手もとに届くまでどれほど待っただろう。昨年の12月中旬という発売予定を知り、e-honに予約を入れた。それが延びる旨メールが入って下旬予定となり、それさえいつしか年を越えてしまった。結局、2月も一週間ほど過ぎた頃、やっと手にすることができた。なじみの書店から、「間違いないないですか?」とわざわざ連絡が来たほどだ。
もともと古代中国を舞台にした小説が好きだ。史実の妙といおうか、興味深いエピソードやトピックの宝庫だ。学ぶべき多くを教えてくれる。中国4千年の歴史、人間が持つ叡智の素晴らしさに溢れている。
読書遍歴を重ねるうちに装丁や挿画にこの人の描く作品が多く用いられているのに気づき、印象に強く残るようになった。
それが 皇なつき作品集「画趣」だ。
「すめらぎ」とお読みするらしい。時代考証もおぼつかない難しい世界だ。史実の基本をおさえつつ、究極の想像力をまるごと働かせ描いていく。腕力を要する作業だが、優美で、繊細で、温もりが伝わってくる画集だ。ページを開くたび魅せられ、癒されている。
燎原の火のごとく反日デモが巻き起こっている。大陸では子孫は学ばなくなったようだ。東北アジア共同体なんぞしょせん幻想に過ぎないのか。ぼくたちはクールに大人の目で見つめている。