hakuunの未来ノート

将来のため、人生やビジネスに関して、考えたこと、感じたことを綴ります。

ドラッカー氏がいう「外部の視点」とは

2012-04-30 | 企業経営
今日も、小宮一慶著:「ドラッカーが『マネジメント』でいちばん伝えたかったこと」を利用して、ドラッカー氏の『マネジメント』を読み解きたい。

ドラッカー氏の『マネジメント:エッセンシャル版』は9章に分かれている。
第1章 企業の成果
第2章 公的機関の成果
第3章 仕事と人間
第4章 社会的責任
第5章 マネジャー
第6章 マネジメントの技能
第7章 マネジメントの組織
第8章 トップマネジメント
第9章 マネジメントの戦略

一方、小宮氏の著は、大きく分けて4つの章になっている。
第1章 外部からの視点を徹底する(p17~p58)
第2章 自らの事業を定義する(p59~130)
第3章 目標を設定する(p131 ~p192)
第4章 人を生かす(p193~p239)

うまい章の作り方だと思う。
「ドラッカーが『マネジメント』でいちばん伝えたかったこと」と、本のタイトルにある。
このように、つまりドラッカー氏は、
・外部からの視点を徹底する
・自らの事業を定義する
・目標を設定する
・人を生かす
この4つについて一番言いたいのだと思う。

この4つの視点が原理原則である。
この4つの視点でマネジメントできる会社は、成長する。
一方でこの原理原則を無視するような会社は衰退する。

特に最初に、「外部からの視点を徹底する」を持ってきていることは、すごい。
今の時代、どのような会社でも必死である。
経営者の方々は夜も眠れずに頑張っているに違いない。金融機関に頭を下げ、顧客へ日参し、さらに目標を設定して、従業員を叱咤激励している。
ブログでこのようなコメントをすることは、失礼かもしれない。
「お前のは机上の理論だ」と言われるかもしれない。
それは立場上、お許し願いたい。

私がとくにここで言いたいのは、「外部からの視点」である。
多くの会社で努力しているにも関わらず、成果がでない。
そこには、必ず原因がある。正しい方向性に向かっているかどうかである。
多くの会社は、結果である収益が上がらなければ、反省会などして、原因を追いかけている。その原因の追及は、目先の原因ではないだろうか。
目先の原因を改善することも重要であるが、目先の原因をいくら除去しても、その方向性が悪ければ、また同じ間違いを繰り返す。
つまり、戦術面を改善しても、戦略が間違っていれば、正しい答えをえることができない。
努力しているにもかかわらず、成果がでない企業は、この点を再検討する必要がある。

チェックポイントとして、「外部からの視点」を徹底的に検証する必要がある。
「外部からの視点」と「内部からの視点」
相反する言葉であるが、だれでも読めばわかるやさしい言葉である。
しかし、思考プロセスは全く異なる。
「内向きの視点」でものごとを考えていた人は、簡単に「外部からの視点」で考えることはそんなに、やさしくはない。

ゴルフでたとえれば、スコア100の人がいたとしよう。
この人のドライバーショットはスライス系である。
「コースが左ドックであるから、ドローボールを打ってください。」と言われたらどうすろだろうか?
簡単に、ドローボールを打てるのであれば、スコアは80台である。
80前後のスコアで回ることができる人は、フェードとドローを打ち分けることができる。
しかし、スコア100の人には、ドローボールを打てない。無理にやろうとすれば、フックになりOBとなる。

このように「内部からの視点」で考えいた場合、簡単には「外部からの視点」で戦略を練るのは容易ではない。
だからこそ、世の中には経営コンサルタントや中小企業診断士が、コーチ役となり、『考え方』の指導・支援をしている。


「外部からの視点」別な角度から検討する。

今、某局では「平清盛」をやっている。が、視聴率は史上最低らしい。
どうしてだろうか?
歴史的には非常に興味のあるテーマである。
今回、視聴率が低い理由の一つとして、「色彩」の問題があるらしい。
確かに「くすんだ色」が多く使われ、宮廷の華やかさはない。
スタート直後に、どこかの県知事もクレームをつけたことを覚えている。
当時の時代検証をすれば、今回の放映が史実かも知れない。

顧客が求めているものは何であろうか?
TVドラマの制作者は、その道のプロであり、優秀な技術者の集まりである。
私も技術者の一人であるからわかるが、技術者というものは、探究心が強く、徹底的に追及する習性がある。
そこに価値観を見出している。
特に専門性が高ければ高いほど、優れた研究ができる半面、視界が狭まくなる傾向がある。

今回の視聴率の低い理由は、「技術の追求」のマイナス面が表れていると推察する。

日本のモノ作りは、品質⇒1.2倍、コスト⇒2倍と言われており、自己満足の世界に通じている。
一方、韓国のモノ作りは、品質⇒80%、コスト⇒50%と言われ、世界の顧客のニーズを捉えて、日本をしり目に、売上を伸ばしている。

技術者の価値観を変えるのは難しい。
これはTVドラマだけの話ではない。
携帯電話をはじめとする日本の家電製品は、「ガラパゴス化」して、「世界の外部の顧客」に対しては通用しない。「日本という内部の顧客」しか対象にしていない。

