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悪知恵と陰謀を巡らす文在寅政権

2022-03-27 15:06:34 | 日記

悪知恵と陰謀を巡らす文在寅政権 新旧大統領会談でこっそりお願いしたいこと

2022年03月27日 08時00分 デイリー新潮

 

 韓国の尹錫悦政権は、5月10日午前0時に発足するが、大統領府(青瓦台)の移転をめぐり文在寅大統領が嫌がらせを展開している。

見苦しい行為だが、退任後の逮捕回避への悪巧みがミエミエだ。

さらに政権発足時に打撃を与え、尹錫悦政権の弱体化を図ろうとの手も打つ。韓国につきまとう、悲しい陰謀政治だ。


■密室会談で逮捕回避の悪巧み


 この新旧政権の全面衝突の背後には、逮捕回避のもくろみがある。メディアは報じないが、文在寅大統領と政権高官の逮捕逃れと、尹錫悦政権の行方がかかった全面戦争だ。

 韓国では大統領交代の際に、新旧政権の引き継ぎ交渉が行われる。政権移譲に混乱を招かないためだ。米国の大統領制度を、参考にしている。

新旧大統領の会談が行われるのも、慣例だが、暗礁に乗り上げた。

 文在寅大統領は、新旧大統領二人だけの密室会談を求めた。尹錫悦氏は拒否し、政権引き継ぎ委員を入れた全体会議にしたいと応じたが、文在寅は「失礼だ」と受け入れなかった。何が「失礼」なのか、よくわからない。

 何があるのか。尹錫悦氏は、二人だけの密室会談にしたら、文在寅が「自分と家族を逮捕しないでほしい」との話を持ち出す、と警戒した。

この申し出を拒否するにしろ、受け入れるにしろ密かに録音・録画される危険がある。後で公開されたら、新政権は窮地に立たされる。この手口を知っているから、新大統領は拒否した。

