社会党予備選挙の陰に隠れそうになっているサルコジ大統領。世論調査でも、16日の決選投票で決まる社会党候補の優勢が伝えられています。国民との「絆」は切れてしまっているようですが、では、選挙戦で、何をアピールするつもりなのでしょうか・・・
大統領府の報道官、フランク・ルヴリエ(Franck Louvrier)が、「歯が痛い時、人は新しい歯医者には行かないだろう。治療してもらったことのある歯医者に行くはずだ」と語っているそうです(週刊誌“Le Point”9月1日号)。『ル・ポワン』の記事は、それを次のように言い換えています。嵐が吹きすさぶ時、船の舵を握る船長を換えるべきではない。
つまり、EUの債務危機、景気の二番底、北アフリカの混乱、アフガニスタンやイラクなど、世界が多くの困難に直面している時には、国のトップを換えるべきではない。今までの経験と実績に頼るべきだ・・・国際面での活躍という実績で再選を目指したいということのようです。日本でも言いますね、「嵐の海で船長を換えるな」とか、「急流で馬を乗り換えるな」などと。
一方、野党・社会党からすれば、へぼ船長は交代すべし、駄馬は乗り換えるべし、ということになるのでしょうね。はたして、16日に決まる社会党の公認候補は、どのようなメッセージを発するのでしょうか。
その社会党公認候補を決める予備選挙。フランスでは初めてオープンな選挙となりました。社会党は前回、前々回の大統領選の際、党員による予備選挙で候補者を選びましたが、今回は1ユーロ以上を払い、左翼支持であることを誓えば、だれでも投票することができます(la primaire citoyenne)。
その結果、250万もの人が投票所に押し掛ける結果となりました。大成功・・・話題提供という意味ではもちろんですが、党財政にとっても思わぬ天の恵みとなったようです。どの程度の収入になり、また選挙費用はいくらくらいかかるのでしょうか。10日の『ル・フィガロ』が伝えています。
予備選への投票者の殺到は、その実施費用を埋め合わせることになりそうだ。実際、投票者には、1ユーロ以上の協力が求められた。
第1回投票に250万人もが押し寄せた結果、社会党は投票者からの協力費の総額が320万から370万ユーロ(約3億3,300万円から3億8,500万円)になると見積もっている。この数字は選挙費用の総額をほぼカバーできる額だ。
社会党の会計責任者、レジス・ジュアニコ(Régis Juanico)は、ラジオ局・Europe 1のインタビューに答えて、協力金の総額はおそらく375万ユーロ(約3億9,000万円)になるだろうという予測を明らかにした。左翼支持者たちは、第1回投票に際して、平均1.5ユーロ(約156円)を支払った。パリに限れば、その平均は1.8ユーロ(約187円)になる。16日の決選投票にも250万人が投票するとすれば、余剰金が生まれることになり、その金額は公認候補の大統領選挙費用として活用されることになる。しかし、その額は非常に大きなものと言えるほどにはならないだろう。
投票者の支払いが選挙実施費用を賄うことになりそうだが、その費用は当初の予想よりも膨らんでいる。社会党による最新の見積もりでは350万ユーロほどのコストがかかるということになっている。当初は150万ユーロということだったが。週刊紙“le Journal du Dimanche”とのインタビューで、社会党幹部の代弁者である、弁護士のジャン=ピエール・ミニャール(Jean-Pierre Mignard)は、コスト増の主な理由は投票者のリストに不備が多く見つかり、投票者を再確認する作業を行ったが、その費用が大きく膨らんでしまった、と説明している。
また、管理の強化もコスト増につながった。特に、社会党は不正を防ぐために電子ペンの使用を想定していなかった。指摘されて、急遽、投票所に準備したのだが、その費用は30万ユーロ(約3,120万円)になった。さらには、多くの警備員を雇ったことも大きなコストになったと、ミニャール弁護士は語っている。
候補者に認められた予算もまた、選挙戦直前に上方修正された。各候補者は3万ユーロという当初の予算に対し、最終的には5万ユーロ(約520万円)を受け取ることになった。増えた地方遊説や集会、新たな印刷物などが増額の背景となった。
しかし、第1回投票で上位を占めたフランソワ・オランド(François Hollande)とマルティーヌ・オブリ(Martine Aubry)は不足分を補うべく、党所属の議員や党員たちに協力を呼び掛けた。最終的にオランドは25万ユーロ(約2,600万円)、オブリは20万ユーロ(約2,080万円)を選挙費用として活用した。アルノー・モントゥブール(Arnaud Montebourg)の選対副委員長は最近、党員からの支援も含め、最終的に10万ユーロ(約1,040万円)をモントゥブールは選挙に用いたと語っている。
決選投票で勝利した、党の公認候補だけが大統領選へいくらの予算が回されるのか、知ることになる。
・・・ということで、党の公認候補選びとはいえ、候補者の選挙予算は、わずか1,000万円や2,000万円。党全体でも総コストが3億数千万円。日本と比べて、どうなのでしょうか。寡聞にして知らないのですが、例えば党員・サポーター参加の党首選の場合、わずか1,000万円とかの予算で選挙戦を戦うことができるものなのでしょうか。選挙運動期間を極力短くしてしまえば、コストも低く抑えられるのかもしれないですが、それでは、党員・サポーターへの訴えかけが不十分。どうしても、コストは膨らんでくる・・・
政治とカネ、特に選挙とカネ、解決する妙案はないものでしょうか。国民は、自らにふさわしい政治しか持てない、とも言います。国民の知恵で、解決したいものですが、その第一歩は・・・政治家から個人的見返りを求めないことでしょうか。持ちつ持たれつのもたれ合いでは、なかなか解決しそうにありません。しかし、上手に利用し合うのが賢い生き方だという、いたって現実的な意見もあるようですが、さて・・・
