死者1万4866人に、救援態勢8万人に増強・四川大地震 2008年5月15日
日経 http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080514AT2M1402X14052008.html
朝日 http://www.asahi.com/international/update/0514/TKY200805140297.html
毎日 http://mainichi.jp/select/today/news/20080515k0000m030120000c.html
中国の国営新華社通信によると同国の四川大地震の死者数は14日午後2時(日本時間同3時)現在、1万4866人に達した。中国当局は同日までに総勢8万人の人民解放軍と武装警察部隊を動員、被災地の救援態勢を大幅に強化した。ただ、道路網が寸断されるなどしているため救援活動は難航が続いており、被害はなお拡大する懸念がある。
新華社によると同日午後4時(同5時)現在、四川省だけで死者数は1万4463人。行方不明者は1万4051人、生き埋めになった人は2万5788人、けが人は6万4746人にそれぞれ達している。
震源地であるアバ・チベット族チャン族自治州ブンセン県では南部を中心に壊滅的な打撃が出ていることも判明した。同県の中で最も被害が甚大だったのは南部の映秀鎮。道路の7割が陥没・損壊し、人口1万人余りのうち約2300人しか安否が確認できていない。
病院損壊、人・薬・機器も不足…四川大地震、治療進まず 2008年5月14日 読売夕刊
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20080514-OYT1T00313.htm
中国の四川大地震から3日目の14日、同省都江堰(とこうえん)市内の各病院には、負傷した多数の市民が詰めかけ、治療を待っているが、施設が損壊し使用不能になっているうえ、薬品や医療機器の不足で思うような治療が行えずにいた。
被災地では、倒壊した家屋からの被害者救出作業と同時に、医療支援も一刻を争う事態となっている。
市中心部にある「都江堰市中医医院」は、病棟がつぶれ、入院患者だけでなく、医師や看護師らも犠牲になった。
がれきの中からの救出作業が行われたこの日朝、病院入り口には、作業の遅れにいらだつ患者の家族らが「家族が携帯電話にショートメールを送って来ている。まだ生きている」と詰めかけた。病院責任者は「現場は危険。簡単には作業を進められない」と、説明するしかなかった。
倒壊を免れた一部の病棟も内部が相当に破壊され、入院患者のほとんどは、地震発生後すぐに、約100キロ離れた成都の病院に移送された。医療器具、薬品のほとんども使用不能となり、同医院の医師らは、消毒など簡単な手当てしかできず、病状やけがが重い患者は成都に移すしかない。
一方、病院の向かいにある新建小学校では、レスキュー隊が、倒壊した建物の下敷きになったとみられる数百人の児童の救出作業を進めていた。校門前では、市内の「中国水電十局医院」の医師、看護師らが、24時間体制で待機している。
救出作業が進むにつれ、日ごろから顔なじみだった児童たちの遺体が、病院前の路上を埋め尽くし、看護師らは目を泣きはらしながら、小さな衣服を整えたりしていた。時折、救出される児童も、治療の手段はなく、同医院の手から離れていく。男性医師は「医療従事者なのに、我々は何も出来ない」と無力感を漂わせた。
四川大地震、倒壊の町に届かぬ物資・雨で川、決壊の危機 2008年5月14日 日経夕刊
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080514AT1G1400T14052008.html
路上に横たわる負傷者や住民が下敷きになったがれきの上に冷たい雨が容赦なく降り注いだ。中国・四川大地震の被災地は14日、発生3日目を迎えたが、依然救いの手を待つ人が数多くいる。一部地域には支援物資が届かず、被災者は川の決壊におびえる。拡大し続ける被害に、日本の専門家は「現地の脆弱(ぜいじゃく)な伝統建築が激しい揺れに耐え切れなかった」との見方を示した。
