山形のホリデイマタギ日記

山菜とキノコと魚を採って遊ぶ年寄りの冷や水日記

最高標高での山菜採り

2021年06月25日 | 山菜採り

 秋のキノコ採りも含めて、1年中で1番体力を消耗するのがこの時期のタケノコ採り。N沢だ。スタート地点からの道のりの長さもさることながら、標高差も大きいので、登山のようなものだ。おまけに、この地のタケノコは、高品質(『赤いダイヤ』と呼ばれる)な分だけ親竹も太くて丈夫なので、藪をかき分けて進んだり反発を抑えたりするために使うエネルギーが半端でない。これを『筋トレ』に例える同業者もいるが、全く異論はない。

 だけど、この苦労を乗り越えるからこそ、大きな喜びも得られるんです。おまけに、この登山と筋トレのお陰で秋のキノコ採りもそれほど苦労しないで楽しむことができる(はずな)んだな。

 行きたいのは山々。でも、問題は、今年の自分自身の体調だ。

 ドクターからは、大きな衝撃やアクションを避けるように言われている。そこに気をつけさえすれば、かなり楽しめることも分かってきている。

 じゃあ、行ってみますか。ただし、急斜面の上り下りを繰り返す『沢登りコース』は控えて、緩斜面で楽しめる『奥山コース』です。

 このコース、危険は少ないんだけど遠いんだよな。そこが面倒で、去年は1度も行かなかったんだけど、今年は、選択肢がありません。A氏に連絡を入れると、OKの返事。この辺りの状況をよく知っている彼が同行してくれるとなると、心強い限りだ。

 車止めから午前3時20分に出発。まだ真っ暗なので、ヘッドランプを使用。1つめの休憩スポット『牛置き場』で一息ついているうちに明るくなってきたのでランプをしまう(3:45)。

       下界の景色が美しい

 N沢を渡って急斜面を登り切ると、2つ目の休憩スポット『小屋跡』だ。

       先行していた人たちに会う

 かなりの健脚でも、ここで休むようだ。先行の5人のうち、2人は沢へ、3人は奥へ進むとのこと。間もなく、

       ワンちゃんがやって来た

 こうやって犬を連れて登ってくる人も少なくない。熊よけかな?

       S山に差し込む朝日

 時計を見ると日の出時刻だ。ここから最大の難所と申しますか、体力のバロメーターとなる山登りだ。今の体力だと、とてもじゃないけど一気には登れません。途中に休みを3回ほど入れながらピークに到着。

       大雪渓が待っていた

       遙かに鳥海山を臨む

 この辺りの標高が1300m。マタギ達が山菜採りをして遊ぶ高さとしては最も高い山域になる。今年も無事にここまで来られたことが嬉しい。

 山菜道は、この先更に続くのだが、途中にいい林を見つけたので潜り込む。

       おお、出てるよ!

       ニョキニョキニョキと

 山菜採りの呼吸、四・五の型(斜面中の位置と雪の残り具合とのバランス)を使って採っていくと、あっという間にハケゴがいっぱいになる。一度リュック置き場に戻って詰め替え。再び登って採り始めると、またまた満杯。もう、打ち止めですよこれは。A氏と声を掛け合って終了のゴング。

 斜面を降りて、GPSで現在位置を確かめると、目の前にリュックがあるはずなのに見えない。ちょっと迷ったが、A氏が目の前の藪をかき分けたらリュックがあった。A氏、ありがとう。そして、GPSは嘘をつかないということかな。逆に言うと、こういう地形の中で行動するときには、何らかの手がかりを持っていないと、時間的にも体力的にも精神的にも大きなロスになってしまうということだと思う。心に深く刻みつけておきたいと思います。

 もう満足です。ズッシリと重たいリュック(と言っても患部に無理ないレベルね)を背負って下山を開始する。

       リュウキンカが目に眩しい

 運動不足による足の疲れを感じながらも、この山を今年も訪れることができた喜びと、山の神様からの恵みへの感謝を噛みしめ、N沢の山菜道をあとにする。・・・ゆっくりとね。


