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未払い残業代の訴訟請求④

2018-10-19 16:20:27 | Library
どんな交渉でも言えることだが、訴訟においても、相手側からの反論にどう対処するかを考えておかねばならない。
いくつかの抗論についてそのポイントを挙げてみる。
①非労働時間であるとの主張
・労働時間の立証責任は、労働者側にある。
・使用者は労働者の指揮命令権を持ち、時間管理義務を負う。
・残業禁止を命じている場合や許可制であっても直ちに労働時間でないとはいえない。

②固定残業代、各種手当、基本給に包含して支払い済みであるという主張
・時間外手当の代替であることが明確に示されていなければならない。
・代替であるとされていても、実質的に時間外手当として支払われていない場合は認められない。
・対価に見合わない場合は、労基法上の割増賃金との差額を請求できる。

③年俸制なので、残業代は支払い済みであるとの主張
・時間外手当として支払われている金額が明確に区分されているか、容易に算定されなくてはならない。
・明示もしくは算定された残業代の額が労基法の対価に見合わない場合は差額を請求できる。
・年俸制で賞与が別途支払われている場合は、基礎賃金の算定に注意が必要。

④残業代は歩合に含まれて支払い済みであるとの主張
・時間外手当として支払われている賃金が明確に区分されているか容易に算定されなくてはならない。
・明示、もしくは算定された残業代の額が労基法の対価に見合わない場合は、差額を請求できる。
・固定給と歩合給に分かれている場合は、それぞれ別で計算する。

⑤適用除外(管理監督者等)に当たるとの主張
・管理監督者であるとの抗弁が多いが、認められる労働者はごく一部であるので、要件をしっかり確認する。
・その他の適用除外者の範囲も厳格に解されており、該当する労働者は限定的。
・適用除外者であっても、深夜割増請求や有給休暇の取得は可能。

⑥事業場外みなし労働時間制であるとの主張
・要件を正確に把握した上で、労働時間の把握が困難な場合は稀であることを理解する。
・休日労働、深夜労働については、たとえ労働時間が適用されても時間管理義務と割増賃金支払義務を負う。
・労働者側としては、みなし労働時間制が適用された場合でも、通常必要時間については労働実態に即した認定がなされるよう主張・立証する。

(参照:未払い残業代請求「法律実務マニュアル」)

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