「このままでは地域一帯が水没してしまう」。震源地から約100キロの地点にあり、人口の7割が既に死亡した四川省綿陽市北川県。同市の政府職員らは、消え行く町の姿と遅々として進まない救援活動に、いら立ちの色を隠さなかった。
救援物資届かず、住民ら「食べるものがない」 2008年5月14日 読売夕刊
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20080514-OYT1T00384.htm
中国四川省を襲った大規模地震は12日の発生から3日目に入ったが、被災地では依然として水道や電気などライフライン(生活物資補給路)の復旧が進んでいない。
震源に比較的近く、多数の死傷者を出した綿竹市では、住民が洗面器などを持って水を求め、ガソリンスタンドには長い列ができていた。
市内を走る主要道路の歩道から、大きなバケツや洗面器、ミネラルウオーターの空き容器を持って路肩に下りていく人々が目についた。緑の藻が水面を覆った川に注ぐ地下水をくみに集まった人々だった。
長さ約2メートルの竹の棒を肩にかけ、重たいバケツ2個を運んでいた黄件陽さん(17)は「地震後、水道が止まったまま。ここで水をくむしかない」と、力無く笑った。5人暮らしの自宅は約1キロ・メートル離れた場所にあるが、多い時で1日5回来るという。市場が閉まっているため野菜など生鮮品は手に入らず、めん類だけの食事でしのいでいるという。
綿竹は電気も止まったままだ。13日夜に市中心部に入ったが、商店街には暗闇が広がり、人影はまばら。歩道の植え込みに住民たちがシートで臨時の避難所をつくり、布団や毛布にくるまって寒さをしのいでいた。
水くみ場にいた50歳代の女性は「地震後、家から何も持ち出せなかった。食べるものがない」と言うと、いきなり号泣し始めた。被害の大きい綿竹には、武装警察部隊や人民解放軍が到着し、救援作業に当たっているほか、救援物資も届いているはずだが、住民たちは「私たちは何も受け取っていない」と口々に不満を訴えた。
一方、震源地となった同省アバチベット族・チャン族自治州でも、広範囲にわたって自動車用のガソリン供給がストップしていた。
同州ブンセン県から約250キロ北の紅原県にあるガソリンスタンドでは14日、自家用車や小型トラックが立ち往生していた。家族に会いに行く途中という地元男性は「あちこちを探したが、一滴もガソリンがない。どんどん燃料は減るばかり」と途方に暮れていた。
地元政府の四輪駆動車4台がサイレンを鳴らしながら立ち寄ったが、同スタンドの男性は「燃料はあるが地震後、送電が止まって機械が動かない」とお手上げ状態だった。
近くのスタンドでは、女性の当直が「救援用車両に提供したので、もう残っていない。補給もない」と言い、紅原県の小集落で車の中で寝ていた夫婦は「ガソリンがないからどこにも行けない。また地震が来るのが怖いので毎晩ここで寝ている」と話していた。
被災者が支援物資奪い合い、運搬中の車に殺到…四川大地震 2008年5月15日 読売
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20080514-OYT1T00789.htm
中国の四川大地震から3日目となる14日午後、多数の死傷者が出た四川省綿竹市の農村地区で住民たちが支援物資を積んだトラックを止め、荷台の物資を奪い合う事態が発生した。
地震後、停電と断水が続き、食料が不足するなか、政府の支援が遅れていることに被災者の不満が高まっている。
14日午後3時ごろ、この地区の幹線道路沿いに住民約100人が集まり、「災害支援」と書かれた横断幕をつけたトラックを無理やり停車させ、荷台に積んであった飲料水を箱ごと奪った。
住民たちは、その後も車を止めては物資を奪おうとした。一部は支援のトラックが停車したすきに荷台に入り、支援関係者から引きずり下ろされた。制止に入った公安車両の窓ガラスを飲料水の容器でたたく住民もいた。住民の一人は「被災者なのに誰も助けてくれない。(奪って)何が悪い」と怒りをあらわにした。
当局は、道路沿いに武装警官約30人を配置し警戒を始めた。
数キロ離れた別の地区では、この日初めて到着した支援物資に住民たちが殺到。支援者の制止を振り切り、ゆで卵や飲料水などを奪った。
