今年も、君のいない夏を迎えようとしている。依然、忘れものをしてきたような、戸締りを忘れたまま寝込んでしまったような、落ち着かない気分でいる。
もちろんレトリックだ。
3年ぶりの高校のクラス会をやむを得ない事情で欠席した。案じて電話してくれた友に申し訳なく思っている。同時に、ありがたく思う。
- 「ええんや、ええんや」
- 「ウザウザ」
- 「そうなんさぁ」
の、スリー・エレメンツで象徴される、高2のときの、お気楽で、楽天的で居られた仲間たちとの日々を懐かしむ。暫し、いっとき。時間よ、とまれ。
youtubeで、昔の聞きたかった曲を探している。大むかし、なけなしの小遣いをためて1年がかりで買った枕ほどの大きさのラジオ。高校生の自分には不相応なものだったが、短波放送はおろ当時始まったばかりのFM放送まで聴けた優れもの。FEN(懐かしい)のカントリーミュージック・アワーやメリカン・ヘプレ(アメリカン・ヒットパレードがこう聞こえたものだ)、ノイズ交じりの覚束ないサウンドを必死でノートに歌詞を書き写した。睡眠不足の影響は、今、深刻に足の長さに現れている。
もう10センチ、膝下が伸びていれば歴史は変わっていたように思う。
インターネット時代の今、カントリーやブルーグラス・ミュージックの氷河期は終焉した。今は音のみか画像でも、動画でも苦も無く得られる。隔世の感を禁じ得ない。
ようつべで拾った曲は、カバー曲だけど、Rosie Flanaganさんの「Someone Is Looking For Someone Like You」。オリジナルは、Gail Daviesさんの、1978年の作品。長男が生まれた朝、ラジオから流れていた曲だ。
カントリーならではスチール・ギター、ブルーグラスではフィドルと呼ぶバイオリン、郷愁を感じさせる佳曲。