さすらいの青春(441)
𝓛𝓮 𝓖𝓻𝓪𝓷𝓭 𝓜𝓮𝓪𝓾𝓵𝓷𝓮𝓼
———————【441】————————————
— Je vous pardonne, dit-elle gravement.
Mais il faut que je rejoigne les enfants,
puisqu'ils sont les maîtres Adieu. »
Augustin la supplia de rester un ins-
tant encore. Il lui parlait avec gaucherie,
mais d'un ton si troublé, si plein de dé-
sarroi, qu'elle marcha plus lentement et
l'écouta.
« Je ne sais même pas qui vous
êtes », dit-elle enfin.
..————————(訳)—————————————
「許して差し上げましてよ.」彼女は真剣な面
持ちでした. 「でも私、これから子供たちと合
流しなくちゃならないのですわ. あの子たちは、
きょうはご主人さまたちだからですわ.それじゃ
さようなら.」
モーヌはまだもう少し彼女にいてほしいと頼み
込みました.彼は女性にぎこちない話し方をして
いて、それがあまり不安そうな、不器用な口調だ
ったため、女性は歩く速度をゆるめて、モーヌに
聞いた.
「私、あなたがどなたなのかも存じ上げており
ませんわ.」と、ついに彼女は口を開いた.
————————《語句》————————————
gravement:(副) 真剣な面持ちで
rejoigne:(接現/1単) < rejoindre
rejoindre:(他) 再び一緒になる、合流する.
に追いつく;
il faut que + 接続法:~しなければならない
Il faut que je rejoigne les enfants. / 私は
子供たちに追いつかなくてはならない.
puisque:(接) ~なのだから、
Augustin:(人名) モーヌのこと.
Augustin Meaulnes が彼の名前.和訳では
日本の小説に従い「モーヌ」と終始一貫
した名前で訳そうと思います
なお先生方の翻訳書は5冊が原文通りオ
ギュスタン、もしくはオーギュスタンと
なっていて、モーヌと訳した書は1冊、
角川文庫(水谷先生)のみでした.日本
の小説では主人公は家族名ではなく個人
名を繰り返す習いによるものかも!しかし
日本人の名は家族名が呼びにくく個人名
が呼びやすい名なので、呼びにくいオギ
ュスタンよりもモーヌを繰り返すほうが
いいと思います.角川文庫訳に賛成!
supplia:(直単過/3単) < supplier [スュプリエ]
supplier:(他) 懇願する
< supplier qn de + 不定詞 >
qn に~してくれるよう懇願する
Je l'ai supplié de garder le secret.
私は秘密を守ってほしいと彼に懇願した.
gaucherie:(f) ぎこちなさ、不器用さ.
Il y a de la gaucherie dans ses gestes. / 彼(女)
の動作にはぎこちないところがある.
ton:(m) 口調、語調
troublé, e:(形) 動揺した、不安な、困惑した
désarroi:[dezarwa, デザルワ](m) (心の)混乱、
動揺、狼狽;Cette nouvelle l'a plongé dans
un profond désarroi. / この知らせに彼は深
い混乱に陥った.
marcha:(直単過/3単) < marcher (自) 歩く
lentement:(副) ゆっくり
écouta:(直単過/3単) < écouter (他) 聞く