一方、都江堰(とこうえん)市から震源地のブンセン県に向かう道路は各所で寸断され、車両の通行は不可能な状態となっている。
都江堰市郊外では軍が「安全確保」を理由に二重の検問所を設け、一般車両の通行を制限していた。記者(竹内)が、これを徒歩で抜け、3キロほど山道を登ると、高さ約30メートルの土砂が、長さ100メートルにわたって道路をふさいでいた。
同県まで数十キロの区間に40~50か所の土砂崩れが起き、途中で車両数十台が立ち往生、険しい山道のために車内の人々が取り残されているという。
妻を同県に残している都江堰の自営業、徐暁張さんは自家用車の検問通過は許されたが、土砂のため停車していた。
道路復旧まで待つという徐さんは、「地震後、ブンセンから誰か出てきたという話は聞かない。電話が通じず、妻の安否はわからない」と途方に暮れていた。
成都で飲料水求めパニック ネットが発端 四川大地震 2008年05月15日 朝日
http://www.asahi.com/international/update/0514/TKY200805140289.html
四川大地震の発生から2日が過ぎた。各地で水道などのライフラインに影響が出るなか、震源地に最も近い大都市・成都では14日、断水するとのうわさが飛び交い、飲料水を買い求める人がスーパーなどに殺到、品切れとなる店が続出した。街角ではペットボトルを何箱も積んで走る自転車や、両手の手提げ袋いっぱいに飲料水を詰め込んで家路を急ぐ姿が見られた。
成都で3店を展開するイトーヨーカ堂は、午後3時ごろまでに食品売り場の飲料水が完売した。市中心部にある春熙店では、ペットボトルを棚から奪うようにカートの上下のカゴに詰め込む市民であふれた。箱ごとカートに載せる主婦の姿もあり、レジには長い列ができた。
市西部の双楠店。店頭では、自分が買おうとしたのにペットボトルを横取りされたと、客同士が殴り合う。がらんとした陳列棚を見て「商品を隠さないで出せ」と店にどなる人。「何軒も店をまわって来たのに」と肩を落とす人。1人で200個のパンを買い占める人。
「成都イトーヨーカ堂」の三枝富博社長(58)は「さまざまな情報に惑わされた客が、抑制のきかない状態になりかけていて心配だ」と話す。社員や取引先の中にも、「水がなくなる」と風呂に水をためたりしている人がいるという。
この日に営業を再開した近くの伊勢丹でも、地下の食料品売り場に通常の倍近い客が訪れた。普段はあまり売れない、最も高い1本8元の飲料水を含め、昼過ぎには売り切れた。椿良明・財務担当は「5日間程度断水するという情報が流れた直後から短時間で水がなくなり、牛乳やジュースも売れた」と語った。
うわさの出どころはインターネット上の書き込み。成都の水公社関係者と名乗る人物により「(上流の水源である)都江堰で化学工場が爆発して流出事故があり、成都と周辺地域で間もなく水の供給が止まる。早く水を確保するように」などと記されていた。
書き込みについて中国政府の環境保護省は「化学工場から流出して成都の飲料水源を汚染したといううわさはデマ」と否定している。
市内ではまた、余震を恐れ、自宅に入らず自家用車に寝泊まりする市民らがガソリンスタンドに長い列を作った。中国石油成都支社の幹部は「何時間待っても構わないという市民が朝から行列している」と話した。
中国の地震ですが、死者は1.5万人近くに達しているようです。またようやく救助も本格化しはじめているようですが、これまで救援物資が届かなかった地域では、食料や水を奪うという やり切れない事件も発生しているようです。
中国の場合、ミャンマーと異なり軍(人民軍)が被害者の救出に比較的協力的なのがせめてもの救いなのかな…とも思いますが、このような暴挙を許していては、それこそ食料品や飲料水を効率的かつ必要な方に渡すことができませんし、支援のやり方についても課題が出来たかな…という印象を受けますね。
また、近郊の都市、成都では、ネットから断水の噂が流れ、水を買い溜めする市民がスーパーに殺到するなど、被害を受けている地域以外でも騒動が広まっているのが現実。
瓦礫の中から人を救済するという、最優先しなければならない第一ステージを急がせると共に、次の段階の被災者の支援をどう行っていくのか、難しい舵取りを迫られることになりそうです。
