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浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

【本】上原善広『日本の路地を旅する』(文春文庫)

2016-11-28 23:13:06 | その他
 被差別にかかわる本の書評を依頼された。私は、被差別の歴史については、15年ほど前に静岡県にかかわる資料を集めて書いたことがあるが、その後はまったくご無沙汰していた。

 書評を書くためには、その本だけを読むのではなく、現在の被差別を取り巻く全国的な状況や研究水準などをしらべておかなければならない。一冊の本の書評をするのもたいへんなのだ。

 さてこの本は、被差別のことを「路地」と表す。それは今はなき、「路地」出身の中上健次が使い出したものだ。

 著者、上原氏も大阪の「路地」出身である。その彼が、全国各地の路地を訪ね歩いて書いたものが本書である。かなり自由な書き方をしていて、地理的に飛んだり(それは「路地」同士は、遠方であってもつながりがあるからだ)、時間を行ったり来たりする(つまりそれぞれの「路地」ができた由来を書いたり、現在の「路地」の姿を描いたり)。

 この本を読みながら、私が15年前に被差別を調べたとき、そこに生きている人々の生活をまったく書かなかったことに気付いた。私が依拠したのは、ほとんどが文献資料であった。二つの地区だけ訪ねて話を聞いたりしたが、その地域の生活を詳しく聞いたのではなかった。

 私も、県内の被差別とされているところを歩いて、そこに住む人々と接触すればよかったと、この本を読みながら思った。

 読み始めると、「路地」というものがどういうものであるか、それが地域差を伴ったり、あるいは普遍的なものもあったり、そういうところがきちんと押さえられている。

 昨日読み始めて、今読み終えた。なかなか面白かった。書評を書く上で、参考になる考えもあった。


本にかかわる会社がなくなる

2016-11-28 21:54:45 | その他
 昔は、我が家の近くに書店があった。おそらく中学校の学区に一つは必ずあった。しかしそれがひとつ、またひとつと消えていった。そして今、近所には書店はない。

 コンビニが近くにあるが、そういうところで売っている雑誌には興味はないので買うことはない。

 どうしても、書店で買う場合、浜松駅ビルの書店に行く。しかし東海道線で行くと往復380円。バスなら500円を超える。車で行くと駐車場に入れなければならない。ということから、通販が主になってしまう。今日も新書本が1冊届けられた。雑誌も直接購読である。

 なぜ書店がなくなるか、その最大の理由は、人々が本を読まなくなっているからだ。「こんなものがありました」と持ってくるのは、本のコピーではなく、ネット記事を印刷したものだ。大人も、若者も、本を読まない。だから読む人と読まない人にも大きな格差が生まれている。読む人のところには膨大な本がたまり、読まない人のところには、雑誌が転がっているだけだ。

 さて本題。

 東京神田にある岩波ブックセンター=信山社が倒産したという。神田の古本屋街にいくときには、ブックセンターによって岩波本を買ったりした。寂しくなる。

 ちなみに、本が売れない理由の一つは、大学が買わなくなっているからだ。大学の教員の研究費がすすめの涙ほどになってしまっている。安倍政権は、文化や学問にはカネを出さない。カネもうけに直結する分野にはカネをばらまくが・・・・・

 悲しい国だ。