保津川下りの船頭さん

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京都の正月料理「白味噌のお雑煮」

2008-01-06 20:24:51 | シリーズ・京都を食う!
日本人のお正月の食べ物として真っ先に思い浮ぶのが
‘お雑煮’という方も多いのではないでしょうか?

全国各地ではその地方独自のご当地雑煮があると
聞きますが、私達の住む京都地方のお雑煮といえば
白味噌仕立てでいただく‘お雑煮’が慣わしです。

白味噌汁の甘いかぐわしい香りとまったりした食感、
これを食べると「新年がやって来たんだな~」と感じます。

京都地方のお雑煮はこの白味噌汁に、丸い餅とカシライモ
かコイモ(サトイモ)などのイモ類や、大根の輪切りを入れ、
削った鰹節をたっぷりかけて食べるのが
伝統的なお雑煮スタイル。
これら汁に入れる具にはそれぞれ意味があり、カシライモ
には「人の上に立ち‘頭’になる」という縁起を、また
大根には子孫繁栄を願う思いが込められているのです。

さすがは1000年の都として国の中心にあった場所
だけあって、年頭の願いも上昇志向と血族の繁栄という
都の風土が作り出した慣わしだったのでしょう?

この白味噌の歴史は平安時代にまでさかのぼり、
宮中料理に使われたのが始まりと云われています。
京都の‘水’のよさがまったりとした味の白味噌つくりに
適していたことで、上品な甘みと香りを醸し出すことに
成功したそうです。
今でも京都の白味噌つくりは、水道の水を使わず、
井戸水を使って作っているお店が多いのです。

白味噌は冬の‘京の味’として、豆腐料理や
懐石料理、精進料理などにも多く使われ、
京都人のみならず観光客の舌も魅了しています。

豆腐料理では、南禅寺豆腐や嵯峨豆腐、祇園豆腐
有名で、丹波料理の代表格・ボタン(イノシイ)鍋
にも白味噌を使用する京料理屋も多い様です。

京都では正月三が日の朝まで白味噌汁の雑煮で、
四日目からは鏡開きで切られた御鏡餅を四角い切り餅
にしてすまし汁でいただきます。中に水菜や畑菜を
入れあっさりいただくの慣わし。そして明日の
7日目に七草粥へと移っていき、京都の正月料理
は終りを告げるのです。

この白味噌仕立てのお雑煮は、京都と滋賀県、大阪の
一部のみで、お隣の奈良などは切り餅を焼き、アツアツの
すまし汁に水菜と一緒に入れ食べるのがお雑煮文化らしく、
古都としてお互い古い伝統ある両地域のお雑煮文化には
大きな違いがあり面白さを感じます。

ちなみに奈良県出身の我が妻は未だに、この白味噌仕立て
のお雑煮が苦手らしく、殆ど口にしません。
よって私の白味噌雑煮は実家でいただくのが我が家の
慣わしとなっております・・・