日経 http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080514AT2M1402X14052008.html
朝日 http://www.asahi.com/international/update/0514/TKY200805140297.html
毎日 http://mainichi.jp/select/today/news/20080515k0000m030120000c.html
中国の国営新華社通信によると同国の四川大地震の死者数は14日午後2時(日本時間同3時)現在、1万4866人に達した。中国当局は同日までに総勢8万人の人民解放軍と武装警察部隊を動員、被災地の救援態勢を大幅に強化した。ただ、道路網が寸断されるなどしているため救援活動は難航が続いており、被害はなお拡大する懸念がある。
新華社によると同日午後4時(同5時)現在、四川省だけで死者数は1万4463人。行方不明者は1万4051人、生き埋めになった人は2万5788人、けが人は6万4746人にそれぞれ達している。
震源地であるアバ・チベット族チャン族自治州ブンセン県では南部を中心に壊滅的な打撃が出ていることも判明した。同県の中で最も被害が甚大だったのは南部の映秀鎮。道路の7割が陥没・損壊し、人口1万人余りのうち約2300人しか安否が確認できていない。
病院損壊、人・薬・機器も不足…四川大地震、治療進まず 2008年5月14日 読売夕刊
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20080514-OYT1T00313.htm
中国の四川大地震から3日目の14日、同省都江堰(とこうえん)市内の各病院には、負傷した多数の市民が詰めかけ、治療を待っているが、施設が損壊し使用不能になっているうえ、薬品や医療機器の不足で思うような治療が行えずにいた。
被災地では、倒壊した家屋からの被害者救出作業と同時に、医療支援も一刻を争う事態となっている。
市中心部にある「都江堰市中医医院」は、病棟がつぶれ、入院患者だけでなく、医師や看護師らも犠牲になった。
がれきの中からの救出作業が行われたこの日朝、病院入り口には、作業の遅れにいらだつ患者の家族らが「家族が携帯電話にショートメールを送って来ている。まだ生きている」と詰めかけた。病院責任者は「現場は危険。簡単には作業を進められない」と、説明するしかなかった。
倒壊を免れた一部の病棟も内部が相当に破壊され、入院患者のほとんどは、地震発生後すぐに、約100キロ離れた成都の病院に移送された。医療器具、薬品のほとんども使用不能となり、同医院の医師らは、消毒など簡単な手当てしかできず、病状やけがが重い患者は成都に移すしかない。
一方、病院の向かいにある新建小学校では、レスキュー隊が、倒壊した建物の下敷きになったとみられる数百人の児童の救出作業を進めていた。校門前では、市内の「中国水電十局医院」の医師、看護師らが、24時間体制で待機している。
救出作業が進むにつれ、日ごろから顔なじみだった児童たちの遺体が、病院前の路上を埋め尽くし、看護師らは目を泣きはらしながら、小さな衣服を整えたりしていた。時折、救出される児童も、治療の手段はなく、同医院の手から離れていく。男性医師は「医療従事者なのに、我々は何も出来ない」と無力感を漂わせた。
四川大地震、倒壊の町に届かぬ物資・雨で川、決壊の危機 2008年5月14日 日経夕刊
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080514AT1G1400T14052008.html
路上に横たわる負傷者や住民が下敷きになったがれきの上に冷たい雨が容赦なく降り注いだ。中国・四川大地震の被災地は14日、発生3日目を迎えたが、依然救いの手を待つ人が数多くいる。一部地域には支援物資が届かず、被災者は川の決壊におびえる。拡大し続ける被害に、日本の専門家は「現地の脆弱(ぜいじゃく)な伝統建築が激しい揺れに耐え切れなかった」との見方を示した。
「このままでは地域一帯が水没してしまう」。震源地から約100キロの地点にあり、人口の7割が既に死亡した四川省綿陽市北川県。同市の政府職員らは、消え行く町の姿と遅々として進まない救援活動に、いら立ちの色を隠さなかった。
