仕事に行った。
あれこれ前からやろうと思っていた事を片付けていたら昼になったので
店の奥でコンビニのおにぎりとかパンを食べていたら
「こんにちはー。」
と声がする。
ん?
聞き覚えのある声、と思って出てみると声は知ってるけど顔は知らない白髪頭のおじさんが。
営業の兄様の上司である。
「◯◯さんですか?どうもはじめまして、よろしくお願いします。」
と挨拶したら
「よくわかったねえ」
とか言われ、景気などを聞かれた。
そこまでは良かった。
その後、延々お説教。
「昔は売り上げ1000万くらいあった。」
「それは何年くらい前ですか?」
どうもバブルの頃らしい。
(バブルの話を今されてもねえ)
「売り上げを伸ばすにはチラシを配れ!みんな出勤途中にやってる!」
(へえ?途中でなんかあったらどうするのかしら?)
(時間外に営業活動しろってこと?)
「お客さんの荷物を配達しろ、もらいに行って、できたものを届けろ。」
(そんなの求人票に書いてなかったけど、別にお客さんが特別困ってれば届けるくらいなんでもないけど
『やれ』って言われてやりたくないねー。それも自分の車でガソリン自分持ちで。)
(そんなのさー、どうやったら売り上げが上がるか考えるのは営業の仕事でしょーが)
「お客さんとコミュニケーションとって、ご主人がどこに勤めてるかとか、子供が何才くらいで何人いるかとか
聞けばチャイルドシートのクリーニングとか勧められるだろ!」
(ばかじゃねえの?今時他人のプライバシーをほじくり出してどうすんだよ!返って警戒されるだろ!
お客さんだって自分から喋りたきゃ喋るだろうし、こっちからあれこれ聞けるわけないじゃん。)
昔は密な関係を築いていたかも知れんけど、今は時代が違う。
私だって世間話くらいは多少はする。でも、まだ数ヶ月の見慣れないおばあがべらべら喋ってきたら
警戒せんか?普通。
それに売り上げが落ちてるのは休みが1日増えてるし、営業時間も短くなってるのもあるんじゃないかと
言ったら「そんなものは関係ねえ!お客さんは時間が短くなれば早めにくるか日をずらして来てくれるもんだ」
「それで他所へ行くのは仕方ない」
(ばかじゃないのか?それじゃ新規のお客さんは他所へ行っちゃうって言ってんだよ!
常連さんはそれでも来てくれるだろうけど、新規のお客さんは開いてる店へ行っちゃうだろ?
常連さんだってどんどん歳とって定年退職していけば出してくれる洗濯物も減る、ってさっき言ってたじゃん!
だから新規のお客さんに来てもらわなきゃお客さん増えねえだろ!そうじゃなくても周りのライバル店は
うちより早くから遅くまで店を開けてるんだから!)
(何よりコロナ禍で世間も大変な時なのに、バブルの頃と比べてどうするよ?時代も世の中も違うんだよ!)
先輩姉様と私はもちろん丁寧な接客も心がけてるけど、ちょっとボタンが取れそうになっているところとか、
裏地が破れているジャンパーとか、お客さんに一言断ってちゃちゃっとなおしたり繕ったり、
セーターの毛玉を綺麗にとったり(これはクリーニングでは取れない)地道な手もかけているのだ。
それに、顧客名簿と売り上げ伝票を照らし合わせて「なんで来店しなくなったのか」調べたりしてるのだ。
もちろん膨大な名簿をいちいち調べているのでそんなにすぐには終わらない。
「ちゃんとメモして先輩に聞け!メモしとかないから忘れるんだ!」
(そんなすぐに全部できるわけもないしそんな事わすれりゃせんわ、何ズレたとこで注意してんだよ)
なんか、むかついたのでずーっと心の中で反論してた。
そんなん知らんわ!
しまいには人の名前まで間違う始末。
真面目に仕事する気が失せた。