さて、美術展ハシゴの2件目は、ふたたび国立博物館で開催されている
『大琳派展』です。
この展示は10月9日に一度観に行ったのですが、そのときは俵屋宗達の『風神雷神図屏風』が展示されていなかったので、どうしてもこれを観たかったので再度おとずれることに。私が同じ美術展を2度行くのは初めてではないでしょうか。
午後3時過ぎに上野の国立博物館に着くと、「混雑中」の立て看板が。ちょっと嫌な予感がしましたが、上記作品が観られればいいので、気にせず突入。確かに入り口は混雑していましたが、気にせず俵屋宗達の『風神雷神図屏風』のところまで。
目的の場所にたどり着くと、大きなスペースの左側に俵屋宗達の『風神雷神図屏風』が。そして正面左に尾形光琳作の屏風と正面右に酒井抱一作の屏風が。さらに右側に鈴木其一の『風神雷神図襖』が。これら4作品が一堂に会するのは今回が初めてとか。この光景には本当に感動しました。
この広いスペースでは来場客の列はぐちゃぐちゃに崩れていて、みんな好き勝手に作品に近寄ったり遠くから眺めたりしていたので、私も同様にしてじっくり鑑賞できました。
俵屋宗達作品はこちら。
尾形光琳作品はこちら。
酒井抱一作品はこちら。
鈴木其一作品はリンクなしでスミマセン。
一番観たかった俵屋宗達の作品はもっとも色彩が渋く、近くで観ると絵の具があちこち剥げていたりしました。
一方、今回新たに展示された酒井抱一の屏風は最も明るい色彩になっていました。
それぞれ微妙に風神雷神の表情や構図が違っており、4作を比べて鑑賞すると、なかなか楽しむことができました。
ワタシ的には俵屋宗達の作品が一番良く思えました。まず、絵のタッチが最ものびやかに感じたのと、雷神の背中にしょっている太鼓の輪(なんていうのか知りませんが)が屏風からはみでている(切れている)のがダイナミックな印象を受けること。そして色調が他の作品よりも渋いことがワタシの気に入った点です。ただ、俵屋宗達の屏風は4作品の中で最も古く、絵の具が変色しているように思われます。もともと俵屋宗達の風神は、まねをした尾形光琳の作品の風神と同じぐらい鮮やかな緑色だったのではないでしょうか。また、風神雷神の乗っている雲も変色しているようで、これはもともと銀が使われていて、それが錆びて黒くなったように感じました(違っていたらスミマセン)。他の3作品は明らかに墨で雲が描かれているのに、宗達の作品だけ絵の具が違うようで、もし雲が銀で描かれていたとすれば、かなり鮮やかでインパクトのある作品だったと想像できます。
風神雷神図だけでなく、期間入れ替えのため初めて見る作品もたくさんありました。
そのなかで私が最も気に入ったのは『紅白梅図屏風』(伝尾形光琳筆)。これはMOA美術館蔵の
同名の国宝とは違いますが、なかなか大胆な構図でいい作品だと思いました。二曲一双の屏風のつながりの部分で木の幹がだぶっているところがちょっと気になりましたが、作者がはっきりしていれば重要文化財ぐらいにはなっていたのではないかとワタシ的には思いました。
そのほか、『兎に秋草図襖』(酒井抱一作)も良かったデス。襖に細い板をたくさん斜めに貼り、秋風を表現しているところが面白く、襖の外に逃げ出しそうな左隅の兎の配置も秀逸。
さらには本阿弥光悦作の『竹蒔絵硯箱』と『群鹿蒔絵笛筒』も良かったです。
尾形光琳作の
『燕子花図屏風』の代わりに酒井抱一作の『八橋図屏風』が展示されていましたが、これはメトロポリタン美術館に所蔵されている
尾形光琳の作品の写しでしょう。ワタシ的には橋が一切描かれておらず、燕子花のみでシンプルに構成されている『燕子花図屏風』のほうが圧倒的に好きデス。
今回は前回観た作品はおおかたすっ飛ばしましたが、それでもなかなか見応えがありました。
なんといっても風神雷神の4作品を一同に観られるのは圧巻なので、すでに行かれた方も再度足を運んでみてはいかがでしょうか。