救援物資届かず、住民ら「食べるものがない」 2008年5月14日 読売夕刊
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20080514-OYT1T00384.htm
中国四川省を襲った大規模地震は12日の発生から3日目に入ったが、被災地では依然として水道や電気などライフライン(生活物資補給路)の復旧が進んでいない。
震源に比較的近く、多数の死傷者を出した綿竹市では、住民が洗面器などを持って水を求め、ガソリンスタンドには長い列ができていた。
市内を走る主要道路の歩道から、大きなバケツや洗面器、ミネラルウオーターの空き容器を持って路肩に下りていく人々が目についた。緑の藻が水面を覆った川に注ぐ地下水をくみに集まった人々だった。
長さ約2メートルの竹の棒を肩にかけ、重たいバケツ2個を運んでいた黄件陽さん(17)は「地震後、水道が止まったまま。ここで水をくむしかない」と、力無く笑った。5人暮らしの自宅は約1キロ・メートル離れた場所にあるが、多い時で1日5回来るという。市場が閉まっているため野菜など生鮮品は手に入らず、めん類だけの食事でしのいでいるという。
綿竹は電気も止まったままだ。13日夜に市中心部に入ったが、商店街には暗闇が広がり、人影はまばら。歩道の植え込みに住民たちがシートで臨時の避難所をつくり、布団や毛布にくるまって寒さをしのいでいた。
水くみ場にいた50歳代の女性は「地震後、家から何も持ち出せなかった。食べるものがない」と言うと、いきなり号泣し始めた。被害の大きい綿竹には、武装警察部隊や人民解放軍が到着し、救援作業に当たっているほか、救援物資も届いているはずだが、住民たちは「私たちは何も受け取っていない」と口々に不満を訴えた。
一方、震源地となった同省アバチベット族・チャン族自治州でも、広範囲にわたって自動車用のガソリン供給がストップしていた。
同州ブンセン県から約250キロ北の紅原県にあるガソリンスタンドでは14日、自家用車や小型トラックが立ち往生していた。家族に会いに行く途中という地元男性は「あちこちを探したが、一滴もガソリンがない。どんどん燃料は減るばかり」と途方に暮れていた。
地元政府の四輪駆動車4台がサイレンを鳴らしながら立ち寄ったが、同スタンドの男性は「燃料はあるが地震後、送電が止まって機械が動かない」とお手上げ状態だった。
近くのスタンドでは、女性の当直が「救援用車両に提供したので、もう残っていない。補給もない」と言い、紅原県の小集落で車の中で寝ていた夫婦は「ガソリンがないからどこにも行けない。また地震が来るのが怖いので毎晩ここで寝ている」と話していた。
被災者が支援物資奪い合い、運搬中の車に殺到…四川大地震 2008年5月15日 読売
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20080514-OYT1T00789.htm
中国の四川大地震から3日目となる14日午後、多数の死傷者が出た四川省綿竹市の農村地区で住民たちが支援物資を積んだトラックを止め、荷台の物資を奪い合う事態が発生した。
地震後、停電と断水が続き、食料が不足するなか、政府の支援が遅れていることに被災者の不満が高まっている。
14日午後3時ごろ、この地区の幹線道路沿いに住民約100人が集まり、「災害支援」と書かれた横断幕をつけたトラックを無理やり停車させ、荷台に積んであった飲料水を箱ごと奪った。
住民たちは、その後も車を止めては物資を奪おうとした。一部は支援のトラックが停車したすきに荷台に入り、支援関係者から引きずり下ろされた。制止に入った公安車両の窓ガラスを飲料水の容器でたたく住民もいた。住民の一人は「被災者なのに誰も助けてくれない。(奪って)何が悪い」と怒りをあらわにした。
当局は、道路沿いに武装警官約30人を配置し警戒を始めた。
数キロ離れた別の地区では、この日初めて到着した支援物資に住民たちが殺到。支援者の制止を振り切り、ゆで卵や飲料水などを奪った。
一方、都江堰(とこうえん)市から震源地のブンセン県に向かう道路は各所で寸断され、車両の通行は不可能な状態となっている。
