hyperclub

パソコン教室アイラブハイパークラブです。
教室に流れるBGMなどを紹介します。

秋の気配

2006-08-30 22:56:00 | 音楽

 定刻にスペイン村の花火があがる。天候が怪しかったけど、大丈夫のようだ。最後のデカイ一発が消えるのを窓から見つめながら、夏の終わりを少し寂しく実感している。

スペイン村の花火が見れるパソコン教室です

 夏休みも後一日だ。各家庭ではさぞかし残り宿題に頭を悩ませておられることだろう。

「だから言っておいたじゃない!」

という家族の叱咤に背中を押され、しぶしぶぼくが宿題に取り掛かったのがちょうど今頃。ぼくの子ども時代だ。喉元過ぎれば…という言葉はぼくのためにある。大人になって夏休みの宿題なんかないが、現実の生活においては似たり寄ったり。し残したこと、しくさしのこと、あれやこれや山のようにある。片付けた後から現われる。永遠の追いかけごっこ。ドラえもんはどこへ行ったのか…。

 さて、縁は異なものと言うが、今日のYちゃんがそうだった。彼女が憧れる存知よりが実はあまりにも自分の身近に居ることが判明した。こう書くと何か意味ありげだが、個人情報に関わるので曖昧にするからであり、知っている人、知りたい人が、灯台下暗し、といおうか、縁続きで、しかも連鎖してることに気づいた訳。

「友だちの友だちは、皆、友だちだあ!」

 これは誠にお得な感慨で、人生が楽しくなる類のお話だ。また、そこから新たなイベントが産まれそうな予感があって、面白そう。合縁奇縁というのね。素晴らしき哉、人生!

 なぜ秋は寂しいのか。ぼくにとって、それは女性の薄着がなくなるからでぇ…、とこれはネタだ。小田和正の自己ベストから「秋の気配」を聴こう。


鮨食いねぇ

2006-08-26 23:52:50 | 音楽

 教室でパソコンを学習なさる淑女の皆さんは、どなたも美食家というか、創る方でも、食する方でも味にはけっこううるさい。さりながら、そんな彼女たちだって、

鮨体験

となると、きわめて少ないことに気づく。

 我々にとって鮨屋というと、「高い!」というイメージがあって、当然敷居が高く、二の足を踏んでしまう。盆か正月、もしくは冠婚葬祭に準ずる、いわばイベントなのかも知れない。もしくは、誰かにご馳走になる。果たして、そうだろうか? いやいや…。

 学生時代のことだ。下宿には、さる御大家のヴァカ大将がおわして、彼に仕送りがあるとよく鮨屋へ連れて行ってもらってご馳走になった。学生街だから、鮨屋の大将も心得ており学生にはリーズナブルな価格で江戸前の握りを饗していた。それでも、僕には縁遠い店のひとつだった。僕が、いの一番に鉄火巻きを注文すると、スポンサーのヴァカ旦那は、
「お前、鉄火、好っきやなぁ!」
と、呆れるが、何、奢られびとの仁義である。お品書き最後尾のもので空腹を充分満たしておいて、どか~んと最後に、
「トロねっ!」
と締めるのだ。奢られるという行為にはある程度配慮を要する。遠慮が次回のお誘いを導く、なんか書いていて、我が青春のショボさが身に沁みる…。

 もちろん、奢られっぱなしではない。バイト代が入れば、当然、返礼の宴を件(くだん)の鮨屋で催す。ここで、ぼくは本物の金持ちの凄さを知ることになる。例のヴァカ旦那、平然と大将に開口一番、
「ぼく、雲丹からねっ!」

「から」に注目だ。
「トロまで」
と続く訳だが、間には、イクラもあれば海老もあるしぃ、…。

 ある意味、学生街の鮨屋というのは、ぼくにとって学校であったかも知れない。

「女の子と一緒のとき、オスマシの具の鯛のお頭は手をつけちゃいけない。喰っちゃ野暮だよ。」

 こんなアドバイスを思い出す。見習いの兄ちゃんは、出前の自転車を器用に操りながらアート・ブレーキーの「モーニン」をハミングしていたし、大将だって休みの日はアイヴィー・ファッションできっちり決めていた。JAZZやファッションについての薀蓄が豊かだった。短すぎる触れ合いだったが、「粋」の何たるかを教わり、トラッドなるものを学んだ気がする。

