団体、ダブルス、シングルスと決勝までフル出場し、ラケットで顔に風を送りながら5日間の厳しい日程をこなしてきた福原選手の総体での今大会21試合目は、予想外の結果だった。
「いい経験になりました」。悔しさを隠して努めて冷静に語った。
同学年以下の日本選手に負けるわけにはいかない、という重圧からなのだろうか、決勝は、緩急をつけてバックにフォアに自在に打ち分けていた準決勝までの余裕がなかった。
1カ月前から福原選手対策を考えていた宇土選手に、強打でバックを突かれたり、返しにくいコースにサーブを打たれたりしてペースを握られ、「巻き込まれました」と本人も語る様に、リードしていた第3セットを10―12で落とすと、第4セットは「サー」のかけ声も出ないほど、一方的に押し切られ敗戦した。
魏京生監督は「今はみんな福原の弱点を知っている」と渋い顔だったという。
それでも今回の総体は「五輪や世界選手権よりも、ある意味勉強になった」と福原選手はいう。
団体戦で苦戦したカットマンの石垣選手(宮城・秀光中等教育学校)を「すごい伸びている選手」と評価し、自らが克服すべき課題を再認識したのだと思う。
シングルスの敗戦も「今まで縛り付けられたみたいな感じがあった。これからは思い切ってやれそう。前よりプレッシャーがなくなってきた」と前向きにとらえている様だ。
魏監督によると、総体に続いて秋の国体(兵庫)にも出場する予定だという。
きっとその時は、また一回り成長した姿が見られるはずだから期待したい。