はるまゲドン

2021年06月24日 | 日記とレシピ

 定期検査の日。心電図やレントゲン検査のあと、

「異常なしだね。」

主治医からそう告げられて、すごく明るい気分で帰宅した。

 しかし、なんだか台所にいる妻と娘の雰囲気が異様に暗い。

 本能が警戒警報を発令する。ここでは、下手な声がけをするべからず。逆鱗に触れれば尾を引くことになりそうだ。

 仕事のことと健診の結果とをさらっと話して、シェルターに逃げ込む。明日が山菜採りの予定日なので、携行品の確認や機器の点検を行っていると、妻がやって来た。

「今夜の夕食、お願いしてもいい?」

おうっと、そう来ましたか。何があったのか知らないけれど、そういうリクエストなら任せなさい!

「春巻きの皮はあるんだけど、・・・。」

どうしたんだ。この重苦しさは。

 これは、旨いものですね。びっくりするような旨い物を作って、みんなの明るさを取り戻しましょう!

 で、春巻きは決まっているのね。だったら具材で勝負だ。

 ポクポクポクポク チ~ン

  ≪ネマガリタケたっぷりの揚げない春巻き≫

 揚げないというのは、終盤戦で時間が足りなくなってしまった結果試した調理法です。つまり、結果オーライのレシピでもあります。

 下ごしらえの部

  ・瓶詰めにしてあったタケノコを細めの乱切りにしてみました

       ああ、ついに開封の日が来ました

       いいタケノコです

 ・細めの乱切りにして、ニンジンの千切りと合流

 ・ショウガ1片を千切りに

 ・豚コマと牛コマを70gぐらいずつ細かく切る

 ・ニラ1/2束は寸切り

 ・春雨40g茹でて冷まして待機

 調理の部

 ・中華鍋に油を引き、ショウガ⇒肉⇒タケノコとニンジン⇒ニラ⇒春雨の順に加えながら炒めていく

 

       既にご馳走の雰囲気

 ・ゴマ油、鶏ガラスープの素、酒、みりん、オイスターソース、醤油、砂糖を野生の勘で加えて味付け

 ※実は、在庫がなくなりかけてるものがいろいろあったので、分量不詳

 ※それぞれ、多くても大さじ1です

 ・水溶き片栗粉を加えてとろみを付けたらボールに移し、少々冷まして

 

 ここで、に出ます。家族の皆さんに声を掛けて、協力要請。

 妻は、主に皮の準備を、娘は主に具の包み込みを担当。美味しい香りに包まれながらの作業は、心を和やかにしてくれるのでしょう。表情が緩んできました。

 ホッ、これで『ハルマゲドン』は回避できたようです。さて、レシピの続きだけど・・・

 ・フライパンに春巻きの結び目??を下にして5本並べて結構多めのサラダ油(大さじ3)を回しかけて熱します。

 ※要するに「揚げない春巻き」です

 ・2~3分で裏返して、もう1~2分焼くと出来上がり

 ※揚げ時間がもったいないので初挑戦しました

       美味しそうでしょう。でも、実は・・・

       1回目に焼いたときの焼き目

 料理本には、「中火で4~5分」って書いてあったものだから、信じて4分焼いたらこうなってしまいました。多分、料理本を書いた先生に言わせると、「あなたのは強火。」ということになってしまうのだろうね。あらためて思うに、中火という表現は、非常に曖昧だということ。弱火でなくて強火でもなければ、その間は中火なんだけど・・・。どこからどこまでが中火なのか、正直なところ、線引きできません。

 ま、こういう時はですねえ。忍法『見なかったふり』

       旨そうです

 ほらね、悪くないでしょう。一部の方は、焦げ部分を外して食べてましたけど、それはそれでいいのよ。どっちにしても美味しい今日の夕食。

「残りのタケノコ(瓶詰め)使って、別な料理作ってみようかな。」

おおっ、前向き提案が発せられました。滅亡の危機は、完全に回避されたようです。

 愛は地球を救うかもしれないけど、そんな壮大なものでなくていい。料理は家族を救うのですね。

 めでたしめでたし。

 


