忘備録の泉

思いついたら吉日。O/PすることでI/Pできる。

怒らない生き方⑥

2019-04-17 09:23:43 | Library
怒りがかすかに湧き出る瞬間を察知するには、どうすればいいのだろう。
早い段階で察知できれば、脳内からネガティブな意識を追いやることができる。
そのために日頃から「今、欲はあるかな、怒りはあるかな」と、自らの心を見張って、迷いのエネルギーが発生する瞬間をチェックしている必要がある。
自らの心をチェックして見張るというと、窮屈に感ずるかもしれない。
確かに、他人や社会から見張られていると感ずれば、とても大きなストレスを感じてしまう。
しかし、煩悩コントロールのための自己チェックの目的は、ストレスの要因となる雑念を取り除くことにある。
だから安心してそのセンサーを磨けばよいと思う。
(イライラ)とか(ムカムカ)とかの感情を早期発見できれば、その感情が本物の怒りに育つ前に初期消火できるようになる。
ルールを課しながら、自分を丁寧にコントロールして生活していると、うまくいったときには誇らしい喜びを、うまくいかなかったときは何かしらの心身の苦しみを、意識のセンサーが感じとっているはずだ。
これらの幸福感とストレスフルな感じを、そのときそのときにおいてしっかりと感じとっておくと、次回以降も、ストレスフルな感じを避けて、幸福感を得たいというかたちで、ポジティブな条件づけが生まれる。

難しいのは心のコントロールだ。
雑念を捨てようとしてもなかなか難しい。
日常的に、「空」の境地を味わうトレーニングが必要だ。
心が乱れたときに、心に身体を思い出させるようにすれば、煩悩は静まってゆく。
日常の中で、「空」を味見する経験を積み重ねる。
「空」を味見するための集中は、ありとあらゆる場面で意識的に実行することができる。

禅瞑想のトレーニングでは、4つのステップを順々に極めていく。
(1)体や呼吸に心をぴったりと寄り添わせる
(2)感覚刺激に心をぴったり寄り添わせる
(3)感情に心をぴったり寄り添わせる
(4)法則の観察
心が身体感覚にぴったり寄り添う習慣がつくと、「今この瞬間」の中に留まりやすくなり、心がしっかり体をコントロールしてくれるようになる。

自らの心や感情に対するセンサーを研ぎ澄ますと、他人の心の動きも敏感に察知できるようになる。
自分の心が頭の中へ引きこもって煩悩まみれになっていたら、他人の表情や言葉に心を向かわせる余裕はまったくない。
反対に、自分の心が、雑念がない空っぽ、すなわち「空」であるなら、自分以外のものに意識を向けやすくなる。
その結果、その場から発散している煩悩を感じとったら、従うでもない逆らうでもない「空」に近い態度によって、その場の風通しをよくすることもできる。

怒らない生き方とは、心に強く刷り込まれた怒りを自覚し、乗り越えること。
それにより自らが幸福になり、身近な人々を感化することである。
(参照「もう、怒らない」より)