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山形のホリデイマタギ日記

山菜とキノコと魚を採って遊ぶ年寄りの冷や水日記

マスタケ料理を楽しむⅡ

2024年10月02日 | キノコ料理

 マスタケというキノコとの出会いは、1980年代まで遡る。

 その頃、渓流釣りに夢中になっていたマタギは、仲間とともに、朝日連峰から流れ出る渓流を訪れていた。

 テントとシュラフを背負って、源流の魚止め滝をめざす釣りだ。

 この時は、条件が合わなかったのか、我々の腕が悪かったのか、イワナが殆ど釣れず、夜の食材は、何とかなるものの、翌朝以降の食料が、米と味噌だけという状況のまま日暮れを迎えそうになっていた。

 危機感を覚えた我々は、手分けして枝沢に入り、本来であれば釣るべきではない産卵前のイワナや小イワナを釣り集めてなんとか飢えをしのぎ、山行を終えることができた。

 この時、強く記憶に残ったのが、日の暮れかかった小沢の奥に立つ古木の根元で出会った、真っ赤に咲き誇るマスタケの巨株。

 出逢った時、薄闇に包まれた風景の中で、そこだけが明らかに異質な空間だった。

「お前、何しに来た。ここは、お前らのような若造が来てはいけない場所だぞ。とっとと帰れ。」

 なりふり構わず釣りをするマタギに、マスタケは、そう語りかけてくる。

 そうか、来てはいけない場所まで入り込んでしまったのか。

 そんな気持ちになって釣竿をたたみ、引き返した。

 それが、マスタケとの出会いだ。

 それから長い年月を経るうちに、マスタケと出会う機会も増え、仲良くなり、その特徴も分かってきた。

 で、辿り着いた答えが、『マスタケは、若いうちに採れ』ということと、『揚げ物にすると抜群に美味しい』ということ。

 これは、マスタケ採りと料理の王道と言ってよいでしょう。

 どの図鑑を見ても紀行文を読んでもそう書いてあるし、実際、旨い。

 ただ、この食べ方と全く違う方法が紹介されている本を見つけたので、それを試してみることにした。

 それは、マスタケの刺身という食べ方。

 そこでは、画像が1枚載っており、『山の味、重厚な風味』と説明が添えられている。

 もう一言、『からし醤油でもうまい』とも書いてある。

 そこで、考えた。 いろいろ考えた。 その結果、思いついた方法で調理してみることにした。

 ※行動した事実だけを書いていきますね

 ・持ち帰った中でも、特に柔らかそうな部分を選びました

 ・薄味で茹でます(15分ぐらい)

 ※ヒタヒタ以上の水に顆粒出汁と出汁醤油と塩をちょっとだけ加えて味付け

 ※冷めるまで放置

       柔らかい肉質が、更にしんなりとしました

       付け根の硬い部分は切り落とします

 ※これで、本当に柔らかい部分だけになりました

       食べやすい大きさに裂きます

       マスタケの紅が器に映えます

 同じ『柔らかい』なんですが、フライにはないしなやかさが出てきます。

 そのまま食べてもOK。 ちょっと醤油を垂らしてもOK。

 マスタケが持っている独特の香りが、茹でることで程よく抜けて、心地よい仕上がりです(重厚とは言えないかも)。

 多分、茹で時間の長短で香りも調整できると思う。

 なるほど!

 今まで、『揚げる』しか考えたことがなかったんでけど、こうすることで、マスタケの持つ別の魅力(しなやかで心地よい食感)を引き出せるし、もともと持っていた魅力(独特の香り)を楽しめるようになるわけね。

 家族に出したところ、あっという間に、完売してしまいました。

 紹介してくださったのは、自然派エッセイスト(?)の高木国保先生。

 昔の本なんだけど、とても参考になりました。

 また、こんな工夫を見つけて取り入れていきたいと思います。

 ありがとうございました。

 

 もし、産直や地方の道の駅なんかで、マスタケを見つけたら、是非お試しください。


マスタケ料理を楽しむⅠ

2024年10月01日 | キノコ料理

 今回、山で戴いてきたお土産は2つ。

 一つ目は、みんなが知っているマイタケさん

 昨日紹介した通り、香り、味、食感のどれをとっても一級のキノコです。

 二つ目は、みんなが知らないマスタケさん

 『い』が『す』に変わっただけなんだけど、全然知られていません。

 同じ山形県民でも、我々キノコ採り仲間以外で知っている人に出会ったことは、殆どありません。

 理由は、色々考えられるんだけど、一番は、旬の時期に収穫できることが滅多にないからでしょう。

  オーラを纏うマスタケ。こんな状態には、滅多に会えない

 しかし、このキノコの魅力を知る者にとっては、魅力いっぱいなんです。

 今回から、その魅力の一端を紹介していきたいと思います。お付き合いください。

 ・・・

 マイタケご飯を堪能した後、マタギは、こんな料理を作り始めました。

 ・タマネギ、ジャガイモ、ニンジンに、豚コマを用意して

 ・薄め、小さめに切り分けて

 ・炒めて(タマネギと豚コマ)

 ・炒めて(他の野菜も)

 ・水を加えて煮込んで

 さあ、何ができるでしょう?

