滋賀県 建築家 / 建築設計事務所イデアルの小さな独り言

建築家・清水精二のブログ、何でもあり独り言集・・・。

免震建築物

2015年03月22日 | 建築

春ですね・・・。皇子が丘公園の初御代桜(ハツミヨザクラ)も満開になっています。それで・・私は花粉症が絶好調になって、鼻水をかんでばかりいます。ちなみに、1年前の記事を読んでみると同じことが書いてありました。(私の場合、初御代桜が満開になる頃が花粉症の絶頂期になるということですね・・。)

 

という事で、先日、建設中の免震建物を見学してきました・・。最近、問題になっている免震ゴムの「性能偽装」があったからという事ではありません。友人から免震建物を建設していると 聞いていたので、前から「1回見に行くわ」と言っていて、見に行ったのがたまたま先日だったというワケです。それで、やはり一番最初に友人に聞いてしまったのが、「ここの積層ゴムって、例のメーカー製と違うにゃろ?」でした・・。友人は「ちゃう、ちゃう、B社製の積層ゴムや!」って言っていましたね。

免震建築物について簡単に説明すると、従来の建築物(耐震構造)は、地面の上に建物が建っているので、地震の揺れが地面から直接伝わり、建物が大きく揺れます。しかし、免震建築物は、地面の上に免震装置があって、その上に建物が載っているので、地震が起こったときに免震装置が地震の揺れを吸収することによって、建物に地震の揺れが伝わりにくくなるワケです。その結果、建物には、免震装置で吸収できなかった地震の揺れが少し伝わるだけになります・・。

それでは・・免震装置って、どのようなものかメチャクチャ簡単に説明します・・。免震構造は、アイソレータダンパー という・・あまり耳慣れない装置で構成されてます。アイソレータは建物を支え、地震が起こったときに建物をゆっくりと移動させます。アイソレータの種類としては、積層ゴム、すべり支承(ししょう)、転がり支承 などがあります。、これらのうち、最近、「性能偽装」問題になっているのは、積層ゴム(下の画像)というタイプのものになります・・。(下の画像の積層ゴムは、例のメーカー製のものではありません。)

もう一つの装置、ダンパーは建物を支える役目はせず、アイソレータだけでは、いつまでも続く建物の揺れを止めることができないので、ダンパーが抑える働きをします。種類としては、オイルダンパー、鋼材ダンパー、鉛ダンパー などがあります。誤解を恐れずに、免震装置をもっと極端に言ってしまえば・・アイソレータが建物の下に置く防震パッキンのようなもので、ダンパーが建物の揺れを抑える振れ止めのようなものです・・。

 一般的には知られていないことだと思うのですが、現在の耐震設計法(建築法令)では、比較的頻繁に起こる中小地震では、建物にほとんど被害が出ないように設計し、極めてまれに起こる大地震では建物の崩壊によって、人命が失われないことを前提に設計されています。つまり、大地震では人命が失われなければ(避難するために必要な一定時間内に建物が崩壊しない)、その後は建物が修復不可能な状態まで壊れることを許容しているのです・・。

現在の耐震設計法の延長では、建物に強い揺れが発生することは避け難く、大規模な地震に起こった場合、「人の命」は確保するけれども、「資産の安全」(建物の安全)までは確保されていないのが現状なのです。免震構造を採用すれば、大地震が起こっても建物が壊れず、「人の安全」だけでなく、「資産の安全」も確保できるというメリットがあります。震災から人や建物を守るためには、免震建築物が一般に広く普及することは有効な手段の1つであることはお分かりいただけると思います。

では・・なぜ免震建築物が普及しないのかと言うと、1つは、コストの問題もありますが(コストは以前に比べれば安くなってきていますし、普及すれば価格競争も進むので解決すると思います)、一番問題なのは、一般の工務店でも容易に施工できるような工法が確立されていないこと、もう1つは、一般の建築構造技術者でも容易に設計できるような設計法や法令の整備が熟成していないことだと思います。(結局、この2つの問題が一番ハードルが高いということかな・・。)

いずれにしても、免震構造は震災を防ぐ優れた技術なのですから、一般に広く普及することが望まれますよね・・・。

 

 

 

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