 さて、話は現代に。鵜方で江戸前のにぎりを気軽に楽しめる店がある。皆さん、もうピンと来てる。そう、おとやである。

 暖簾をくぐって右手、カウンター席が大将を取り囲んでいるから、ずいと右奥へ堂々と詰めよう。そして、主(あるじ)の笑顔を味わって欲しい。もし、ここで、ボヤキが出るようなら、ご機嫌な証拠だ。お絞りで手を拭いたら、おもむろに注文しよう。

「特上鮨ねっ」

 地元産の新鮮なネタ、仕込みの魚屋は地元の名店ばかりだから安心だ。後は大将にお任せで、ひたすら出された本格的なニギリを口に運ぶだけ。鉄火を入れなくても、きっとお腹いっぱいになるはず。お店の雰囲気を充分味わったら、

「お勘定を!」
「ありがとうございます、2,625円いただきます」

 事実である。カウンターだからボラレルという心配なんかしなくてよい。明朗会計だから、そのままお釣りももらおう。

 よく垣間見ることだが、都会からのサーフィンの若者がびっくりしてこう言う。

「ほんとにええんっすかあ? こんな凄いもの食べたのにぃ!」

街の鮨屋ならいざ知らず、これがおとやなのだ。

 懐が豊かな場合だったら、ぼくの場合滅多にないが、

「予算○○円まで」

と言えばよい。適当に見繕って、しかもあなたの想像以上のものが饗されるはずである。ネタについては手を抜かない。元プログラマーだから原則はくずさない、あるじのこだわりだ。座敷もあり気楽に利用出来る。また、ランチタイムには、2品の造りの造りランチ、すしに、プラスうどんかそうめんを選べる鮨ランチの2種類が用意されている。どちらもコーヒーつきで1,050円である。

 都会からの旅人を驚かせ感動させるのに、地元の人には高いだろうと尻込みさせる鮨という食べ物の不思議。こんなじゃ勿体ないと思うので、今夜はあえて書いてみたのだが、ぼくはあのデラックス太巻きが無性に恋しい。

 今夜のBGMは、バニー・ベリガン楽団の「言い出しかねて」。鮨とくれば何故かJAZZがピンと来るのは、そうした時代があったってこと。同じ世代の人しか共有できないことなのかも知れない。


恋におちた時…ボビー・ノリス

2006-08-24 23:19:50 | 音楽

 高校生の駿から、

これぞ僕のMac!!
今日から僕もMacデビューです。よろしくお願いします。

とメールが入った。

 写真も添付されている。

「見せびらかされてしまったぁ…!」

 思わず鏡を見る。大丈夫、ヨダレは垂れていない。

Shun_macbook  インテルMacということは、

アップルから無料のBoot Campというソフトをダウンロードしさえすれば、Windows XP もインストール可能で、いわゆるデュアル・ブートやんか。モニタの上部の穴は「iSightカメラ」だ? 彼女とはお顔を見ながら交信することもできる。

 シコシコと旅館でバイトして頑張ったのは、このためやったんや。偉いなぁ。

 それにしてもデスクトップ画面の可愛いいこと。Macならではのアピアランスには見惚れるなぁ。

 そうだっ、アピアランスといえば、昼食のために車を走らせてる途中、股下80センチはあろうかというホットパンツ姿のオネエさんを見つけて、曲がるべき角を通り過ごしてしまった。そのために細い路地に迷い込んで往生したのだが、これってまだ若い? それともオオバカさん? いや、突っ込まなくてよいよぉ、自分で悟れる知命のオヤジだ。

 ボビー・ノリスの「When I Fall in Love」を聴いて、ヒーリングに余念がない夏の宵。ぼくの中のJAZZモードは持続しており、スタンダードに優しく、懐かしい気持ちにさせられる。カナダ出身のアン・マレーの同曲も味わい深いが、ボビーのはノスタルジーをくすぐる。黄昏れた男が耳をそば立てる、邦題では、「恋におちた時」。


ブログ事情

2006-08-22 22:38:37 | 音楽

 トロントより風の便り☆☆のsuzurinの更新が途絶えている。もちろんサブ・タイトルに、

8月から2ケ月弱、WWOOFでファームステイに行っています。

とあるから、さぞ労働に汗を流していることだろうと理解できるものの、消息がつかめないといささか案じられる。でも、聡明で、タフなレディだから、ネタをいっぱい貯めこんでいるのだろう、と楽観し、楽しみに待っているところだ。