欲タガリは満足。でもちょっと・・・

2021年06月23日 | 山菜採り

 「明日どうするの?」

妻から聞かれた。

「まだ、未定。」

そう言えば、明日は夜勤日だから、午前中を自由に使えるのだ。ドクターから禁止されていることを除けば、かなりのことが出来るはず。

 ポクポクポクポク チ~ン

  H川の続き

 あれだけH川からの収穫物を堪能し、その余韻に浸っている身なのに、まだ満点ではないんですね。一つだけ未練が残っているものがあります。それは、『コシアブラ』です。残念ながら、もうすっかり開いてしまい、旬を逃してしまったんです。これは、完全に予想外の出来事でした。

 でもね、転んでもただでは起きないのが『欲タガリ』のマタギです。山菜っていうのは、その成育の仕方にいくつかの条件があるから、その辺を整理して考えていくと災いが福に転じるんです。どういうことかと言うと。

 山菜採りの呼吸

  一の型:気温・降水・日照の蓄積

  二の型:海抜高度

  三の型:発生地の方位

  四の型:斜面中の位置(上下)

  五の型:雪の消え具合

  六の型:土質及び他の植物との共生状況

山菜を思い通りに採るためには、大小取り混ぜて、ざっとこのぐらいの留意点はあると思うんだな。この辺を考えれば、かなり細かいレベルまで発芽や成育の予想を立てたり修正したりすることが出来ます。ただし、このところ、今まで通りには行かなくなってしまうことが増えてきたんです。その要因が、

  七の型:我々山遊び人のマナーの低下

  八の型:人口減少と生活スタイル変化による発生地の荒廃

  九の型:外来種の進入

  十の型:温暖化の進行

 この4つが、最近目だってきた要素で、長期的に留意していく必要のある課題でもあります。ある意味で、全て人災です。自然と共生してきた暮らしが崩れつつある。中でも、現在、自然の秩序を乱す一番の要因になりつつあるのが、『十の型』でしょうね。この変化は、生態系そのものを根こそぎひっくり返して、人の生活をも脅かし始めている。みんなで真剣に考えなければならない。

 さて、今回のH川では、コシアブラだけが例年よりもずっと早く『旬』を過ぎてしまっていた。結果だけ言うと、「地面の山菜よりも頭上の山菜がずっと先に育ってしまった。」ということ。

 原因については、なんとなく『十の型』が関係していそうな気がするんだけど、もう少し様子を見ながら考えてみたいと思います。

 さて、そんな状況を踏まえて今回試みるのは、対処療法。採れなかった「コシアブラ」をどうすれば採れるか。

 ようやく「ポクポクポクポク・・・」の答えです。結論は、

 採り場の海抜高度を上げればいい(主に一・二の型)

 そういうことで、H川よりも更に100mほど海抜の高い(=春が遅い)O川に出掛けました。

 夜明けとともに藪に分け入る。さすがに雪が消えて間もない気配。周辺を見回すと、

       おおっ、食べ頃じゃないの!

       こっちも束になって生えてますね

       これだよ!これ!!

       森の外側では、タニウツギが花盛り

 十分にいただいたので、O川の神様にお礼を伝えて家に向かう。帰宅したのは、何と午前6時!これぞ正真正銘、『THE、朝仕事』になりました。

       しかも、読み通りに食べ頃ですよ

       今回は、我が家で人気の『ナムル』にしました

       (ミズの天ぷらがまだ冷   庫に残ってるんで、今回は天ぷら回避)

 海抜700m台で採れなかったから800m台へ。この考え方で間違いはなかったし、『欲タガリ』としては、満足のいく朝仕事になりました。

 でも、ちょっと引っ掛かりますね。こんなに早い時期に、こんなに高い場所で収穫できてしまったことに一抹の不安を覚えます。

 この課題については、もう少し時間をかけて、自然の様子を見ながら考えていきましょう。


そらのえれべえたあ(さんぽうた85)

2021年06月22日 | いきもの

  そらのえれべえたあ  くもの にゅうどう

 

おうい

ちょっとこいよ

きょうの おひさん

ちょうごきげんだぜ

 

こんなひはなあ

おひさんが

ちからをくれるから

おもしろくなるぜ

 

