今日の昼過ぎに三重県立美術館に行ってきました。今回は『川喜田半泥子のすべて展』です。
川喜田半泥子(かわきたはんでいし)については全く知らなかったのですが、1878年生まれ、1963年没。三重県津市出身、家業の木綿問屋を継ぎ、さらには百五銀行頭取をするかたわら、陶芸、書画、木版画、建築、写真、俳句など多方面で才能を発揮したとのこと。
本名は「久太夫政令(きゅうだゆうまさのり)」と江戸時代の大名みたいな名前ですな。
この展示会では川喜田氏の作った茶碗を中心に、その他の陶芸品、書画、写真などがたくさん展示されていました。
茶碗については、色々な土、釉薬を使って様々な器を作っていて、「片身替(かたみがわり)」という2種類の粘土で作った茶碗や、「呼継(よびつぎ)」という1つの器に新しい粘土を継ぎ足して新たな器にするという、特殊な作り方に興味を覚えました。
伊賀水指 銘「慾袋」という作品では、割れた部分を青海波文の金蒔絵の継(つぎ)で塞いでいる部分もまた面白い。
むしろ面白かったのは書画。軸などに
「大夢出門」(タイムイズマネー)とか「愛夢俱楽通志友」(アイムグラッドトウシーユー)と英文に漢字を当ててしたためているのには笑えました。
また、知人が自分の病気を見舞ってくれたことに対する礼状では、文章とともに虎(半泥子本人)が布団に寝ながら酒を飲んでいる絵がユーモラスに描かれており、これまた笑えました。
『蓮の葉仏図』では、
「蓮の葉にたまりし水ハ
釈迦の涙かありがたや
ところへ蛙がピョコト出て
それハあたいのシッコだよ」。
そんなのがたくさん展示されていました。