 答えは、

       カレーです

       我が家流のブレンドで仕上げます

 続いて本番。

 ・戴いてきたマスタケのうち1/3ぐらいを選んで

 ・食べやすい大きさに切り分けたら

 ・バッター液に潜らせて

 ・パン粉を塗します

 ・170℃の油温で揚げて

       マスタケカツの出来上がり

 ※このままソースで戴いても結構です

 ※切り口は、ほんのりピンク色のきめ細かい肉質です

 ・これを、ご飯を盛った皿に並べて

       マスタケカツカレーの出来上がりです

 これが旨いのよ。

 揚げ物なので、マスタケの持つ独特の香りは弱まるんだけど、きめの細かい肉質が、上等なヒレ肉のような食感を楽しませてくれます。そして、この肉の厚さによるボリューム感は、他のキノコの追随を許さないと思っています(先人たちは、この食感とボリュームも含めて『マス』と名付けたのかもしれない)。

 ついでに言うと、キノコなのでカロリーオフ食材でもあります。

 いやあ、久しぶりに堪能させていただきました。

 ご馳走様でした。

 さて、マスタケというキノコの魅力、お分かりいただけたでしょうか?

 次回は、この度確かめたマスタケの別な楽しみ方を紹介させていただきたいと思います。

 

    To be continued!


香り舞茸、味舞茸

2024年09月30日 | キノコ料理

 1年ぶりのマイタケ採り、やっぱりドキドキワクワクして楽しいわい。

 いつ発生して採り頃になるかも分からないうえに、多くのライバルたちが収穫をめざして山中を探し回る中、出逢えること自体が奇跡のような獲物なのだから、探す時も見つけた時も感情が高揚するのは仕方がないのだ。

 さて、嬉しい収穫物、持ち帰ってあらためて眺めてみると、

        なかなか美しいではないか

 この成長具合と量だと、それほど苦労せずに下ごしらえが出来そうな感じがする。

 行ってみましょう。

 まずは、汚れを落として、

       本日のディナーに使う分(右のボール)を確保します

 更に、これを食べやすい大きさに割きながら、

   マイタケご飯用(左)と吸い物用(右)に分けました

 吸い物用は、最終的な汚れ落としをして、そのまま調理に向かいます。

 こちらは、レシピが残っているので、妻に任せました。

 マイタケご飯用の方は、何回かに分けて、貯めた水で軽く洗っていくと、

       こんな風に汚れが落ちます

 去年からこのやり方にしてるんですけど、これが出汁にもなると考えて、

       汚れを濾して使います

       このだし汁をご飯に使います

 ※4合の米に対して、酒60ml、醬油50g、顆粒出汁適量

 ※醤油は50mlだと多すぎなので、50gにしたらいいバランスになることが、最近になって分かってきました

       だし汁と調味料と水を調整した後、具材も入れて

 ※鶏もも200gに油揚げ2枚とニンジン少々

       マイタケを散らしてスイッチON

 時間の経過とともに広がるマイタケの香り。

 夏のトビタケも、独特のいい香りなんですけど、マイタケも独特ではありつつ、馴染深いキノコらしい香り。

 一方で、

「すごい香り!」

と言う妻の言葉に吸い物の鍋の蓋を開けると、

       これまた香る香るマイタケの吸い物

 そして、

       ご飯も炊けました

       本日の夕食です

 久しぶりのマイタケ料理、香りだけでなく、キノコらしい旨味が凝縮された味と、程よい弾力の食感が堪りませんがな。

 家族みんなで、マイタケの美味しさを堪能させていただきました。

 マイタケさんは、我が家では間違いなくキノコの王様です。

 いやあ、いよいよキノコも秋の味覚シーズンに突入ですね。

 季節の神様と山の神様に感謝です。

 ありがとうございました。

 これからも、よろしくお願いいたします。


ナラタケ物語

2024年09月04日 | キノコ料理

 昔々、あるところにナラタケと言う名の、普通のキノコがおった。

 ナラタケは、普通のキノコだったから、それなりに美味しくて、『モダシ』とか『サワモダシ』とか呼ばれて皆から愛されておった。

 『モダシ』というのは、陸奥(みちのく)では、『キノコ』という意味でも使われる言葉だから、人々は、ナラタケのことをキノコの代表のように考え、大事にしておったことがよく分かる。

