ユリイカ - deep breathing

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アンティークなもの二題 - 19世紀半ば

2007-02-20 20:07:54 | 考える
今朝、先週注文したアンティークローズYolande d'Aragonが届く。とにかく香りがすばらしいというで1843年にPierre Vibertさんが作出したバラである。私は余りにも花びらが多く、ゴージャスすぎる花は好きではないが、とにかくかなりの人が絶賛するバラを育てて(くんくんして)みたかったのだ。でも、あちこちのサイト(特にアメリカ)にお邪魔して写真を拝見すると、香りだけでなく樹と花のバランスがよく樹性も強いようなので、期待してます。

さて今日読了した本は『水晶』(アーダルベルト・シュティフター著 チェコ生まれ)である。奇しくもYolande d'Aragonが生まれたのと同じころ書かれたもの。読み始めは山間の風景描写が多く、ちょっぴり退屈な部分もあったが、画家でもあった彼の精密な観察力(自然のみではなく人間同士のつながり)と描写に惹き込まれていく。大言壮語を嫌う彼らしい細やかさと、それであって強い理想が描かれて心洗われる。

こうして160年も前に生まれた小説とバラを骨董品としてではなく、今こころに必要なものとして味わうことができるのは本当に幸せなことである。戦争もあった動乱の時代に花作りや小説を書き続けることには様々なジレンマもあっただろう。でも、戦争は一部の科学技術に貢献はしたが、こころには何も残さなかった。

自分は何が残せるだろうか。