忘備録の泉

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支配から逃げられない人々(8)

2017-07-13 08:15:06 | Library
支配され、追い詰められている人は、どのように考え、行動すれば、この辛い状況を乗り越えていけるのだろうか。
その対処法を考えてみる。

仕事以外で自分を確認できる場所を持つ
人間はみんな、かけがえのない自分の存在を認めてほしいという気持ちを持っている。
だからこそ、職場や家庭で、自分の価値を認めてもらうことを求めて行動する。
しかし、周囲からの承認を得ようとするあまり、ときには心身に不調をきたすほどがんばったり、極端な方法で自分の存在を主張したりするような人もいる。
その気持ちはよくわかるが、それを満たすために、他人を傷つけたり、迷惑をかけたりしてはならない。
認められたいという自己顕示欲や承認欲求を満足させられるものは仕事だけではないはずだ。
ボランティア団体や趣味の会などに参加することもいいし、職場とは違うところに自分の居場所をつくることは、心のバランスを保つためにも有効である。

自分の身体の感覚を取り戻す
他人に支配されている人は、自分の考えや気持ちに基づいて行動できなくなっている。
だから心が悲鳴を上げてしまう。
そういうときに、心のバランスを取り戻す方法として効果的なのが、自分の意志で身体を動かすことだ。
これは、自分で自分を支配する感覚を取り戻すのに非常に有効だ。
野菜や花を育てるのもいいし、料理をつくるのもお勧めだ。
じっくりと時間をかけて農作物を育て、育った野菜で料理をつくり、それを他の人が喜んで食べてくれたら、自分が誰かの役に立っているという感覚も味わえる。
身体を動かすこと自体にも、考え込んでいる状態をリセットする効果がある。

身近なツールで自己治療
通勤電車の中で、スマホを見つめながらゲームに興じている人が目につく。
ゲームは、逃げられない状況に置かれた人が心を癒す方法のひとつになりうる。
ゲームという無難な形でストレスを発散しているわけだから、自己治療の試みとしては悪くないといえる。
ただし、そこばかりに逃げ込むと、ゲーム依存やネット依存になりかねないという副作用があることを忘れてはいけない。

ちょっと逃げる
他人に支配されている状況を打ち破る究極の方法は、戦うか、逃げるかのどちらかである。
だが、実際にそのような行動をとるのは難しい。
そこで、オール・オア・ナッシング型の思考にはまらず、もう少し柔軟に考えてみる。
例えば、会社を辞めるという逃げ方ではなく、転勤とか異動とかという選択だ。
出世を捨て、給料も減るかもしれないが、心の負担は軽くなり、健康を取り戻せる。

ちょっと戦う
戦うのは、支配を断ち切るうえで最もストレートで、基本的な方法だ。
ただ、普通はこれがなかなかできない。
トラブルメーカーと思われたり、「文句ばかり言う人物だ」という評判が立ったりしたら、むしろ自分で自分の立場を追い詰めることにもなりかねない。
だからといって、唯々諾々と支配者に従っていても、自分を壊してしまう。
そんなときは、ちょっとだけ戦ってみてはどうだろうか。
例えば、正面切って反論したり、ノーと言ったりすることはできなくても、相手が何か言ってきたらイスを立ってその場を立ち去る、あるいは相手と決して目を合わせないとか、飲み会の誘いを断るという手もある。
「私はそれほど従順ではありませんよ」ということをポーズとして示すのだ。
こんなふうにちょっと戦う姿勢を見せるだけで、相手の理不尽な攻撃がやむことがある。

スルーする
支配者のいる状況にとどまるという選択をするなら、スルーする力を身につけよう。
この世の中では、いい人ほど支配されやすい。
支配する側の言動をすぐ真に受けてしまうからだ。
何か無茶を言われても、「わかりました。すぐやります」と答える。
それが支配する側にとっては都合がいいのだ。
そこで、ともかく(ずいぶん無茶な命令だな)と思ったら、まず相手を疑ってみることだ。
そして相手が、どのような動機に基づいているのか冷静に観察してみる。
本当に必要な仕事なのか、単に向こうが自己愛や支配欲求を満たしたいだけではないのか…と。
すぐに真に受けないで、極力相手をスルーするという心構えも、支配者のいる状況で心を壊さずにいるためには重要だ。

声を上げる
支配されている人は、つらさを声に出せず、自分ひとりで抱え込んでしまっていることが多い。
だから、声を上げることも大事だ。
声を上げるのにも、いろんなやり方がある。
周りの人に聞こえるように相手に対して怒るのもひとつの手だが、信頼できる誰かに相談することも大切である。
声を上げないでいると、その前に心と身体が悲鳴を上げ始める。
朝起きられない、会社に行こうとすると動悸がする、熱が出るという風に。
しまいにはうつになって休職や退職に追い込まれる。
だから、そんなふうになるまでがんばってはいけないのだ。

ときには喧嘩する覚悟も
あからさまに「辞めてくれ」「会社に来るな」などと言われている場合は、明らかにパワハラである。
そういう場合は喧嘩することも辞さない覚悟が要る。
覚悟が決まればどんな闘い方でもできるはずだ。


(おわり)

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