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浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

「ナンギヤラ」がある

2019-05-27 21:04:50 | その他
 おしどりマコさんが、『図書』5月号に「はるかなるナンギヤラ」を書いている。この文章が、とてもよい。ほのぼのしているのだ。おしどりさんは、原発事故に関して政府や東電を厳しく追及している。そのおしどりさん、幼少期からさまざまな本を読みながら成長してきたのであるが、その頃の感覚をずっと保持していることに感服した。▲リンドグレーン『はるかな国の兄弟』という本がある。おしどりさんがはじめて自分で買った本だという。私は読んだことがないのだが、ヨナタンとカールという兄弟が死んだ後に「ナンギヤラ」に行くという内容らしい。それを読んだおしどりさんは、私も死んだ後は「ナンギヤラ」に行くのだと思ったそうだ。しかし、自分だけではなく、母も「ナンギヤラ」に行かせようとして、その本を読ませたそうだ。▲「私が死んでも大丈夫、ナンギヤラで会えるから。ママが死んでも「ナンギヤラ」で会おう」。そして今は、漫才の相方で夫のケンパルにも読ませたそうだ。死んでも「ナンギヤラ」で会おうね、ということである。おしどりさんは、死を悲しいことにしないで、次ぎにつなげる発想を持っている。▲人間は必ず死ぬ。死はおそれであり、肉親をはじめとした人々との別れでもある。「まだ死にたくない」というのが、大方の気持ちだろう。また親しくしていた人々の訃報もしばしば届く。もう会えないと思うと、とても悲しい。▲しかしもし「ナンギヤラ」という世界があるのなら、いいな、と思う。死は永遠の別れではなく、しばしの別れであり、いつかは「ナンギヤラ」で会えるんだ。私もそういう確信を持ちたい。▲とにかく早く、私は『はるかな国の兄弟』を読まなければならない。そして「ナンギヤラ」で会いたい人にも読ませなくては。私は欲張りだから、読ませたい人が多い。「ナンギヤラ」に、たくさんの人を連れて行きたい。