浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

【本】大野更紗『困ってるひと』(ポプラ社)

2014-09-15 08:14:57 | 
 ほんとは、とてもたいへんで、「難」ばかりで、絶望的な状態にならざるを得ないのに、しかし絶望しないで、自分自身の運命に果敢に闘い続ける更紗さんに拍手。

 生きている以上は、生きなければならない。ふつうのひとは、生きていくことを自覚的に考えることはない。しかし更紗さんは、生きていくことにものすごいエネルギーを投入しなければならない。

 更紗さんは、しかしただ生きていくことだけでなく、人間として人間らしく生きていくことを選んでいる。だからよけいにたいへん。だけど、めげずに、多くの人の支えをえながら、果敢に自分自身の生を刻んでいる。

 すごいエネルギーだ。

 その更紗さんを支えているのは、ビルマ難民を支える活動という経験でもあるはずだ。更紗さんのそうした活動の周辺には、同じような考えをもった、人間的な同志がたくさんいるように、具体的な人ではないけれども、無数のビルマの人々が支えてくれているような気がする。

 この世の中には、偉い人がたくさんいる。更紗さんもその一人である。

 とてもとても明るい筆致で、「難」を苦しみとして感じさせない。難なく「難」を乗り越えているような生き方。すごい!!

 そして指摘しておかなければならないのは、更紗さんのような難病を持つ人々に、行政は暖かくはない、ということだ。生きていくためには、そうした制度と闘わなければならない。すくなくとも、ただでさえ生きにくいのだから、制度はそうした人々に使い勝手のいいようなものにすべきだということだ。残念ながら、役人たちは、机の前に座って考える。最前線には、非正規労働者を据え、実態をあまり知らないで制度をつくっていく。

 とにかくこの本、ぜひ読んで欲しい。

 

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