大統領府の報道官、フランク・ルヴリエ(Franck Louvrier)が、「歯が痛い時、人は新しい歯医者には行かないだろう。治療してもらったことのある歯医者に行くはずだ」と語っているそうです(週刊誌“Le Point”9月1日号)。『ル・ポワン』の記事は、それを次のように言い換えています。嵐が吹きすさぶ時、船の舵を握る船長を換えるべきではない。
つまり、EUの債務危機、景気の二番底、北アフリカの混乱、アフガニスタンやイラクなど、世界が多くの困難に直面している時には、国のトップを換えるべきではない。今までの経験と実績に頼るべきだ・・・国際面での活躍という実績で再選を目指したいということのようです。日本でも言いますね、「嵐の海で船長を換えるな」とか、「急流で馬を乗り換えるな」などと。
一方、野党・社会党からすれば、へぼ船長は交代すべし、駄馬は乗り換えるべし、ということになるのでしょうね。はたして、16日に決まる社会党の公認候補は、どのようなメッセージを発するのでしょうか。
その社会党公認候補を決める予備選挙。フランスでは初めてオープンな選挙となりました。社会党は前回、前々回の大統領選の際、党員による予備選挙で候補者を選びましたが、今回は1ユーロ以上を払い、左翼支持であることを誓えば、だれでも投票することができます(la primaire citoyenne)。
その結果、250万もの人が投票所に押し掛ける結果となりました。大成功・・・話題提供という意味ではもちろんですが、党財政にとっても思わぬ天の恵みとなったようです。どの程度の収入になり、また選挙費用はいくらくらいかかるのでしょうか。10日の『ル・フィガロ』が伝えています。
予備選への投票者の殺到は、その実施費用を埋め合わせることになりそうだ。実際、投票者には、1ユーロ以上の協力が求められた。
第1回投票に250万人もが押し寄せた結果、社会党は投票者からの協力費の総額が320万から370万ユーロ(約3億3,300万円から3億8,500万円)になると見積もっている。この数字は選挙費用の総額をほぼカバーできる額だ。
社会党の会計責任者、レジス・ジュアニコ(Régis Juanico)は、ラジオ局・Europe 1のインタビューに答えて、協力金の総額はおそらく375万ユーロ(約3億9,000万円)になるだろうという予測を明らかにした。左翼支持者たちは、第1回投票に際して、平均1.5ユーロ(約156円)を支払った。パリに限れば、その平均は1.8ユーロ(約187円)になる。16日の決選投票にも250万人が投票するとすれば、余剰金が生まれることになり、その金額は公認候補の大統領選挙費用として活用されることになる。しかし、その額は非常に大きなものと言えるほどにはならないだろう。
投票者の支払いが選挙実施費用を賄うことになりそうだが、その費用は当初の予想よりも膨らんでいる。社会党による最新の見積もりでは350万ユーロほどのコストがかかるということになっている。当初は150万ユーロということだったが。週刊紙“le Journal du Dimanche”とのインタビューで、社会党幹部の代弁者である、弁護士のジャン=ピエール・ミニャール(Jean-Pierre Mignard)は、コスト増の主な理由は投票者のリストに不備が多く見つかり、投票者を再確認する作業を行ったが、その費用が大きく膨らんでしまった、と説明している。
また、管理の強化もコスト増につながった。特に、社会党は不正を防ぐために電子ペンの使用を想定していなかった。指摘されて、急遽、投票所に準備したのだが、その費用は30万ユーロ(約3,120万円)になった。さらには、多くの警備員を雇ったことも大きなコストになったと、ミニャール弁護士は語っている。
候補者に認められた予算もまた、選挙戦直前に上方修正された。各候補者は3万ユーロという当初の予算に対し、最終的には5万ユーロ(約520万円)を受け取ることになった。増えた地方遊説や集会、新たな印刷物などが増額の背景となった。
しかし、第1回投票で上位を占めたフランソワ・オランド(François Hollande)とマルティーヌ・オブリ(Martine Aubry)は不足分を補うべく、党所属の議員や党員たちに協力を呼び掛けた。最終的にオランドは25万ユーロ(約2,600万円)、オブリは20万ユーロ(約2,080万円)を選挙費用として活用した。アルノー・モントゥブール(Arnaud Montebourg)の選対副委員長は最近、党員からの支援も含め、最終的に10万ユーロ(約1,040万円)をモントゥブールは選挙に用いたと語っている。
決選投票で勝利した、党の公認候補だけが大統領選へいくらの予算が回されるのか、知ることになる。
・・・ということで、党の公認候補選びとはいえ、候補者の選挙予算は、わずか1,000万円や2,000万円。党全体でも総コストが3億数千万円。日本と比べて、どうなのでしょうか。寡聞にして知らないのですが、例えば党員・サポーター参加の党首選の場合、わずか1,000万円とかの予算で選挙戦を戦うことができるものなのでしょうか。選挙運動期間を極力短くしてしまえば、コストも低く抑えられるのかもしれないですが、それでは、党員・サポーターへの訴えかけが不十分。どうしても、コストは膨らんでくる・・・
政治とカネ、特に選挙とカネ、解決する妙案はないものでしょうか。国民は、自らにふさわしい政治しか持てない、とも言います。国民の知恵で、解決したいものですが、その第一歩は・・・政治家から個人的見返りを求めないことでしょうか。持ちつ持たれつのもたれ合いでは、なかなか解決しそうにありません。しかし、上手に利用し合うのが賢い生き方だという、いたって現実的な意見もあるようですが、さて・・・