 これを汁物に入れると、それはそれは良い出汁が出て美味しい汁になったものだ。

 ところがある日、ナラタケは思った。

「僕は、どうして普通のキノコなんだ。どうしてマツタケやマイタケのように食卓の主役になれないんだ。」

 そこへ、悪だくみのプロとして悪名高いマタギがやってきて声を掛けました。

「どうしたんだい?そんな浮かない顔をして。」

ナラタケは答えました。

「実は、僕があまりにも普通のキノコなことに嫌気がさしてしまったんです。なんとか、マツタケやマイタケのようなスターキノコになりたいんです。」

「そうだったのかい。普通が嫌なのか。」

「はい。」

「だったら、特別なキノコに変身できる薬をあげよう。これを使えば、きっと別人のようなキノコになれるよ。」

マタギは、ニヤリと笑いました。

「ありがとうございます!早速、使ってみます!」

「うまくいくといいねえ。・・・みんなから嫌われないといいねえ。」

 ナラタケは、マタギからもらった薬を持って、早速台所に行きました。

 下ごしらえ・調理の部

 昨日、常備菜がなくなりそうな話を書いたが、長くお世話になってきた『トビタケナス炒め』も、なくなりそうなことが分かった。

 そこで、冷凍庫から出してきたのが、

       ナラタケ、通称サワモダシです

       これを普通に解凍して

       普通に味付けをして

 佃煮にしようと考えたんです。

 でも、

 さっきのような話になってしまったものだから、悪徳マタギは、秘密の薬を出してきたんです。

       その名は『鷹の爪』

       輪切りにして

       ナラタケと一緒に煮詰めることにしました

 ところが、

       煮詰まるに伴ってすごく辛い気配が漂い始めました

「やっぱり無理です。とってください。」

       ナラタケ君の声を聞いて、慌てて拾い出しました

「本当に、これでいいのかい?」

「はい。やっぱり僕は普通がいいです。普通に美味しくて、みんなから愛されるキノコを目指します。」

「そうかそうか、いい勉強になったね。」

       第二の常備菜、ナラタケの佃煮

 ちょっと辛いけど、とても美味しくて万人向けの常備菜が出来ましたとさ。

 めでたしめでたし


ありがとう!冷凍トビタケ君

2024年08月29日 | キノコ料理

 そもそも人類が『保存食』というものを発明したのは、収穫が見込めない時期や場所でも死なないためだったのではないかと思う。

 寒い地域では冷凍、温暖な地域では塩漬けや乾燥のような方法を使うことにより、食材の劣化を防げる、すなわち命をつなげることに気付いた人類の偉大な知恵の結晶が保存食なのだと思う。

 それがいつしか、目的が変化して、食材の美味しさをいつでも楽しめるためにと保存するようになってきた。

 我が家での最たるものは、『正月料理』

 何も収穫のできない真冬に、これでもか!」というほど美味しい食材が食卓に並ぶ。

 改めて言うけど、これは人間が培ってきた知恵の結晶で、我々は、その恩恵にあずかっているのだ。

 で、我が家でも、季節限定の山の幸を、あの手この手と駆使して保存することにより、1年中楽しんできたんですよ。

 そのうちの冷凍トビタケが、この度、めでたく卒業することになったんです。

 だって、新たな収穫があって、冷凍庫でも、世代交代が行われることになったんですから。

 今回、『冷凍庫46』に加入(何期生か分からない)したのが、

       この子たち(先週分)と

       この子たち(今週分)

 これまで冷凍庫の中で、マタギ家の安心と安全を守ってきてくれたトビタケ君と入れ替わってもらうことになったんです。

 感謝の気持ちを込めて、美味しく料理させてもらおうではありませんか。

 で、考えたんだけど、天ぷらにすることにしました。

 この料理も本邦初公開なので、読み返せば分かる程度にまとめておきたいと思います。

 下ごしらえ・調理の部

 ある程度、解凍が進んだところで下味をつけるところから始まります。

 ・ジップロックに入ったまま醤油と酒各大さじ1ぐらいを入れて1時間ほど待ちました

       衣はいつも通り

 ・冷水+卵黄で200gに、薄力粉110と片栗粉30g

 ・どちらも冷やしておいて、揚げる直前にサッと混ぜます

       トビタケ以外の食材を先に揚げてしまいます

 ※トビタケの下味が油や衣に乗り移るのを避ける

 ・最後に下味のついたトビタケに衣を絡めて

 ・中温で普通に揚げます

       お友達のナス君と一緒

        本日の夕食

 昨夜のトビタケご飯も残っていたので、ちょっと贅沢になってしまったかも。

 一応下味がついているので、天つゆはいらないと思います。

 お好みで、塩をひと振りかけると、味の調整は十分にできます。

 味の方は、さすがに揚げ物なので、香りは殆ど飛んでしまうけれど、逆にトビタケの味と食感をじっくり味わうことができて、美味です。

 先日のトビタケチップス同様に、おかずにもなるけれど、つまみにもなる逸品です。

 ああ、美味しかった!

 冷凍トビタケ君、3年間も待たせてゴメンね。

 でも、3年経っても十分に美味しかったよ。

 ありがとう。

 そして、ご馳走様でした。

 ・・・これにて、3年間のトビタケ物語は一応決着です。

 新たなトビタケ物語、どんな展開になるのか楽しみです。