遺伝屋ブログ

酒とカメラとアウトドアの好きな大学研究者です。遺伝学で飯食ってます(最近ちょっと生化学教えてます)。

運次第らしい

2015-01-05 23:14:05 | BIONEWS
仕事始めでした。久しぶりに研究室に活気が戻ってきました。しっかし、どいつもこいつも風邪ひいてやがって。(笑) 絶対、俺もらうなぁ・・・運悪いし・・・orz

サイエンスに衝撃の記事が出ていました。
The simple math that explains why you may (or may not) get cancer (Science)
重要なとこはここ→"In mathematical jargon, the graph showed a correlation of 0.81. (A correlation of 1 means that by knowing the variable on the x-axis—in this case, the lifetime number of stem cell divisions—one can predict the y-axis value 100% of the time.) Squaring that 0.81 gives 0.65—an indicator of how much of the variation in cancer risk in a tissue is explained by variation in stem cell divisions."

英語がやな人はブルームバーグの日本語版に解説記事が出ています。
がんの原因、大半は遺伝子や生活習慣でなく生物学的な不運 (BLOOMBERG)
ジョンズ・ホプキンス大学の数学者クリスチャン・トマセッティ氏と遺伝学者バート・ボーゲルスタイン氏が共同でこれまで発表されてきたがん統計を基に計算しました。なにをかって? 生涯における幹細胞分裂とがんのリスクとの相関関係です。その結果、症例の3分の2についてがんの原因は「遺伝子や生活習慣ではなく、生物学的な不運によるもの」で説明できたそうです。残りの3分の1は環境的要因や遺伝子に起因している可能性があるという。まあ、要するにがんになったら、運が悪かったって思えばええわけです。もちろん、3割くらいは日頃の行いと遺伝的なものが効いてるわけですが。
ボーゲルスタイン博士は「喫煙などがんを引き起こす要因のある人々ががんにかからない人生を送るのは、良い遺伝子のせいだとされることも多いが、実際のところは大半のケースで単に運がいいだけだ」とおっしゃってます。彼は、昔僕が電子メールで彼の論文で使われたDNMT1破壊細胞株をくださいってメールしたら、すぐにドライアイスいっぱいの発泡スチロールに入れて、元株のHCT116といっしょにくれたので、とてもいい人です。たぶん。w
ちなみに、乳がんと前立腺がんなどの一部のがんは、幹細胞分裂の信頼できるデータが得られていないので、この計算からは除外されているそうです。乳がんと前立腺がんって、ホルモン性のがんですね。

野菜多く食べる男性、下部胃がんリスク減 国立がん研(朝日新聞) - goo ニュース
約15万人について、食事に関するアンケートから1日の野菜摂取量を推定。摂取量ごとに5グループに分け、平均約11年間追跡して発症状況を調べたそうです。けっこう大規模な調査ですな。この結果、1670人に胃がんが見つかり、うち1412人が胃の下側3分の2に発生する下部胃がん。喫煙や塩分摂取などの影響を除いて分析すると、男性で野菜摂取量が最も少ないグループの下部胃がんの発症リスクを1としたとき、最も多いグループは0・78だったそうな。2割ほど低かったわけです。まあ、サイエンス誌の記事を読んだ後だとありがたみがないですが、胃癌の原因はたいがいピロリ菌なので、野菜の摂取とピロリ菌との関係が推察されます。日頃の行いもそれなりに大切なんで、野菜食べましょう。うん。

本日のお酒:なし
コメント
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