確かな存在の証明…。

 これがブログの効用のひとつだ。

 ぼくが楽しみに巡回しているブログのひとつ、妹姫の「お疲れちゃん」が、宿替えをした。このブログって、ハマるどころか、いっぱい元気をもらえる。見事にキャラが立って突き抜けているから、ぼくのまなざしだって温かく注がれる。追っかけはしないが、ぼくは間違いなく彼女のファンだ。

「頑張れ、YOU!」

 引越し先は、左の「ともだち」を修正したので、クリックしていただきたい。

 さて、かようにお友だちのブログに変更があるので、書いておきたい。引越し組がもう一人、モモちゃんだ。風邪は治っただろうけど、シーズン真っ盛りで超多忙でてんてこ舞いしているのは間違いない。

ももちゃん日記(=^・^=) 

 それと、教室の忘年会でお世話になったホテル マリテーム海幸園 樹風花の女将さんもブログデビューされている。ホテル名に見るごとくコンセプトが出色な宿泊施設だから、情報源としても貴重だ。

~海辺の花ホテル~マリテーム海幸園・樹風花 おかみの物語v(^.^)v 

 今年の夏は短く終わりそうな予感があるのは、ぼくだけだろうか。今日のBGMとしてサザンが流れている。子どもたちは宿題が気になる時期だが、果たして皆さんのお宅では?


ジャズには人を元気にする力がある

2006-08-21 22:04:26 | 音楽

 お盆過ぎに妹が姪と甥を連れて帰省するというので大掃除をした。おかげで納戸か倉庫と呼ぶ方が適切だったぼくの部屋に、書斎とまでは参らぬが、オーディオ・ルーム兼瞑想室兼勉強部屋もどきの不思議な空間ができた。夜に音を出す訳にはいけないので、朝、ジャズを流す。どんなに暑くなりそうな予感があっても、気持ちが弾んでくる。以前修理したCDプレーヤとお隣のシェフのお下がりのテクニクスのスピーカーが利いている。今どきのコンパクトなスピーカーと違い、昔の大口径のものはふくよかな音でジャズにぴったりだ。

ジャズは人を元気にする力がある

 ご存知、「純情きらり」の中の台詞だが、まさにその通りで、ご機嫌なのである。

 となると、レコードが死語になるだろうという予感から思い切って破棄したLPの山が惜しまれる。普段からは考えられない、先走りだった。スウィング系統や、ディキシーランド・ジャズがずい分あったのに。オークションに深入りすれば、レコード・プレーヤはおろかレコード針だっていっぱい出品されているのが分かる。

「何を考えていたのだろう?」
「まあ、勢いでやってしまったことさ…」

 ジャズなんか聴いたことがないという旧友から、

「どんなCDを選べばええんや?」

と尋ねられた。もっともぼくだって好きなブルーグラス・ミュージックに比べたら、初心者も同様だ。偉っそうに、

「お答えします!」

と言える資格はない。でも、こんな提案はできそうだ。Ad_planimg600x4501148582846dsc01407

 テレビ・ドラマやコマーシャルにけっこうJAZZが使われている。しかも、耳になじみやすく、いつか聴いたことがあるといった有名な曲が多い。ここがポイント。実際、ぼくなんかもいちいちトレイに載せ返るのが面倒なので、オムニバス盤をリピートして流すことが多い。こんなのオークションで探せば、いっぱいある。

 オークションページから、

「音楽」→「CD」→「ジャズ」とたどり、
検索の窓に「CM -ECM」と入力してみよう。

Ad_planimg600x4501148582876dsc01409  これは好みだが、CDなのだから新品にこだわることはない。ユーズドだと廉価だから数多く持つとよい。ただ、同じ曲が重ならないようにあらかじめ検討する作業を楽しんで欲しい。落札するのが目的ではない。何を選択するかの吟味に重きを置く。これがhyper流、余暇のつぶし方である。


