『UP』11月号で、佐藤康宏氏によって紹介されていた本の一冊を、図書館から借りて読んでいるのだが、加賀屋氏のこの本はすばらしい。名著といっても良い。
まず文体が良い。流れるような文章で綴られているのだが、そのなかに広汎な学識と知性の輝きがそこはかとなく現れ出ていて、それでいてわかりやすい。
佐藤氏は「中身は軽くない。・・・専門家も非専門家も巻き込む力のある書物だ。美術史学とは何かを説明しつつ、図像学、イコノロジーについての解説から著者の立場までを簡明に論じたプロローグが備わることで、研究の最前線の地点で説く美術史入門の一冊」と記しているが、この本が刊行されたことで、美術史の門を開く者が増えるのではないかと思う。
「生まれることは苦しいか?」における出産の場面を描いた仏教説話画についての、古典の記述を背景にした説明は、わかりやすくとても興味深い。
こうした記述はしばしば民俗学関連の本で見かけるが、そこらへんにいる無責任なエセ民俗学者のうすっぺらい記述とは異なり、深い学識と幅広く渉猟した文献をバックにしているから、説得力がある。
※ボクは民俗学は「学問」ではないと思っている。あまりにひどい表面的な叙述に辟易しているからだ。
歴史に興味関心を抱く者には、ぜひ読んで欲しいと思う。
まず文体が良い。流れるような文章で綴られているのだが、そのなかに広汎な学識と知性の輝きがそこはかとなく現れ出ていて、それでいてわかりやすい。
佐藤氏は「中身は軽くない。・・・専門家も非専門家も巻き込む力のある書物だ。美術史学とは何かを説明しつつ、図像学、イコノロジーについての解説から著者の立場までを簡明に論じたプロローグが備わることで、研究の最前線の地点で説く美術史入門の一冊」と記しているが、この本が刊行されたことで、美術史の門を開く者が増えるのではないかと思う。
「生まれることは苦しいか?」における出産の場面を描いた仏教説話画についての、古典の記述を背景にした説明は、わかりやすくとても興味深い。
こうした記述はしばしば民俗学関連の本で見かけるが、そこらへんにいる無責任なエセ民俗学者のうすっぺらい記述とは異なり、深い学識と幅広く渉猟した文献をバックにしているから、説得力がある。
※ボクは民俗学は「学問」ではないと思っている。あまりにひどい表面的な叙述に辟易しているからだ。
歴史に興味関心を抱く者には、ぜひ読んで欲しいと思う。