この夏に瀬戸内海の景色を見ながら、Kさんが話していたのを思い出した。瀬戸内海は島が沢山あって、島などが見えない太平洋沿岸と比べれば、変化が豊富で美しい。確かにそうだと思った。
瀬戸内海もそうであったが、7歳の時に両親と妹と住んだ、南東アラスカのシトカもそうであった。本来は3年程度住むことになっていたが、約一年だけ住んだシトカの生活は、不思議な1年であった。
黄色いペンキで塗られた家に住んだのだが、場所は町の外れにあり、隣はロシア人墓地であった。後で知ったが、ロシア人墓地の周辺には先住民族のクリンギット族の墓地があったとも言われる。
街の近くには、公園があり、トーテムポールが立っていた。動物や鳥が刻まれたトーテムポールを静かに一人で観ていると、何か不思議な感覚になる。精霊に満ちている土地柄だったのだと思う。
ある晩、両親がパーティで夜外出した。部屋で寝ていて、眼が醒めて時計を見ると、午前2時。「丑三つ時」!その時の怖さは今でも記憶にある。もちろん、何もなく両親も戻ってきた。
そんな、日本では味わえない怖いこともあったが、異文化の中で家族一緒に結束して暮らしたことは思い出深い。外国に来なければ経験できないような、両親からの想定外の愛も甘受した。
黄色い家は、思い出深い。
<家4/4>
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