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「鎌倉殿の13人」・新垣結衣さん演じる「八重姫」の運命

2022-01-08 | 鎌倉殿の13人
ネタばれの「可能性」があります。NHKが発行する「あらすじ紹介ブック」は読んでいませんが、時代考証を担当する坂井孝一さんの「鎌倉殿と執権北条氏、義時はいかに朝廷を乗り越えたか」を読んで書いているからです。ネタバレする可能性が高いということになります。

さて、新垣結衣さん演じる「伊東八重」は伊東祐親(すけちか)という平氏側の有力武士の「娘」です。八重さんは源頼朝の「最初の妻」で、子供も産みます。しかしそれを知って怒った伊東祐親は、生まれた子供を殺し、源頼朝とも敵対関係に入ります。八重さんは北条義時と似た名前をもつ「江間次郎」または「江間小四郎」のもとに嫁にいかされます。

「悲劇の人」らしいのですが、どうもそうでもないらしいのですね。なぜなら「北条義時の初恋の人」とも書いてあるからです。

ちょっと歴史に興味があって、ネット検索をよくする人間ならここで「あれ、おかしいな」となるはずです。なぜなら「北条義時の母は伊東祐親の長女」だからです。すると「伊東祐親の三女」である八重さんは「実のおばさん」です。年齢は近くても、血のつながった叔母さんです。「初恋の人」とはおかしな話です。もちろん「当時はありえた」(叔姪婚、しゅくてつこん)でもいいのですが、現代語で話しているし、全体に現代的ですから「見ている側」はいかにも気持ち悪い。「近親婚」は「当時はあった」としても、一応大河では描かない「お約束」があります。

この矛盾を回避するためには、①「北条義時は伊東祐親の娘の子ではない」とするか②「八重さんは伊東祐親の実子ではなく養女」とするしかありません。①は動かしがたい感じなので、容易なのは②です。

さて、八重さん。頼朝と引き離され、江間さんと結婚します。が、この江間さんも比較的早くに死んだようです。八重さんの運命は史実的には分かりません。

で、時代考証の坂井さんがどういう「大胆な仮説」を立てているかというと、八重さんは三浦に預けられ、その後、義時の最初の妻になったというものです。推論の上に推論という感じは否めないんですけどね。

最初の妻は公式的には「姫の前」で、義時は30歳ぐらいで初婚を迎えます。当時としては相当晩婚みたいです。その前に妻相当の八重がいて、その人が「北条泰時を生んだ」と坂井さんは仮説を立てています。

つまり全く詳細が分からない「泰時の母である阿波局」が八重ということです。ガッキーを起用して「早々に離婚で退場」ではおかしいので、私も前から「もっと長く出演するだろう」と予想していたのですが、「八重は義時の実の叔母さん」問題があって、「阿波局だ」とまで予想できなかったのです。叔母さんに憧れるの(初恋)はいいが、子供作ってはまずいでしょと思ったからです。伊東祐親の実子ではないとして「回避」するのでしょうか。いや義時の母の方の「伊東祐親の長女」を伊東祐親の実子ではないとするのか。そっちの方が簡単かも知れません。

前々からあれほど高名な「北条泰時」の母親が誰だかよく分からないのはおかしいなと思っていました。まあ史学的には今でも「誰だかよくわからない」わけですが、坂井さんは「八重だ」という考えを「仮説」として書いています。

ただし泰時を生んだ後の「その後」は「死んだ」とされています。死んだので「姫の前」と義時は「再婚?」したということです。

あれ死んでしまうのか。いやそれでは新垣結衣ファンが許さないのではないか。すると「死んだと思ったけど京都で生きていた。記憶をなくしていた」などの設定が考えられます。これ三谷さんは「真田丸」において「真田信繁の姉の設定」として採用しています。

ちなみに「八重に相当する人物」は43年前の大河「草燃える」にも登場します。北条義時の初恋の人です。「大庭景親」の娘、「茜」で、松坂慶子さんが演じました。やはり「泰時を生む」のだろう。あの赤ん坊は泰時なんだろうと思います。でも妊娠すると同時に、義時のもとを去り、京で平家の女房となります。なんで去るかというと、頼朝に夜這いされたから、です。泰時は頼朝の子という設定なのかも知れません。義時の子か頼朝の子か、わからない感じにドラマではなっています。とにかく京で生き、そして壇ノ浦で平氏と運命を共にします。さらに書けば、それでは松坂慶子さんの出番がなくなるということで、後に「そっくりな顔をした女性」として登場し、悪人となった北条義時の前に現れ、、、、という感じになります。妖艶な女性として再登場します。純情娘も妖艶な美女もできる点が松坂さんの強みでした。ガッキーも「そっくりな女性」として再登場するかも知れません。妖艶かどうかは分かりません。

史実的には「八重姫は本当にいたのかさえ分からない」人です。頼朝の流人時代のことは「頼朝説話」と言われます。作り話が非常に多いらしい。

三谷さんは「意外と史実の縛りを意識している」人なんで、他の人物はそれなりに史実風にふるまうでしょうが、「八重は比較的自由な駒」として利用できます。「泰時を生む」、、ここまでは確定的だと思います。その後は普通に考えれば病気で死にます。でもなぜか生きていた、、、そして年末になっても登場する。私は別にガッキーの熱烈なファンではありませんが、そう予想しておきます。


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