お久しぶりです。朝晩過ごしやすくなりました。画廊活動再開します。
今日は 画廊春取扱い作家である奥村信之氏作品のなかから「猫」と鋳造法をご紹介させていただきます。
この猫は画廊所有作が5月の個展で売却されたため、8月に新しく鋳造されたものです。
猫 税込価格 ¥1080000 お問い合わせは
Tel 0584-78-0043 画廊春 代表 田渡達久
Email dentotakkyu@yahoo.co.jp
奥村氏とのメールから イタリアンロストワックス鋳造にかかわる部分をご紹介します。
以下 奥村氏のメールより抜粋
イタリア蝋型鋳造ブロンズ鋳放しについて説明したことを以下添付します。
部分的に鋳造法の機密にかかわる部分は隠してあります。
「イタリアロウ型鋳造、(特にローマの鋳造は、3000年の手法を変えていません)。その鋳型石膏の素材、焼き上げて、
脱ロウするとき時の窯の温度、その時の気象状況、金属の配合割合、融解温度、それぞれの微妙な違いによって、
同じものは一つとできません。
さらに、ロウの原型ができてから、再修正・再彫刻(リタッチ)はすべて、作者の手を通し、最終コントロールします。
時には作品を全く変更し、ロウによって再彫刻します。
そして、これで良しとなった場合、その時点で、ロウ原型の上に、本人のサインを入れます。
これで正真正銘のオリジナルになります。
ロダンなどは、ロダンの死後、遺族が、たとえ、再鋳造しても、作者の最終確認が入っていないので、
本当の意味のオリジナル作品ではありません。ですから、日本にある多くの作品の信憑性は誠に低い事になります。
・・・また私は、金属の配合に、とてもこだわっていて、・・・・奥村鋳造の機密にかかわる部分なので中略・・・
・・・ルネッサンスなどの中世のブロンズを、鑑定すると、ほぼ純銅に近いぐらいの成分になります。これは日本でも法隆寺・東大寺大仏の古銅・ブロンズなどはそれに近いものです。
・・・鋳造法も、やや改良して、・・・研磨、着色はしません。
ですから鋳上がったその時の表面に、できる限り手を入れないで、フレッシュ感、偶然性の味わいを大切にします。
これこそ、まさに、鋳放しの醍醐味です。ちょうど陶器の窯出しの時と同じ心境で、一発物で、だめなら、初めからやり直さなければなりません。
以上、この独特の鋳肌は、このようなところから来るわけです。
・・・鋳放し仕上げは、10年経てば10年の味が出ます。50年経てば、さらに味わいが深まり、経年変化が楽しめます。
イタリアでも、このような鋳造法を行っているところはすでにローマの一鋳造所になってしまいました。
その意味でも、私は、このブロンズ鋳造のの伝統を絶やさないように、精進する所存です。」
日本にある他の作家のブロンズ像は、いかにも磨いたブロンズに着色と言う感じで、金属感が強く、冷たい感じです。
鋳ばなしブロンズは、陶器の世界にも通じて、釉薬の偶然性など、何か温かみがあり、和風の部屋にもマッチします。
酸化膜(溶解したブロンズが固まるときに、石膏分などを抱き込み膜を作る)などは、日本ではなるべく、つかないようにしますが、私は、あえて、つくようにします。湯道を切ったり、たがねでたたいたりすると、どうしても地金の光ったブロンズ色が出てしまいます。
・・・中略・・・
我々も、鋳造所で、ブロア―、コンプレッサーエアーなどで、なるべく、鋳型の粉を落としますが、搬送の振動などでまた中から出てきてしまいます。中は粉だらけです。
20年前に、三越で販売し始めたころ、傷がある、粉がついて、穴がある、バリがある、飛び出た物がある、いろいろ言われましたが、お客さんによく説明すると、納得してくれます。
今までの日本の人は、表面を、きれいにすれば、良い、仕上がったと言う、固定観念でしかとらえていませんでした。
綺麗すなわち美しいとは違います。
たがねで、たたいたり、切ったりすれば傷が出ます。それは当り前のことで、隠すことではありません。
鋳造は1300度の溶解作業などで、穴や吹き出しがあって当然です。
金属が、溶解して凝固する鋳造の醍醐味も、美しさの一つです。(ちょうどドロドロの溶岩が固まるようなもの)
彫刻の原型も大事ですが、私は鋳造芸術も大切にしたいと思っています。
芸大などでも、鋳造科があるくらいですから。
以上、いろいろ説明しましたが、売る立場の人がいろいろ知っていると良いと思いました。
ブラシでこすらないで、手でなぜ回すようにして表面を掃除してください。
また、人物像などは、あまり頭ばかり触っていると、頭ばかり、つやが出てしまうので、気を付けてください。
分からないことがありれば、連絡してください。
ローマ・ブラッチャーノより
画廊春では奥村氏と常に連絡を取りながら 最高の品質お客様に奥村作品を届けておりますので ご安心ください。
こちら奥村氏の作品をデッサンしてみました。愚作です。
奥村氏の猫 鉛筆デッサン
Tel 0584-78-0043 画廊春 代表 田渡達久
Email dentotakkyu@yahoo.co.jp
画廊春は大垣市藤江町4-14にありますが はじめての方は皆さん道に迷われます。
大垣市ドラッグユタカ旭町店の裏(北側)にありますので そこを目印に来て頂けるとよくわかります。
お待ちしております。