元選手「機械になったも同然」、米体操連盟元医師による性的暴行の詳細明かす
2017年2月20日 16:57 発信地:ニューヨーク/米国 [ 北米 米国 ]リオデジャネイロ五輪、体操女子総合の平均台に臨む選手(2016年8月11日撮影、資料写真)。(c)AFP/Ben STANSALL
https://www.afpbb.com/articles/-/3118531
【2月20日 AFP】米国体操連盟(USA Gymnastics)の元医師であるラリー・ナサール(Larry Nassar)被告が女子選手に性的暴行を加えていたとする問題をめぐり、元五輪代表選手ら3人が19日、同国テレビ局CBSのニュース番組「60ミニッツ(60 Minutes)」に出演し、当時受けた被害の詳細を語った。
女子団体総合で銅メダルを獲得した2000年シドニー五輪のメンバーの一人であるジェイミー・ダンツスチャー(Jamie Dantzscher)さんは、1999年から2001年にかけて新体操の全米女王に君臨していたジェシカ・ハワード(Jessica Howard)さんと、1995年から2000年の米代表メンバーであるジャネット・アントリン(Jeanette Antolin)さんに続き、公に名乗り出た。
13歳で全米ジュニアチーム入りを果たした直後、背中の痛みを訴えた際に初めてナサール被告と面識を持ったというダンツスチャーさんはCBSに対し、「彼は私の中に指を入れたり、脚を動かし回したりした。そうすることで関節が鳴るのを感じて、臀部(でんぶ)の位置を元に戻すだけでなく、背中の痛みにも効くからと言い聞かせてきた」と語った。
「それが、シドニー(Sydney)で行われた五輪までずっと続いた。私が18歳になるまで」
一方のアントリンさんは、治療だと思っていたものが、実際は性的暴行だったということに気づいたのは昨年だったいう。
「突然に理解した」というアントリンさんは、「彼を信じていた。自分は弱い立場にあるということや、そうした不適切なことを知ってしまえば、私自身を台無しにしてしまうと、子どもながらに理解していた」と話した。
選手の保護を怠ったとして米国体操連盟を訴えた40人の女性の代理人を務めているジョン・マンリー(John Manly)弁護士は、ナサール被告が20年以上にわたり、同国代表のコーチを務めたベラ・カローリ(Bela Karolyi)氏とマルタ・カローリ(Martha Karolyi)氏の練習施設で汗を流した数百人もの女子選手を虐待していた可能性があると主張する。
マンリー弁護士は「最終的には1996年以降の五輪チームすべてに、彼から被害を受けた選手が含まれているはず」とすると、「これは連続的性犯罪。ここでの問題は、誰も少女を保護するために注意して見てこなかったということ。そして、彼ら(米国体操連盟とカローリ両氏)はメダルとお金を第一としてきたということだ」と語った。
昨年、米ミシガン(Michigan)州で子どもへの性的虐待で逮捕された52歳のナサール被告は、同12月に児童ポルノの画像などを所持していたとして起訴された。
1996年から2015年まで五輪チームの医師として、米代表の体操選手を治療していたナサール被告について、原告の女性らは、肛門や膣に指を入れられたり、胸をまさぐられたりしたと主張。これについてナサール被告は、適切な医療処置を行っただけだとして容疑を否定している。
■「機械になったも同然」
アントリンさんは、「完璧を目指すという点で彼らがかけてくる重圧は、本当にとてつもなく、ストレスのかかるものだった」と振り返ったうえで、声を上げれば「チャンスを損なう」ことになると周知されていたと続けた。
「誰も他人と違うことをしたくなかった。なぜなら、そこには自分自身が成功するかどうかを決定する人々がいたから。だからとにかく従い、やれと言われたことをやるしかなかった」
ハワードさんも「何も言えるような状況ではなかった」と説明すると、「もし何か言えば、トラブルに巻き込まれてしまう可能性があったし、あえて自分を苦しめるようなことは最もやりたくなかった」と話した。さらに、ナサール被告の治療には違和感を覚えていたものの、「機械になったも同然」で訴え出ることはできなかったと付け加えた。
ダンツスチャーさんはまた、ナサール被告が練習に菓子やあめを持ち込み、選手からの信頼を築いていたと主張。そうすることが、五輪を目指す練習でのストレスを軽減させると理解していたという。
ダンツスチャーさんは、CBSに対し「私は常に問題を抱えているように感じていた」とすると、「そこまでハードワークできていなかった。体重を減らすよう注意され、無理やり吐こうとしたときもあった」と回想した。
「彼は仲間みたいだった。私の味方でいてくれた。体育館では笑顔を見せることも禁じられているように感じたが、治療中は冗談を飛ばしたり、コーチたちの悪口を言ってくれたりした。一筋の光のようだった」 (c)AFP
■「機械になったも同然」
アントリンさんは、「完璧を目指すという点で彼らがかけてくる重圧は、本当にとてつもなく、ストレスのかかるものだった」と振り返ったうえで、声を上げれば「チャンスを損なう」ことになると周知されていたと続けた。
「誰も他人と違うことをしたくなかった。なぜなら、そこには自分自身が成功するかどうかを決定する人々がいたから。だからとにかく従い、やれと言われたことをやるしかなかった」
ハワードさんも「何も言えるような状況ではなかった」と説明すると、「もし何か言えば、トラブルに巻き込まれてしまう可能性があったし、あえて自分を苦しめるようなことは最もやりたくなかった」と話した。さらに、ナサール被告の治療には違和感を覚えていたものの、「機械になったも同然」で訴え出ることはできなかったと付け加えた。
ダンツスチャーさんはまた、ナサール被告が練習に菓子やあめを持ち込み、選手からの信頼を築いていたと主張。そうすることが、五輪を目指す練習でのストレスを軽減させると理解していたという。
ダンツスチャーさんは、CBSに対し「私は常に問題を抱えているように感じていた」とすると、「そこまでハードワークできていなかった。体重を減らすよう注意され、無理やり吐こうとしたときもあった」と回想した。
「彼は仲間みたいだった。私の味方でいてくれた。体育館では笑顔を見せることも禁じられているように感じたが、治療中は冗談を飛ばしたり、コーチたちの悪口を言ってくれたりした。一筋の光のようだった」 (c)AFP