そこのことり

おれのかたに のってみねえか

むしも きてみろよ

ひこうきだって だいかんげいさ

いいながめだぜ

 

ほうら はじまったあ

そらの えれべえたあ

てんくうめざして

どこまでも のぼるぜ

 

ああ

ちきゅうって

まるいんだなあ

 

みんなも みたか

じゃあな

また のりにこいよ

そらの えれべえたあに

 

 雷注意報が発令されている日なんだけど、お昼の散歩に出掛けると、すごい入道雲。

       奥羽山脈の上に立ち昇り始めていました

 こんな雲を見たのは、去年の夏以来です。

 そういえば、昨日の夜勤の帰り道も、こっちの方から、ひっきりなしに雷の閃光が見えていたっけ。

 ただ今、エネルギー充填中ってところでしょうか。

 それにしても、見事な造形です。

       この雲の上で遊べそう

 雲の詳細に注目していくと、

       天空の城が隠れてる?

       どこまでも昇っていくのか?

 いろんな想像が膨らんでいきます。

 現実に、刻一刻と膨らみ昇りつつある『にゅうどう』君を見ていると、あのてっぺんから見る景色はすごいんだろうなあと思うし、なんだか本当にあの上に乗れそうな気がしてしまうんですね。

 憧れの心を掻き立てられるような、本日の『にゅうどう』君でした。


ワラビ料理は三日目以降

2021年06月21日 | 山菜料理

 山菜御膳の翌日は、昼過ぎまでの勤務。帰宅すると台所に直行。さあ、どうなっているかな?

 

       アク抜き中のワラビ(ちょっと心霊写真)

 おおっ、しっかりとアクが出たようだ。水を入れ替える。

       いいじゃない!

 重曹が多すぎたり火が強すぎたりすると、この辺で審判が下るのだ。茎というか、皮が剥けてトロトロになっていないか、いつもドキドキさせられる。今回も上手くいったようなのでひと安心。君たちは、もう暫く水にさらしておくから、待っていてね。

 さて、もう一つの不安の種がこちら。

       写真左手、フキです

 すごくいいフキなんだけど、初日には茹でて皮を剥いただけの物が殆ど。一応、冷蔵庫で待機中なんだけど、タケノコほどには日持ちしないので、何とかしなければならない。

 昨日、『オリーブの呼吸』で調理したのが1/4ぐらい。残る3/4を量ったら700gほどあった。どうする?

 ポクポクポクポク チ~ン

  とりあえず『フキの炒め煮』

 ちょっと多めなんですけど、『オリーブ炒め』と並べて食べても遜色のない料理と言ったら、このぐらいしか思いつかない(今後の課題です)。とりあえず、やってみましょう!

 下ごしらえの部

 ※今回は、ほぼ終わってます。8分間茹でて皮を剥き、水にさらしてあるので、寸切りにするだけです。

 調理の部

・中華鍋にサラダ油を大さじ2ほど敷いて熱します

・ここにフキを入れて熱と油を通します

       こんな感じ(美しい!)

 ・酒とみりん各100mlをかけて、煮きります

       この量だと『返し』が難しいのでフライ返しと箸で混ぜます

 ・顆粒出汁を適量入れて溶けたら醤油を入れるんだけど70mlにしてみました

 ※いつもだと、酒:みりん:醤油 = 1:1:1なんですが、醤油100mlに躊躇した結果

 ・全体が馴染んだら鰹節3パックを入れてよく混ぜます

 ※これは、早すぎた気がする。水分があらかた飛んでからの方がいいかも

 ・水分が減ってきたところで、半分は終了。器に引っ越しました。

 ・残り半分には、七味唐辛子を振り掛けてもう一炒め

       左がノーマル。右が辛みバージョン。

       本日の夕食(プチ山菜御膳)

 写真の右上が、2種のフキ炒めです。どちらも美味しいですねえ。うまくいってよかった。ちなみに、左下がアオミズのおひたしで、右下が筍汁。やっぱり、山の神様には感謝あるのみです。

 結局、ワラビを楽しむのは、明日以降になりそうです。

 それはそれでよいではないか。より長く収穫の余韻を、山からの恵みを楽しめるのだから。では、また明日!