 実は、大統領選挙では文在寅大統領と与党候補の李在明氏の関係は、最悪だった。

文在寅大統領は李候補の支持率低下を理由に、大統領候補を入れ替える工作をしているとの噂も流れた。

ところが二人だけの密室会談が行われ、関係は突然改善した。

大統領は全面支援を約束し、李在明氏は当選したら大統領を逮捕しないと約束した、との話が広がった。

同じように、文在寅大統領には尹錫悦当選者との密室会談を、実現させる必要があったが失敗した。


■青瓦台は王様的権威と独裁の象徴


 文在寅は、なお秘密会談を実現させるために、次の悪知恵をはたらかせた。

「青瓦台(大統領府)移転絶対反対」だった。

文在寅政権は、「青瓦台移転には巨額の予算が必要になる」と批判し、協力しない立場を表明。

尹錫悦氏は、大統領就任まで移転作業ができなくても青瓦台には入らない、仮設の執務室で仕事をする、と一歩も譲らない。この攻防戦には、政権の行方が掛かっているのだ。

 青瓦台は、屋根の瓦が青色なのでそう呼ばれる。日本支配時代の朝鮮総督の官邸だった。

日本の力を誇示するために、王様が住む景福宮を見下す位置に建てたのだから、趣味が悪い。

被支配民族の悲しみを理解する心がない。植民地支配の象徴である青瓦台を大統領官邸にした方も、おかしい。

 青瓦台は、日本支配の象徴で、独立後は「政権独裁」の権威になった。

これを打破するため、尹錫悦氏は選挙公約に「青瓦台」移転を掲げた。

「青瓦台は、帝王的大統領のイメージの象徴だ」と批判した。

大統領の権限濫用を抑え、自由民主主義国家にしたいとの思いだ。

「権威主義」は、韓国政治の伝統的な文化といわれ、尹錫悦氏はそれが独裁政治を生み出したと考え、権威主義を韓国政治から追放しようとしている。

韓国の大統領は王様のように振る舞い、多くの権限を濫用した。


■韓国は自由民主主義国家ではない


 一度青瓦台に入り、その後で移転したらどうかとの意見もあるが、尹錫悦氏は青瓦台には一度入ったら二度と移転できない魔力がある、と警戒する。

周辺が、いろんな理屈をこねて大統領府移転を実現させないだろう。尹氏の信念は固い。「青瓦台に入ったら、帝王的大統領に染まる」と語る。

 彼は、文在寅政権を自由民主主義でなく独裁体制だ、と批判してきた。

発展途上国の多くは、大統領制選挙を実施し表面上は民主主義のように見えるが、多くは大統領が全権を握る「独裁制」になっている。

形式上の民主主義を利用した、事実上の独裁体制だ。新大統領はこの危険を指摘し、文在寅大統領と全面対決した。

韓国は、日本に対して「反日全体主義政権」であった。

 歴代政権の不正腐敗を暴いた尹錫悦氏は、選挙で「韓国を自由民主主義国家にする」と訴えた。その信念の象徴が、青瓦台の移転だ。韓国の大統領は、アメリカの大統領よりも絶大な権限を持つ。議会や司法は、大統領の「しもべ」と揶揄されてきた。多くの開発途上国の議会は、大統領の意向に逆らえないから、民主的的独裁制に堕落する。

 米国の政治は、大統領と議会、司法の三権が平等の権限を有しており、この三つの機関を総称して「政府」と呼ぶ、日本のように行政機関を「政府」とは呼ばない。大統領府は「バイデン政府」ではなく「バイデン行政府」と報道される。


■眠れない夜の大統領と高官たち


 実は、文在寅大統領は3月21日に国家安全保障会議(NSC)を、青瓦台で開いた。この会議後に、新大統領の青瓦台移転計画反対を公式に発表した。理由は、安全保障の空白が生まれる危険があり、予算も予備費では捻出できない、との内容だった。だが、本当の理由は新政権揺さぶりと尹錫悦新大統領との秘密会談だ。

 政治権力は、発足直後は高支持率を背景に一年間は強力な権力を行使する。韓国では、この傾向が特に見られる。これを阻止するためには、政権発足当初にスキャンダルや失政を攻撃する必要がある。韓国政治は「権力は恐ろしくない」と思われたら、国民は従わない。

 朴槿恵政権は、政権発足直後に父親の朴正煕政権の学生弾圧が明らかにされた。反政府運度の学生が殺害され、拷問を受けた事実が報道された。これを受け、朴槿恵大統領は謝罪に追い込まれ、政権の権威は失墜した。朴槿恵大統領は、「親日派」と攻撃され日韓関係改善に取り組めなかった。

 その前の李明博大統領は、政権出発直後にいわゆるBSE(狂牛病)肉の輸入問題で攻撃され、大規模デモが連日続き権力が弱体化した。

 この左派の成功体験から、文在寅政権も政権発足前の尹錫悦大統領を攻撃し、当初から政権弱体化を図ろうとしている。大統領官邸の移転に反対する署名が20万人に達したと報じられるが、左派系の団体や労働組合を動員したもので、重複署名もあるだろう。だが、大きな反対デモは起きていない。

 文在寅大統領は、こうした反対の動きを示し、尹錫悦氏との二人だけの秘密会談を実現しようとしている。これに応じたら、新政権は開始直後から弱体化すると、尹氏も理解しているから、激しい攻防が展開された。

 韓国の多くの新聞は、文在寅政権の経済政策や土地政策の失敗を指摘しだしており、大統領選挙前のように文在寅政権に配慮しなくなった。青瓦台の移転にも、好意的な社説を掲げている。新政権発足前に、韓国銀行総裁などの人事を断行しようとする文在寅政権を批判し、新しい大統領に任せるべきだと指摘する。

 追い詰められた文在寅大統領と身の不正を心配する高官は、不正腐敗摘発と逮捕拘束の悪夢に眠れない夜をおくる。尹錫悦新大統領を傷つけようと必死だ。

重村智計(しげむら・としみつ)
1945年生まれ。早稲田大学卒、毎日新聞社にてソウル特派員、ワシントン特派員、 論説委員を歴任。拓殖大学、早稲田大学教授を経て、現在、東京通信大学教授。早 稲田大学名誉教授。朝鮮報道と研究の第一人者で、日本の朝鮮半島報道を変えた。 著書に『外交敗北』(講談社)、『日朝韓、「虚言と幻想の帝国の解放」』(秀和 システム)、『絶望の文在寅、孤独の金正恩』(ワニブックPLUS)など多数。

デイリー新潮編集部


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