浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

司法の崩壊

2024-08-04 14:25:24 | その他

 『地平』9月号の連載、「ルポ司法崩壊」はおそろしい話である。

 弁護士は、弁護士法に「弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする。」とあるように、常に社会正義を背負っているはずである。

 しかし、弁護士の中には、「社会正義」や「基本的人権の尊重」を顧慮しない者もいるようだ。このルポの筆者・後藤秀典さんは、そうした弁護士の名を記す。前田后穂である。「ふるさとを返せ 津島訴訟」の原告として石井絹枝さんは、現地・津島で訴訟の現地進行協議が行われた際に原告として語った。そのとき、周囲にいる者に聞こえるように、前田が拡声器をつかって、「こちらの原告の世帯には住居取得費用として・・円、土地建物の賠償などと総額・・円を払っている・・・・」と言ったそうだ。

 原発事故がなければ、今まで通りに津島で生活できていたのに、やむをえず他の所に移転せざるを得なかった、しかしやはり故郷に帰って今まで通りの生活を取り戻したい、とおもうのはあたりまえだ。東電から賠償金などを得るのは当然のことで、その額を一般の人に知らせる必要はまったくない。東電の代理人として、前田は、なかなか卑怯なことをした。

 山田は、TMI総合法律事務所に属している。その経営者である岩倉正和は、東電側弁護団の筆頭である。

 そして前田は、なんとそこに入所する前までは、原子力規制庁にいた。原子力規制庁から東電弁護団へ移ったのだ。

 TMI総合法律事務所は巨大法律事務所では、日本人弁護士だけで569人いる。その共同経営者であった宮川美津子弁護士は、今や最高裁の裁判官である。他の巨大法律事務所出身の最高裁裁判官は、ほかに草野耕一(西村あさひ法律事務所、800人以上)、渡邉恵理子は、長島・大野・常松法律事務所(日本人弁護士543名)出身で、これらの法律事務所は企業と連携している。

 企業側と連携する巨大法律事務所出身者が、最高裁の裁判官になっている。

 後藤のこのルポを読み、裏金事件における検察の動きなどを見ると、日本の司法は、まさに「崩壊」していると考えざるを得ない。

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