三重を中心に徹底訪城 検索「山城遺産」「セルフコラボレーション」 ペン画で歴史を伝承 時々徒然に

中世の城を主に訪城しています。三重県が多いです。百名城は96/100。総数で600城。新発見が4城です。

矢下城(付記 もう一つの矢下城)

2018-01-09 21:54:14 | 松阪の城

 

 

 初回登録2017.08.07

城名
 矢下城
読み
 やおろしじょう
住所
 松阪市嬉野矢下町
築城年、築城者、城主 不明
形式
 山城
遺構
 郭、堀切、帯曲輪、2条竪堀
規模
 中心は30m×10mの主郭
一族
 矢下御所と謂れ、北畠一族と思われる。
家臣
 小川城・上小川城の城主小牧薩摩守が家老を務める。
標高 134m 比高 70m
歴史
 矢下御所という名称も資料に出てくる。
書籍
 松阪市遺跡地図 嬉野史 
 中川駅周辺区画整理事業に伴う発掘調査報告書Ⅱによると 「中村川の中流域の川が山麓から平野部に広がったところに位置する山城で、下流部の森本城跡との関係を有する城跡であろう。」とある。
環境
 北方向から中村川を遡って来る敵に対して有効な場所。
現地
 切岸の急斜面その下に帯曲輪、西側斜面に向けて2本の竪堀。南北の尾根続きに堀切。平成26年6月10日(火曜日)文化財センター、嬉野史より
 平成28年3月23日 訪城。
 この日は城直下より直登をしたが、北尾根の堀切と石組みの門跡のような形跡が虎口に関係する施設と思われるため、本来の登城道は尾根北側の東善寺方面からあったと考える。
感想
 この城がある山は小さいながら急傾斜で足場も緩く悪いため攻めにくい。舌状の先端にあり当時は木立が無いことを思うと360度見晴らしが効く。
 嬉野史や同遺跡地図によると、この城の対岸にある安楽寺の裏山にも出城又は砦があったと示唆している。多気への街道を南北両面から守っていたとも考えられる。対岸の様子を調べてみたい。
 その間の谷に矢下御所の由来となる館なるものがあった可能性もあると思う。館跡などの探索も興味がある。

もう一つの矢下城

平成28年8月31日 遠景撮影 この地は常に逆光の位置にあり遠景の撮影が難しい。
 
平成29年10月26日 上尾根探索
平成29年10月27日 下台地探索
 以前より興味のあった、矢下城の対岸に嬉野市や同遺跡地図にて示唆されている、もう一つの矢下城について現地を見ることにした。
 26日、他の城を探索した帰り道、時間の余裕をみて訪城した。
 地理院地図に記されている登山道を中心に尾根と周辺を探索した。
 早速、削平地が現れてくる。石垣もある。それらが複数混在する。尾根を横切るように道もある。道の脇には小石の集積場もある。これらの集まる場所から上に登ると下から続く登山道だけが残り削平地などは出現しない。
 登山道は深く掘れた所や幅広の所があり、単なる登山道ではないと想像される。恐らく作業用の荷車ぐらいの行き来はあったのではないだろうか。炭焼きとか燃料用の材木の切り出しとかが雑木林から想像される。
 歩き出してから400m、この尾根で一番広いと思われる小ピークに着く。これ以上の標高の所に城跡があるとは想像されがたいのでここが終着点となる。
 小ピークは削平地とは言えない自然地形で岩石も不揃いにあり城跡とは言えない。早々に引き返す。
 今日踏査した部分は近世の畑地の開墾跡と思われる。尾根筋の道は作業用の道であると思われる。この日は日没も近く不案内な土地ゆえ撤退することにした。
 翌27日。
 昨日時間切れとなったもう一つの矢下城探索を行う。今日は山に向かって左側の台地を探索する。嬉野遺跡地図にて正にその「矢下城跡」の活字が記されている場所である。
 昨日と同じ尾根に向かう道の入口を通過、昨日見た削平地や石垣がある一帯を右に見て左に折れて進む。
 すると明るい広い台地に着き、すぐに人の手が入った感触を受ける。
 台地の上側には堀らしき窪みが尾根を横切るように続いているのを見る。その右端の方には大きな丸い窪みを見る。この窪みで瞬間に思い浮かぶのが炭焼きの窯跡であった。堀跡は炭焼き窯や作業場を雨水から守るもののように見受けられる。
 その場所の前方、尾根の下側は広く一部は削平がなされてはいるが全体的には尾根の自然地形で兵が駐屯できるほどの平地ではないと判断する。
 
 昨日の尾根と本日の台地の踏査から中村川左岸・矢下集落北側のもう一つの矢下城は無いと判断した。
 しかし嬉野史が存在を示唆していることから別の場所に何らかの形で存在することは考えられる。
 矢下御所とまで言われた館跡の存在の可能性は高く、神社や寺、およびそれら遺跡と名家と言われる屋敷跡など探索すると今回の北側の位置関係と相まって浮かび上がってくるものがあるのではないだろうかと想像を掻き立ててくれる。
 又新たな情報収集について気に留めておくことにする。
 


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