人妻にして、あるときは、MCも洒脱なミュージシャン、またあるときは、ブライダル・コーディネーターとして数々のウェディングをとり仕切り、またときに、ただの酔っぱらい。そして華麗にミシンを踏み、多忙な傍ら、ブログ「Ohgi」を書きなぐるという、Ohgi嬢の最近の肩書きは、女子大生である。"Mrs.タフ"と呼びたい女性だ。絶対音感の持ち主であり、どんな些細な会話も、サウンドも聴き落とさないが、自分に不利なことだけは聴こえない器用さもある。だからこんなことも書ける訳。
その彼女が苦闘しているのが、「和声2のWeb授業」だそうで(詳細は彼女のブログで)、他の学問も手につかないという。だが、聡明で、とんでもない度胸の持ち主だから、土壇場になればすっきり解決するだろう。
で、その人妻大学生に必修科目である「情報処理概論」を見せてもらった。コンピュータのもっともベーシックな学問である。
8ビットが1バイトであり、半角文字1字(アスキー文字と呼ぶ)に該当する。2の10乗バイト(1,024バイト)が1KBで…。
と、眺めているだけで頭がクラーっとしそうだ。でも、ぼくだって気分は大学生に戻っていくようだ。
1970年代初頭、ぼくが痩せたソクラテスだった頃、パソコンなんて言葉はなく、彼女が使っている教科書だって、ぼくの大学では、「サイバネティックス」と呼んでいた。この学問を究極まで突き詰めたのが、おとやの大将夫妻である。二人とも莫大な給料を手にしていたのではなかろうか。今は、マウスを握らず、絶品の鮨を握っているが、その遺伝子は娘ふたりにしっかり受け継がれている。
その頃の痩せたソクラテスは、端正な顔立ちには不似合いな、祖母手作りの藁草履と越中ふんどしを愛用し、リーバイスのオーバーホールで、裾を目一杯折り返して、キャンバスを闊歩していた。
青春のわかれ道と格好よくいうが、真っ先に受け入れた言葉が、
「常識への挑戦」、「疎外」、「反体制」
ではなかったか。確かにひとつのジャンクションだったような気がしてならない。団塊の世代の末尾にくっつき、いつも背伸びして見えない彼方を覗こうと躍起になっていた。狭い池を海のように感じ、瑣末も一大事と測っていた世間知らずだった。持って生まれた楽天性と天真爛漫さが救いだったように思う。
今、多くの人に接し、多くを学んでいる。あの頃の自分がここに居れば、もっと違う自分になれたかも知れない。こんなこと書けば、akne姫に
「新たな、今さらシリーズですか?」
と、笑われそうだ。
蛇足ながら、さっとんに。団塊の第一陣が定年を迎える。このあたりにビジネス・モデルがころがってないかい?