DJポリスが「警視総監賞受賞」という、さわやかなニュースが入ってきた。
DJポリスは、今話題の人である。
なぜ、DJポリスが人気あるのだろうか?
少し掘り下げて考えてみたい。
渋谷ハチ公前のスクランブル交差点がある。
年に何回か渋谷にいくが、その込み方は凄まじい。
行ったことがある人ならば、その凄さは知っていると思う。
普段でも歩くのもやっとであり、あの人々をコントロールすることなど不可能に近い。
それをあのDJポリスはやってのけたのである。
それもサッカーW杯出場を決めた夜のことである。
ここに集まった群衆は、普段の歩行者と違った群衆である。
異常に興奮しており、暴徒化しやすい、若者の集まりである。
群集心理として、理解はできるが、それをコントロールしたというのだから、このDJポリスはただ者ではない。
TV等にコメンテータとして出演している心理学者でも、このように上手くはいかないだろう。
そこで、「新聞やネットに載っている』名言を集めてみた。
「サポーターは12番目の選手です。ルールを守りましょう」
サポーター心理を巧みについている。
サッカーは11人でやるスポーツ。
それを12番目の選手ということで、サポーターの参加意識を高めている。
赤信号に切り替わると、
「車を通してください。ドライバーにもサポーターはいます。
日本代表はフェアプレーで有名。
皆さんもルールとマナーを守ってください」
と交差点内に立ち止まらないように誘導。
これはサポーターが知っている「日本選手のマナーの良さ」
自分がルール破れば、日本代表が笑われる、というサポーター心理を巧みについている。
さらに、青信号になると
「ゆっくり前に進みましょう。
けがをしてしまっては日本代表のW杯出場も後味が悪くなる」
と誘導している。
これも、人間の心理を的確にあらわしている。
日々、心理学を勉強し、実務で実践しているからできる技だと思う。
交差点付近で胴上げが始まると
「それはイエローカードです」
とやんわり制止している。
人間、「ダメだ」と言われると反発したくなる。
特にきつい言葉で「やめろ!!」とでも言ったなら、どこかの国のように、興奮している若者は暴動化することは予想される。
そこを「イエローカード」というサッカーで使っている言葉を利用して、ソフトに注意を与えている。
いくら興奮している若者も判断力はある。
むしろ、熱狂的な人間に対して、穏やかに話すことで、興奮している相手の気持ちを静める効果がある。
20代のDJポリスは、同じ世代である若者の心理を読んでいる。
「警備にあたっている怖い顔をしたお巡りさんも、皆さんと気持ちは同じです」
まずは「怖い顔をしたお巡りさん」ということで、自虐ネタではないが、自ら一歩引き下がることで、相対的にサポーターの気持ちを大切に扱っている。
「皆さんと気持ちは同じです」
この言葉には、多くの若者は驚いたのではないだろうか?
お巡りさんの気持ちを、素直に表現している。
普段怖い顔をしたお巡りさんが、自分の気持ちを語ることなど考えもしなかったことである。
「心の中ではきょうの日本代表のW杯出場を喜んでいるんです」
それを「心の中では・・・」と自己開示することで、親しみやすさや安堵感を醸し出している。
「皆さんのチームメートです。チームメートの言うことを聞いて下さい」
さらに、「チームメートです」と一体感を表し、サポーターの気持ちに訴えている。
この効果は、当日だけではないだろう。
長い目で見れば、その効果は、計り知れない。
とかく敬遠しがちなお巡りさんの印象を、グッ~と良くしたと思う。
久しぶりに爽やかなニュースに出会い、ニコニコ気分である。