都江堰市郊外では軍が「安全確保」を理由に二重の検問所を設け、一般車両の通行を制限していた。記者(竹内)が、これを徒歩で抜け、3キロほど山道を登ると、高さ約30メートルの土砂が、長さ100メートルにわたって道路をふさいでいた。
同県まで数十キロの区間に40~50か所の土砂崩れが起き、途中で車両数十台が立ち往生、険しい山道のために車内の人々が取り残されているという。
妻を同県に残している都江堰の自営業、徐暁張さんは自家用車の検問通過は許されたが、土砂のため停車していた。
道路復旧まで待つという徐さんは、「地震後、ブンセンから誰か出てきたという話は聞かない。電話が通じず、妻の安否はわからない」と途方に暮れていた。
成都で飲料水求めパニック ネットが発端 四川大地震 2008年05月15日 朝日
http://www.asahi.com/international/update/0514/TKY200805140289.html
四川大地震の発生から2日が過ぎた。各地で水道などのライフラインに影響が出るなか、震源地に最も近い大都市・成都では14日、断水するとのうわさが飛び交い、飲料水を買い求める人がスーパーなどに殺到、品切れとなる店が続出した。街角ではペットボトルを何箱も積んで走る自転車や、両手の手提げ袋いっぱいに飲料水を詰め込んで家路を急ぐ姿が見られた。
成都で3店を展開するイトーヨーカ堂は、午後3時ごろまでに食品売り場の飲料水が完売した。市中心部にある春熙店では、ペットボトルを棚から奪うようにカートの上下のカゴに詰め込む市民であふれた。箱ごとカートに載せる主婦の姿もあり、レジには長い列ができた。
市西部の双楠店。店頭では、自分が買おうとしたのにペットボトルを横取りされたと、客同士が殴り合う。がらんとした陳列棚を見て「商品を隠さないで出せ」と店にどなる人。「何軒も店をまわって来たのに」と肩を落とす人。1人で200個のパンを買い占める人。
「成都イトーヨーカ堂」の三枝富博社長(58)は「さまざまな情報に惑わされた客が、抑制のきかない状態になりかけていて心配だ」と話す。社員や取引先の中にも、「水がなくなる」と風呂に水をためたりしている人がいるという。
この日に営業を再開した近くの伊勢丹でも、地下の食料品売り場に通常の倍近い客が訪れた。普段はあまり売れない、最も高い1本8元の飲料水を含め、昼過ぎには売り切れた。椿良明・財務担当は「5日間程度断水するという情報が流れた直後から短時間で水がなくなり、牛乳やジュースも売れた」と語った。
うわさの出どころはインターネット上の書き込み。成都の水公社関係者と名乗る人物により「(上流の水源である)都江堰で化学工場が爆発して流出事故があり、成都と周辺地域で間もなく水の供給が止まる。早く水を確保するように」などと記されていた。
書き込みについて中国政府の環境保護省は「化学工場から流出して成都の飲料水源を汚染したといううわさはデマ」と否定している。
市内ではまた、余震を恐れ、自宅に入らず自家用車に寝泊まりする市民らがガソリンスタンドに長い列を作った。中国石油成都支社の幹部は「何時間待っても構わないという市民が朝から行列している」と話した。
中国の地震ですが、死者は1.5万人近くに達しているようです。またようやく救助も本格化しはじめているようですが、これまで救援物資が届かなかった地域では、食料や水を奪うという やり切れない事件も発生しているようです。
中国の場合、ミャンマーと異なり軍(人民軍)が被害者の救出に比較的協力的なのがせめてもの救いなのかな…とも思いますが、このような暴挙を許していては、それこそ食料品や飲料水を効率的かつ必要な方に渡すことができませんし、支援のやり方についても課題が出来たかな…という印象を受けますね。
また、近郊の都市、成都では、ネットから断水の噂が流れ、水を買い溜めする市民がスーパーに殺到するなど、被害を受けている地域以外でも騒動が広まっているのが現実。
瓦礫の中から人を救済するという、最優先しなければならない第一ステージを急がせると共に、次の段階の被災者の支援をどう行っていくのか、難しい舵取りを迫られることになりそうです。
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