遺伝屋ブログ

酒とカメラとアウトドアの好きな大学研究者です。遺伝学で飯食ってます(最近ちょっと生化学教えてます)。

ゼウスの娘達

2010-04-20 22:54:09 | BIONEWS
皮膚・骨髄に新万能細胞 再生医療へ活用期待 東北大(河北新報) - goo ニュース
皮膚や骨髄は新しい細胞をバンバン作ってるとこだけど、やっぱしそこにはいろんな可能性を持つ細胞があったんですね。そこで選んだ細胞を長時間低酸素や栄養がないなどのストレス条件を与えて細胞を濃縮して培養することで、多能性幹細胞を得ることが出来たそうです。名付けてMUSE細胞。何の略なんだろうね。学問・芸術をつかさどる女神たちのことなんだろうと思うんですけど・・・まさか、イギリスのロックバンドの名前から来てるんじゃないよね。
最初はES細胞やiPS細胞と同じように時間に比例して増殖するが、10~14日ほどで成長は停止ところが問題のように考えられているが、むしろその方が自然でOKだと思う。細胞分裂を限界まで行わず、予防的に細胞分裂を停止し代謝は行うが分裂はしない状況になり、さらに時間がたつと自ら細胞死のプログラムを発動して周囲に迷惑をかけずに細胞死に至る。これを細胞老化から細胞死に至るプロセスです。私は老化を研究している者として若返りや寿命延長を目指すのではなく、正しく老化することの方が重要だと信じています。

さて、このMUSE細胞が再生医療等で使えるかどうかですが、おそらく使える疾患や疾病はあるだろうと思います。そういうマイルドで安全そうなところから臨床試験に入るべきで、人為的な操作をやりまくるiPS細胞なんかは基礎研究で使う方を優先したらええんではないんかなと思うんだよ。もちろん、国が心を改めて研究費をちゃんと出しますってんだったらやればいいんだけどさ・・・。
研究の当事者達でさえ数年先の展開を分からずに突っ込んで行ってるところがあるんだ。先のことは神様だけが知っている。だから流行している研究とは別ルートで出てくる研究まで予測した支援なんて国のお役人や議員さん、特に、蓮舫さんには無理でしょう。ごちゃごちゃ言わずにある程度のばらまきは『種まき』だと思って許容しないといかんと思うよ。素人という自覚があってこそ仕分けが出来るってもんだろう。

本日のお酒:熊本米焼酎白岳 しろ
コメント (2)
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