06月09日 | 日々の思い
 「ハーバード・ケネディスクールからのメッセージ」読者の皆さんへ  2002年の立ち上げ以来これまで6年間にわたり共に活動を続けてきた「官民協働ネットワーク Crossover21」の仲間たちが、この度、僕が2年間の留学経験について皆さんにご報告する機会を用意してくれました。  ブログ読者の皆さんがお気づきの通り、2年間で大理論を発見した訳でも、最先端の知識を身につけた訳でも全くないのですが、 . . . 本文を読む

おわりに

2008年06月07日 | 日々の思い
   こんな風にして、非日常的な日常の連続であった僕の2年間の留学生活はその幕を閉じようとしています。  未だ様々な疑問、葛藤が渦巻いている自分ですが、一つだけ一点の曇りもない思いがあります。  それは、多くの、本当に多くの人への感謝の気持ち。  ケネディスクールの友人達、事務の方々、教授陣、食堂のおばちゃん、おじちゃん、PAEのクライアントや夏・冬のインターン・ボランティアでお . . . 本文を読む

非日常的な日常の風景

2008年05月13日 | 日々の思い
    ケネディスクールのキャンパスで、ケンブリッヂの町で日々何気なく目にする風景や出会う人々、そして交わす会話の一言一言は実は現実離れした「非日常的な日常生活」であり、一たび日本に戻り仕事を始めれば、一日、また一日と泡沫の夢のように淡く消えて行ってしまうようなものかもしれない。  一方で約720日間のこうした「非日常生活」での出会いの一つ一つは、今後自分が日常を強く太く生 . . . 本文を読む

Havard Kennedy School ~ Ask what you can do!! ~

2008年03月15日 | 日々の思い
   「Ask what you can do --- 君自身が何をできるか問いたまえ・・・」  ケネディスクールのミッションであるこのフレーズとともに現れるJohn F. Kennedy大統領の力強い表情。  3月の上旬より、ケネディスクールのウェブサイトが全面的に改められました。   トップページでは、ケネディ大統領がアメリカ国民、否、世界中の「市民」に向けて発したメッセージ . . . 本文を読む

ケネディスクール生の卒業後の進路

2008年01月28日 | 日々の思い
   卒業に向けた最後の直線である春学期のスタートを水曜日に控え、学校ではShoppingと称する「授業の見本市」が始まり、一気にあわただしくなってきました。そんな中、昨年の春、一緒にSpring Exerciseを戦ったクラスメートのジェフから全校生宛に送られたきたのが、「Committee on Public Service」というタイトルの非常に興味深いメール。  ケネ . . . 本文を読む

日本の民間非営利セクターについて考える(最終回)

2008年01月12日 | 日々の思い
 日本の民間非営利セクター、そしてそれを支える寄付やボランティア活動は、なぜ諸外国と比較して低調なのか?  これまで、日本の経済構造や雇用慣行、そして宗教にスポットを当ててこの問題を議論してきましたが、今日は日本の政府と社会の関係から考えてみたいと思います。 仮説5:政府によるクラウディング・アウト(Crowding-out:押しのけ)効果   政府と民間非営利セクターとの間のトレードオフの . . . 本文を読む

日本の民間非営利セクターについて考える(その3)

2008年01月10日 | 日々の思い
仮説3:“母のような”企業と業界団体  Johns Hopkins(ジョンス・ホプキンス)大学のCenter for Civil Socitey Studies(市民社会研究所)が取りまとめたレポート「Global Civil Society Overview」では、民間非営利セクターの規模だけでなく、その活動分野についての調査結果もまとめています。それを見ると、教育(23%)に次いで大きいのが . . . 本文を読む

日本の民間非営利セクターについて考える(その2)

2008年01月09日 | 日々の思い
 「なぜ日本の市民社会(民間非営利セクター)は振るわないのか?」   「なぜ日本の民間非営利セクターに人と金が回らないのか?」。    今日の記事ではJohns Hopkins(ジョンス・ホプキンス)大学のCenter for Civil Socitey Studies(市民社会研究所)が取りまとめたレポート「Global Civil Society Overview」に . . . 本文を読む

