昨夜はまたも決定打不足で相手先発・黒田投手に完投で12勝目を献上した。
「ここ一番でボールが違う。川上(中日)にしてもそうや。そこが一流のピッチャーの違いや。相手どうのという問題じゃなく、技術以上の気持ちがウチより優れている」と賛辞の言葉を送るしかない。こうした相手投手への賛歌は屈辱の裏返しだが、阪神球団は早くから水面下で黒田投手の身辺調査を進めている。
岡田監督の続投が決定的となる中、補強の目玉として、権利行使なら黒田投手獲得に向かう態勢を既に整えつつある。
宮崎恒彰オーナー(63)も「タンパリングがあるから名前は出せない」と明言を避けながらも、現場の要望には応じる構えで、巨人らライバル球団の参戦も予想されるが、球団は4年ぶりのFA戦線参入に好感触を得ているのも確かだ。
黒田投手自身も「初めての経験ですし、かなり悩むでしょうね」と心境を吐露している。ただ最近の言動で注目すべきは、最終決断を誰にも縛られず、自らの価値観に沿って下すという点だ。
「家族に相談するにしても、結局、決めるのは自分。野球をやりたいということは、変わらないですから」と語り、プロ入りから10年間、エースとして一本立ちできたチームへの愛着、球団に対して恩義はもちろん感じているはずだが、現時点で球団側の対応にさほど興味を示していない様子だ。
複数のチームメートが「今季限り」を予感しているのも、敏感に何かを感じているから、と思われる。
もちろん、広島側は流出阻止に最大限の誠意を示す。
権利行使と同時に、残留交渉を打ち切るこれまでの球団方針を転換して“宣言残留”を容認する考えなのだという。
「来年以降もやってもらいたい。(09年春完成予定の)新球場の第1球に152キロの速球を投げてほしい」と広島の球団幹部も明言している。
ただ、当の黒田投手は「球団とそんな話もしていないですから、なんとも言えない」と語っている。
巨人戦の放映権料が激減したことなどから、ここ2年間で広島は14億円の収入源という情報も阪神側は入手しているという。
今季の黒田投手の年俸は2億円で再契約には相当の出費を要するが、球団の慣例に従い、シーズン中での残留交渉が行われない見通しなのも黒田投手の判断材料になりそうな雲行きなのだという。
黒田投手は大阪市生まれで、上宮高出身で、その大阪には今でも81歳と高齢の父・一博さんも残している。
黒田投手がFA権利行使なら、今オフは岡田阪神に“地の利”がありそうな雰囲気だ。
もちろん今季の黒田投手には米大リーグの編成担当者も関心を寄せ、現時点で11球団が視察に球場を訪れている。
しかし「僕はあまりメジャーを見ないので知らないのですが、あれだけ日本の選手が行くということは魅力のある世界なんでしょうね」と黒田投手は語っている。 雅代夫人は英会話学校に通い、3歳の長女も英語学校に通う家族の動向を勘ぐる向きもあるが、本人はさほど興味を示していない模様だ。
是非来期虎のエースになって欲しい!