モーニン…アート・ブレーキー

2006-08-11 22:20:08 | 音楽

 少し動く度に腰周りに違和感があって思わず手をチノーズに当てる。

「ん…? ベルトを忘れてる…」

 最近運動量が多く、汗をかく。だから、チノパンをひっきりなしに履き替える。で、暑さもあって、ついベルトをし忘れる訳だ。

 ところが、このいつもと異なる感覚は、単なるベルトの不在云々というより、物理的にも確実にパンツ(ボトム)が下がる現象から生じている。今まで、ぴったり腰に納まっていたズボンがずり落ちるということは、スリムになったということ。まあ、ここまで引っぱったのは、早い話、自慢したかったん。

 お蔭様で体調もすこぶる順調で、食欲もある。なのにダウン・サイジングだから、気分は明るい。それと、毎朝聴くジャズの効能か、一日中ご機嫌である。

ジャズには人を元気にする力がある

 朝のドラマ「純情きらり」での桜子のお父さんの言葉だが、まさにその通り。ダイナ・ワシントン、サラ・ヴォーン、ヘレン・メリルといった古いアルバムからピックアップしてぼくだけのベストアルバムをこしらえたのだが、これが思いの外功を奏している。特に、アート・ブレーキー&ジャズ・メッセンジャーズによる、「モーニン」は、これも今さらシリーズに属するだろうが、最高である。ファンキージャズの真髄に夏バテなんぞ飛んでいる。


Windowsのアップデート!!

2006-08-09 23:17:06 | デジタル・インターネット

Windowsのアップデートがあったよ。Windows_update 今パソコンをつけていたら、システムトレーに黄色い盾のアイコンがあるか、確認しよう。また、スタートメニューから「Windows UPDATE」をクリックしてから初めてもよい。電源切るときに、しばらく終了するまで時間がかかるけど、やってももよいかな。Koushin この場合、じっくり待つこと。じゃあ閉店、ね。いい夢、みよう。


野球小僧を知ってるかい

2006-08-09 22:21:16 | 音楽

 今年の高校野球は面白い。試合結果の点差が物語るように、ゲームは白熱している。もっとも授業の関係で夕食タイムしか覗けないが、ありがたいことに今年の最終試合は好カード揃いだ。

 初日の第3試合、大阪桐蔭が春の選抜優勝の横浜を下した試合はエキサイティングだった。そのままのめり込んでしまった。もともと判官贔屓の気味があり、たまたまチャンネルを回した瞬間にリードされているチームを応援してしまう傾向がある。その時は2対2の同点。客観的に観戦できたし、春夏連覇を目指す横浜、スラッガー中田翔などを擁する大阪桐蔭の、がっぶり四つの対決は見応えがあった。結果は小さなミスを重ねてしまった横浜が敗退したが、中田のホームランがリアルタイムで観られたのは嬉しかった。

 今大会、打席に立つ打者は誰もが高校生には見えないほど体格が立派だし、バッティング・フォームも堂々としている。また、投球を待つ構えだって、それぞれ個性的だし、ダイナミックだ。これにはバッティング・マシンの果たす役割が大きいのではないか。マシンの存在は速球ばかりか変化球にも存分に目が慣れるばかりか、シミュレーションが利き、充分に対応できる。逆に投手の方は練習はあくまで昔どおり。少し不公平な気がしないでもない。今大会、投手戦が少なく、打ち合い、いわゆる乱打戦に近い試合が多いのも理由はその辺にありそうだ。また、逆転で勝負がつく場合やさよならゲームも目につく。

 負けたら後がないトーナメント戦とあって集中力の高い真剣勝負、プロ野球の試合がかったるく思えるほどのスピード感、高校野球の魅力は色褪せない。やはりチャンネルを回してしまう。 昨日の千葉経大付×八重山商工などはその典型で、八重山のナインの仲間のミスを取り戻そうとする気迫が凄かった。

 ひとつ気づいたのが、ミスの多かった横浜など都会育ちのチームは人工芝の球場で地方大会を勝ち抜いてきたということ。野球は、青空の下で天然芝のグランドで汗まみれ、泥まみれになって闘うスポーツなのだ。バウンドを合わせるにはもっと腰を落とす必要がある。人工芝に慣れるとボールに向かって行く気迫が今イチのような観がしてならない。考えが飛躍するが、スタープレーヤーを多く抱えたジャイアンツの低迷はそこら辺りにある…のでは。と、偉っそうに言っている場合ではない。我がタイガース、首位に5ゲームも離されている。まっ、死のロードが終わるまでは、と、おり込み済みで、まだまだ余裕綽々である。ここから最終コーナーにかけ差し込んでいく虎さんたちが楽しみでもある。
「ドラや、今行っからなっ!」

