■それまでの明日/原尞 2019.1.7
2019年版 このミステリーがすごい!
国内篇 第1位 それまでの明日
原尞 『それまでの明日』 を読みました。
14年ぶりに帰ってきた沢崎の話。
物語は、このように始まります。
西新宿のはずれのうらぶれた通りにある<渡辺探偵事務所>を訪ねてくるのは、依頼人だけではなかった。
そして、これで終わります。
依頼人の望月皓一に会ったのは、その日が最初だった。そして、それが最後になった。
登場人物は、みな人間的な関わりを求めてやまないのですが......。
探偵を稼業にしてかれこれ三十年近くになるが、依頼人が友人になったことは一度もなかった。仕事が終わったあとで、私の仕事ぶりに満足しなかった依頼人はそんなにいなかったはずだ。友人にしたくなるような依頼人が一人もいなかったわけではない。だが、依頼人が友人になることはなかった。探偵とはそういうものだった。
「それは……いますぐはともかくとしても、いつの日か、あなたの友人の一人に加えてもらえるようになるかもしれない」
「あなたは私が探偵であることを忘れていませんか。私には友人など一人もいません。それはたぶん、私がもし探偵でなければ、私のような男とは決して友人になりたくないからです」
しゃれた会話も随所に。
味方にしても役に立たないのに、敵にまわすと能力を発揮する人間がいるものだが、そんなことにはならずにすみそうだった。
「用心しないと、悪態も依存症になるぞ」
探偵の仕事とは。これが「この物語」の全てなのです。
自分では気づかないうちに、疲労感が食べたこともない南洋の果物の果汁を絞った滓のように留まっていた。歳のせいだとは思いたくなかった。探偵の仕事といえば人の行動を観察することと人の話に耳を傾けることだった。その二つがうまくバランスしていれば、探偵の心身への負担は少なくてすんだ。こんどの仕事はむやみに人の話を聞いてばかりいるようだった。
出てくる人、でてくる人経済的に余裕のある人ばかりなのが、ぼくは少々気になった。
振り返ってみれば、ぼくは会う人あうひと、そんなに裕福な人ばかりとは出会って来なかったような気がするのだが。
読者は、どのような感想を持ったか。
それまでの明日/読書メーター
『 それまでの明日/原尞/早川書房 』
2019年版 このミステリーがすごい!
国内篇 第1位 それまでの明日
原尞 『それまでの明日』 を読みました。
14年ぶりに帰ってきた沢崎の話。
物語は、このように始まります。
西新宿のはずれのうらぶれた通りにある<渡辺探偵事務所>を訪ねてくるのは、依頼人だけではなかった。
そして、これで終わります。
依頼人の望月皓一に会ったのは、その日が最初だった。そして、それが最後になった。
登場人物は、みな人間的な関わりを求めてやまないのですが......。
探偵を稼業にしてかれこれ三十年近くになるが、依頼人が友人になったことは一度もなかった。仕事が終わったあとで、私の仕事ぶりに満足しなかった依頼人はそんなにいなかったはずだ。友人にしたくなるような依頼人が一人もいなかったわけではない。だが、依頼人が友人になることはなかった。探偵とはそういうものだった。
「それは……いますぐはともかくとしても、いつの日か、あなたの友人の一人に加えてもらえるようになるかもしれない」
「あなたは私が探偵であることを忘れていませんか。私には友人など一人もいません。それはたぶん、私がもし探偵でなければ、私のような男とは決して友人になりたくないからです」
しゃれた会話も随所に。
味方にしても役に立たないのに、敵にまわすと能力を発揮する人間がいるものだが、そんなことにはならずにすみそうだった。
「用心しないと、悪態も依存症になるぞ」
探偵の仕事とは。これが「この物語」の全てなのです。
自分では気づかないうちに、疲労感が食べたこともない南洋の果物の果汁を絞った滓のように留まっていた。歳のせいだとは思いたくなかった。探偵の仕事といえば人の行動を観察することと人の話に耳を傾けることだった。その二つがうまくバランスしていれば、探偵の心身への負担は少なくてすんだ。こんどの仕事はむやみに人の話を聞いてばかりいるようだった。
出てくる人、でてくる人経済的に余裕のある人ばかりなのが、ぼくは少々気になった。
振り返ってみれば、ぼくは会う人あうひと、そんなに裕福な人ばかりとは出会って来なかったような気がするのだが。
読者は、どのような感想を持ったか。
それまでの明日/読書メーター
『 それまでの明日/原尞/早川書房 』