保津川下りの船頭さん

うわさの船頭「はっちん」が保津川下りの最新情報や、京都・亀岡の観光案内など、とっておきの情報をお届けします。

保津川花火大会をみて‘今’の社会を見る。

2011-08-08 19:17:38 | プロジェクト・保津川
昨夜は亀岡市が最も熱く盛り上がる夜「保津川平和花火大会」が
保津大橋周辺で開催された。

今年は日曜日にあたることから、花火が打ち上げられる保津川の大橋
一帯には、市内外から花火鑑賞を楽しむ大勢の人でにぎわった。

私は、「NPO法人プロジェクト保津川」が、花火鑑賞者の出す
ゴミを回収する活動「保津川エコ・ステーション」のボランティアスタッフ
として参加した。

このエコ・ステーションは、花火の楽しみのひとつである「夜店・屋台」会場
に分別スタイルのゴミ箱を設置して、飲食後に出たゴミを置き去りにするの
でなくゴミ箱にしっかりと捨ててもらう習慣をつけてもらうために実施する
もので、我々NPOが、主催する亀岡市商工会議所に提案し3年前から
行っている活動だ。
それまでは「ゴミは各自で持ち帰ること」という原則のもと、会場には
一切ゴミ箱を設置しなかったことで、毎年、花火大会の翌朝はゴミが散乱し
街がゴーストタウンの様相を呈していた。
「モラル」に訴えるだけでは物事は何も改善されない。
ゴミ箱を設置することで、今では殆どの鑑賞者が、5箇所設けた
どこかのステーションに持ってきて下さるようになった。
しかも「ペットボトル」「空き缶」「その他ゴミ」と分別して
捨てて下るまで、人の意識が高まったのである。
桂川府議もよく仰るが「動けば変わるのである」

従来のやり方で現状が何ひとつ進展しないなら、いつまでも思考停止状態を
続け、考えないというのではなく、新たなアクションを起こし実践してみることで
事態を改善するという「実例」を示せたものと自負するところである。

回収集計は1000Lゴミ袋が96袋も出た。種類はペットボトルとかき氷の容器
で7割以上を占め、この時期の屋台商品の売れ筋も把握できた感じだ。

さて、今年の保津川花火大会、観覧できるスポットが増えた。
そう、我々の仕事場である保津川下りの乗船場と堤防の法面だ。

今年2月の乗船場移転に伴い旧乗船場跡のスペースが空いた上に、
新たな乗船場や新社屋と川岸までの階段、新堤防の法面などが
河川改修工事により整備され、図らずしもそこが絶好の花火観覧席
として新たに創造される形となったのだ。

皆さん、よく知ったもので、営業が終了した保津川下りの乗船場には
椅子やテーブル、ピクニックシートなどを広げて早くも陣取り合戦が
はじまり大勢の家族連れやカップル、グループで打ち上げ2時間前には
隙間もないほどに埋め尽くされた。

最終船に行きそびれた保津川下りの舟もつないであるが、別に亀岡らしい
雰囲気を演出したわけではない。ただ単にお客さんの数が予想より少なったため、
舟の用意はしたものの出航できなかっただけ、ただそれだけなのだが・・・
花火が上がる頃には辺りは暗くなり、川畔は足場もわかり難くなり
「川に落ちたりしないか?」「法面から転げ落ちたりしないか?」
心配していたが、聞くところによるとやはり「けが人」もあったようだ。

関係者からは「来年度からは立ち入り禁止の規制も含め対策を考えなければ・・・」
などの意見もある様だが、本来は「何処で見るか」や「何か事が起こった時」
なども、規制ばかり掛けるのでなくあくまで自己責任で判断していただきたいもの。

折角いいスポットが新たに出来たのに「ここもダメ、あそこも立ち入り禁止」の
方向にすぐ傾くことは寂しい限りだ。
川の難が起こるとすぐに「川は危険だか近づくな」という発想と
同じように感じる。

これも何かあるとすぐに他者(管理者)に責任の転嫁や所在を追及する
という国民の「甘えの構造」に起因するものだろうが・・・
なんとも閉塞感をおぼえる話だ。

海外諸国のような原則「自己責任」という成熟した思考と意識が
日本はあまりにも低いと感じる。
その意識が、公共スペースでの礼儀や遊び方も知らない人種を
増殖しているような気がしてならない。

花火大会を少し異なる角度から見るだけで‘今’の社会を
少し垣間見ることができたと感じるのである。

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