「野球小僧を知ってるかい、男らしくて純情で…」


手づくりのケーキ

2006-08-03 16:59:54 | 音楽

 この気だるさ、カッタルさは夏バテなんかじゃないと思う。きっと、昨日のボクシングの所為だ。見なきゃよかった。日本人なら何でもありか。ワシ…、正直、恥ずかしい。拳闘なんか二度と見るもんか。日本人、止めたい…。。そして、これからはイタリアンで生きて行く。

 少し機嫌が直ったのは、coco houseさんが持ってきてくれた、手づくりケーキのおかげ。coco houseさん作 昼下がりの珈琲。おっと、お皿がない。お隣のヴェル・ヴァーグ・ヴィアンフェさんからお皿を借りてきて、パチリ。ほんのりとしたほろ苦さが気だるさを拭ってくれる。大人の味、まことに美味である。

 アン・マレーの「Help Me Make It Through The Night」が流れる。クリス・クリストファーソンの曲だ。彼の「For the good times(心の思い出)…レイ・プライス」に次ぐぼくのお気に入りだ。少し心が晴れてきて、イタリア人もカントリーを聴くのだろうか、などと馬鹿なことを考え始めている。


ゲド戦記、観るべし

2006-08-02 23:28:05 | 映画

 2時間ほどの上映時間、我を忘れてスクリーンに引き込まれてしまった。終ってもしばらく席を立てないほど、快い余韻に包まれた。ゲド戦記、ぼくは素晴らしいと思う。

 姉姫様(★アカネのひとりごと2006★)からもらったコメントには、

『結構酷評を聞くので映画館検討中・・・。』

とあり、一瞬躊躇した。彼女の映画評は信頼でき、また半端ではない情報通でもある。果たして評判は正しいのか、

「確かめたろうじゃん!」

の気負いも半分ぐらいあった。

 で、ブログや映画評を一切読まないことに決め、まったく先入観を抱かない真っ白な状態でこの映画に挑んだ。結果、これが良かったようだ。

  • 冒頭から迫力のシーンの連続で息をつかせない
  • 背景など密度の濃い描写と彩色に魅せられる
  • ストーリーに破綻はなく、メッセージ性も充分伝わる
  • 当初主人公アレンの行動に戸惑うものの次第に同化できる
  • 少女テルーの純粋さに共感(歌が素晴らしい効果)し、一体化できる
  • 悪役クモの見事な敵キャラぶり
  • 終盤、ゲーム「トゥーム・レイダー」を操作しているゲーム感覚にも似た臨場感
  • ハイタカとテナー、脇を固める人物の抑制の効いたサポートぶり

と、闇雲に数え上げたが、こんなところか。いや、まだあるかもしれない。もう一度観たくなっている。

 とにかく、ファンタジーの世界に思い切り身を任せ、翻弄されることに快感を覚える2時間である。「ゲド戦記」のゲドとはハイタカのことであり、「アレン戦記」じゃないのは不思議だが、原作の第3巻を取り上げているということで納得すればよいし、原作を読んでみたいという気持ちも強くなる。逆に、本を読んでから映画を観たひとはどう思うのだろう。

 よもや今までのジブリの系譜を引き摺ってこの映画を観る人はいないだろうが、猫バスは出ないことは確かだ。異なる系譜というより、フィルターを外し、独立した作品であるという意識が強い。というより、ジブリが進化しているという印象を強くした。各シーンの色調が渋めで、ダルだが、今まで以上にきめ細かい画風だと思う。「ゲド戦記」は子ども向けではない。大人向けの作品だと思う。ストーリーを追いきれない小学生などには苦しく、逆に絵だけを追う幼児には受けそうな気がする。確かに、ジブリはディズニーではない。久々にビターなチョコレートを味わった余韻がある。

 今回、末っ子とぼくの誕生祝ということで、長男には、チケットから食事まで、すっかりゴチになった。その大散財させたスポンサーもご機嫌で、手放しでこの映画を褒めている。何よりである。

 印象に残る誕生日プレゼントだった。