日本の民間非営利セクターについて考える(その1)

2008年01月08日 | 日々の思い
  政府の失敗と市場の失敗を補う存在として世界的にその存在感を増しつつある非営利民間セクター。一方で、Johns Hopkins(ジョンス・ホプキンス)大学のCenter for Civil Socitey Studies(市民社会研究所)が2003年4月に公表した「Global Civil Society Overview」によると、日本の状況は、民間非営利セクターで働く人の割合で見て . . . 本文を読む

民間非営利セクターの国際比較(その1)

2008年01月03日 | 日々の思い
   寒々とした冬の立ち木をオレンジ色に照らしながら、凍てついたチャールズ・リバーに沈んでいく夕日。今日もボストンの気温はマイナス10度。体感気温はマイナス20度にもなる外気に包まれると、長時間の作業で曇った頭も一気に澄み渡ります。  朝から大学にこもって取り組んでいるのは、  「グローバルなレベルでのNPO(民間非営利)セクターの動向の把握と、アメリカ・イギリス・アイルランド・イ . . . 本文を読む

New Year Resolution

2008年01月01日 | 日々の思い
    2008年。僕にとって30代最初の年が幕を開けました。  米国で自分の好きな勉強に没頭できる時間も残り半年となり、年の後半、7月からは東京の職場に復帰することになります。  ケネディスクールでの学びを総決算し、新しい職場での挑戦が始まる年、たくさんの別れと出会いを経験する一年でもあるでしょう。  そんな一年のスタートに当たってのResolution(抱負)は、 . . . 本文を読む

秋学期を終えて

2007年12月20日 | 日々の思い
   人もまばらになったケネディスクール。今日締め切りだったFinal Paperを提出し終えて、怒涛のようだった秋学期の終わりにほっと一息。しかし、同時にこれでケネディスクール生活の4分の3が終わってしまったことを考えると、何やら早くも寂しさを覚えてしまいます。  ふと思い立って教室の扉を開けてみる。つい最近まで熱気あふれる議論が繰り広げられていたのが嘘のように静まり返る教室。普段 . . . 本文を読む

1周年、そして30周年

2007年10月30日 | 日々の思い
    昨年の今日、正しく「非日常的な日常」の連続であるこのかけがえのない日々を形に残し、できる限り多くの人々と共有しようという思いで始めた「ケネディスクールからのメッセージ」。  早いもので今日で開設から一周年を迎えるに至りました。以前、「100回目のメッセージを綴るにあたって」の記事でも書きましたが、「ケネディスクールからのメッセージ」は、僕が日々の経験を題材に自分の考 . . . 本文を読む

アメリカが直面する最大の問題(その2)

2007年10月14日 | 日々の思い
 アメリカ社会をジワジワとしかし着実に蝕む肥満の蔓延。しかし、どうして過去20年間で肥満がこれ程までに広がってしまったでしょうか?  この点につき、先月末の「ボストン日本人研究者交流会」でHarvard School of Public Health(ハーバード公衆衛生大学院)のエースであるⅠ君が「パブリック・ヘルスのすすめ」というテーマで行ったプレゼンテーションは極めて示唆的でした。  I . . . 本文を読む

アメリカが直面する最大の問題(その1)

2007年10月13日 | 日々の思い
 「アメリカが現在直面している最大の問題は何か?」と問われたら皆さんは何を挙げられますか?  9.11以降のテロとの戦い?拡大を続ける財政と貿易の双子の赤字?加熱する移民受入れの是非を巡る議論?あるいは際限なく広がる所得格差を挙げる人もいるかもしれません。  しかし、僕が今日取り上げる問題はこのどれでもありません。  アメリカ社会をジワジワとしかし着実に蝕み、アメリカ経済・社会、そして財政に . . . 本文を読む