もしかすると、単一民族である国民性なのかもしれない。

価値観を変えるのは難しい。

価値観を変えることは、過去の自分を否定することになりかねない。
仮に、否定はできても、そこから新たなものを生み出していくには、未知の世界に航海することとなり、大変な努力と勇気がいる。
多くの技術者や経営者が価値観を変えることができないのは、既得権益を手放し自己否定ができず、さらにそのパワーもないのが現実と思う。

だから、ドラッカー氏は「外部の視点」の重要さを説いている。
さらに、小宮氏も第1章として「外部からの視点を徹底する」をあげている。

もう一度、TVドラマに戻り、その目的を考えてみる。

顧客は誰なのか?
日曜日の夜8時は、一番のゴールデンタイムである。
核家族化しているとはいえ、家族団欒の時間である。
その時間帯に、家族が求めているものは何か?
家族が求めているものは、ドラマを通じて、一家で一緒に楽しめる喜びである、と思う。

その手段として、大河ドラマを見るのである。
ドラマは、あくまでも手段であり、目的は、ドラマから得られる満足感という効用である。
このことを忘れると、間違った方向性に行く可能性が高い。

お客様の目的を叶えるためには、史実とは異なっても、華やかな舞台にする必要があることに気付くべきである。

ドラッカー氏のマネジメントを通じて解釈すれば、こうなるはずである。


話を戻そう。

最初に、「外部からの視点」を考えることが戦略をたてる大前提である。
このことを、ドラッカー氏も小宮氏も言いたいに違いない。

重要なことであるから繰り返す。
『企業は、「社会が関心をもっていること」とは対極にある、「自分たちが関心をもっていること」---いくら儲かっただとか、儲けたいだとか、どういう戦略をとればもうかるのだとか---ばかりを追い求める傾向がある。』

しかし、ドラッカー氏は『内部ではなく、何をさておいても、まずは社会やお客様をはじめとする外部に目を向けろ』と言っている。

『もちろん、自社のヒト、モノ、カネをいかに活用していくか考えていくことは、経営の重要な仕事の一つで、その効率性などについて目標を設定する必要がある。それでも、「外部の視点」という大前提なしには、いくら考えたところでも、うまくいかなるなるということである。』

『またエッセンシャル版のまえがきには、「経営書のほとんどが、もっぱらマネジメントの仕事を扱っている。それらはマネジメントを内部から見ている」と表現している。』

『外部に目を向け、社会が関心を持っている三つの役割を全うすることが大切である』と解釈する、と小宮氏は控えめに言っている。

マネジメントの三つの役割とは、何か。
小宮氏の解説を引用する。

1.自らの組織に特有な使命を課す。

  マネジメントは、組織に特有な使命、すなわちそれぞれの目的を果たすために存在する。
「目的」とは「存在意義」を指している。
つまり、マネジメントは、組織が「特有な使命」、すなわち「それぞれの目的=存在意義」を果たすために存在するということである。

「特有の使命」とは、「その企業しかできない商品やサービスを提供すること」であり、「その企業しかできない」ということがポイントである。
他の企業でもできることをしたのでは、「特有な使命を果たす」「目的を果たす」ことにはならない。その企業しかできない、いわば、独自の商品やサービスを提供することが重要である、と小宮氏は解説している。

さらに、私の解釈では、「独自の商品やサービスを提供し、そこから生み出される満足感や充実感を顧客は、求めている」ことを付け加えたい。

社会から、お客様からみて、「あの会社にしかできない商品やサービスだ」と思ってもらって初めて、「特有の使命を果たす」ことになる。
つまり、「指名買い」である。

「あのお店のあの商品、私には最高!!」と思ってもらうことである。


2.仕事を通じて人を生かす

『現代社会においては、組織こそ、一人ひとりの人間にとって、生計の資、社会的な地位、コミュニケーションとの絆を手にし、自己実現を図る手段である。当然、働く人を生かすことが重要である。』
小宮氏の解説で非常にわかりやすい言葉があるので紹介する。

『毎日、ルンルン気分で出社していますか』

この一言で、すべてを表わしている。

『ルンルン気分で出社している人は、仕事が楽しいと思っている人である。
仕事が楽しいと感じるということは、お客様のため、社会のために、良い仕事をしようと使命感を持って働いているにほかならない。
良い仕事をするという使命感は、働きがいにつながっていきますから、そういう人がたくさんいる会社は、間違いなく社員は、楽しそうにいきいきと働いている。』

小宮氏の解説は続く。

『このことは、「人の幸せ」に直結する』
『「人」とは、自社の商品やサービスを購入する「お客様」、会社を支持してくれる「株主」、会社で働いている「従業員さん」、さらには「仕入れ業者さん」「宅配業者さん」など仕事にかかわるすべての人を指す』
『企業は、こうした関わるすべての人を幸せにするのが「使命」であるべきである。

さらに続く。
『人の幸せ』とは
・働く幸せ
・経済的な幸せ
の二つがある。
「働く幸せ」とは、働くことによって、「自己実現」することである。
「自己実現」とは、なれる最高の自分になるというもの。
仕事を通じて、自己実現できるなんて、素晴らしいことである。

『お金のために仕事をすることを第一義にすると、次第に働きがいをなくすことになりかねない。
あくまでも、「働く幸せ」を感じ、良い仕事をした結果が、「経済的な幸せ」につながると考えるべきである。』

経営者が、このような「経営哲学」を持っている組織は、すばらしい。

そこで働いている従業員は、毎日「ルンルン気分」で出社しているだろう。

さて、私の場合はどうかというと・・・・・・。


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