政党は、みずからの支持勢力を拡大していく使命を帯びている。政党が行う様々な広報宣伝には、そうした意思が正確にこめられていなければならない。
しかし、弱小となった政党には、その気概がみられないようだ。というのも、わが家の塀には、社会民主党のポスターが貼り出されているが、これがアピール力のない、まちの美観にもそぐわない代物なのだ。ただつくればよい、という気持ちで制作したのではないかと疑いたくなる。通る人々の目をとらえることできるようなデザインのものはできないのだろうか。
さて、現在は自民党が大きな勢力を保持している。専制的な政治をすることが可能な政治勢力であり、事実そうした行動をとっている。このような政治勢力をつくるうえで、情報戦略が大きな役割を果たしたことは知られているが、本書はそのときのまさに「情報参謀」として経験したことを記したものだ。
支持政党がないという人が多数をしめる現代、そういう人々がどういう政治的志向をもっているかをテレビやネットで調べ、それに対応してどういう情報を流していくのか、それがうまくいけば選挙時に票が集まる。それを実践する自民党は、だから強いのである。その他の政党も本書を読んで勉強するとよい。
政権復帰した自民党は、「露出は大胆かつ上品に」安倍首相をかつぎだす。とはいっても、安倍首相に上品さはない。露出度をあげることに、現在の自民党は、税金をつかって精力的に動いている。「外遊」なんぞは、その最たるものだ。
本書には、情報社会のなかで、ネットなどに記された国民の思考を取り込み、その中で自政党への政治的関心をどう高めるかの実例が示されている。たいへん参考になった。人々が「強いリーダー」を求めているという風潮に、自民党は乗っているようだ。