天網恢恢疎にして漏らさず

映画レビューを中心に(基本ネタバレバレです)スキーやグルメ他、日々どうでもいいような事をダラダラと綴っています。

【映画】「アルキメデスの大戦」@35作目

2019年07月29日 | 映画感想
「アルキメデスの大戦」

週刊ヤングマガジンで現在連載中の三田紀房氏著の同名タイトルコミックを実写映画化。因みに自分は原作未読です。
メガホンを取ったのは「永遠の0(ゼロ)」も手掛けた山崎貴氏。この方「ALWAYS 三丁目の夕日」等も撮ってますが…ノスタルジックな時代モノがお好きですか?

あらすじ
昭和8年(1933年)、第2次世界大戦開戦前の日本。日本帝国海軍の上層部は世界に威厳を示すための超大型戦艦大和の建造に意欲を見せるが、海軍少将の山本五十六(舘ひろし)は今後の海戦には航空母艦の方が必要だと主張する。進言を無視する軍上層部の動きに危険を感じた山本は、天才数学者・櫂直(菅田将暉)を軍に招き入れる。その狙いは、彼の卓越した数学的能力をもって大和建造にかかる高額の費用を試算し、計画の裏でうごめく軍部の陰謀を暴くことだった。(Yahoo!Movieから丸パクしました)

映画冒頭からいきなりクライマックス☆
戦艦大和が総攻撃食らって正に沈没していくシーンから映画が始まるという…かなり刺激的な始まり方。
本作、時代背景からして思いっきり「戦争モノ」ジャンルではあるんだろうけど、既存の戦争モノとは全くアプローチが異なる、かなり変わった作品でした。
ぶっちゃけ、劇中で戦争シーン(戦闘シーン)があるのは映画冒頭のこの大和が沈んでいくシーンのみ。
映画の主軸は「如何にして卓上の理論構築で巨大戦艦(大和)を建造させないように阻止するか」という頭脳戦を描いたサスペンス。
原作はコミックらしいですが、映画の展開的に推理小説を読んでいるような既視感を覚える…本好きさんには本作かなり「刺さる」んじゃないかなーと。

それにしても、菅田将暉君は本当にスゴイな!
正直自分特に好きな役者さんという訳でもないんだけど、彼の演技はとにかくスゴイ。若手ではこの人がピカイチなんじゃないだろうか。
ただ単に「上手い」役者さんならいくらでも居ると思う。でも彼の演技は上手いだけじゃなくて「魅せる」「惹き込まれる」
菅田君がスクリーンに出てくると目が離せない。不思議な雰囲気の数学の天才を演じていたんだけど、彼の醸し出す空気感とキャラクターが凄くハマってたと思います。
それから菅田君演じる「櫂」と嫌々バディを組まされる「田中少尉」を演じた柄本佑さんとの組み合わせも絶妙だった。
鼻持ちならない櫂に最初は嫌悪感バリッバリだったのが、櫂の天才っぷりを目の当たりにして心を開くとみるみる心酔して行く姿が滑稽でもあり微笑ましく描かれていたなーと。

大和建造推進派に対して「これからの時代は空戦がメインになっていくからアホみたい金が掛かる巨大戦艦作るより空母作った方が得策だろ」という主張の山本五十六チーム。
櫂は山本五十六にスカウトされて「大和の建造見積金額が絶対におかしいから精査して推進派のインチキを見破りぐうの音も出ないように論破せよ」というミッションを貰う。
ココで誰もが思う。そもそも映画冒頭にもあったけど…戦艦大和が建造された事、そしてあっちゅー間にコテンパンにやられて沈没した事は周知の事実。
だったらこのミッションが失敗に終わった、という結論は分かっている訳で…じゃあ今から何見させられるねん自分ら(苦笑)、ってなるじゃないですか^^;
それが本作の正にキモと言うかねw

分かっている結論に向かって話を進める、というのはずっと観客の興味を惹き続けるのが至難の業だと思うんですが、本作はそのハードルをヒョイと乗り越えて来る。
この部分が本作が戦争映画のようであって戦争映画ではないトコロで、序盤からクライマックスの会議シーンまでは櫂達の奮闘をサスペンス仕立てに見せる。
ところどころ「クスリ」と思わず微笑んでしまうようなシーンも盛り込み(この辺りは菅田君と柄本君の掛け合いが絶妙)観客も巻き込んでハラハラドキドキ楽しませる。
物語はクライマックスの会議シーン以降一気に大きなうねりを持ってガラリと様相を変えて「大どんでん返し」に向かって突き進む。
コレが凄く衝撃的だったと言うか…正に大和から波動砲食らった気分になりましたわね(←それはヤマト違いやでw)

櫂にはあたかも「開戦反対派」のような顔で近付いていた山本五十六が実は…というのもなかなかシャレてた(このシーンの國村さんの表情がまた何ともいいんだよねぇ)

という訳で本作は「戦争映画はチュドーン☆シーンのド迫力が最大の魅力!」という方にはいささかオススメし難い手合いですが、推理小説好き、サスペンスやミステリー好きという方には是非観ていただきたい。今までになかったアプローチの戦争映画です。
ラストシーン、菅田君が大和を見つめて語るシーンには何とも言えない気持ちになりますよ…いやぁ~ホントこの人の演技には魅せられました。
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