さーて帰るか。と思いテクテクと歩く。でも前方に見えるんですよ。笠ヶ岳が。
笠を目の前にして帰るのはチョット残念だよなあ。
大キレットを通過出来なかったし、笠を欲張ってもヨロシイのではないでしょうか。
笠を目指す。思ったより長いね。
途中で雷鳥に出会ったり、休憩したり色々なイベントが発生してもナカナカ山頂は遠い。
笠小屋でクリヤ谷の事を聞いた。
途中、山道ですれ違う人に『クリヤ谷ルートはどうですかねぇ』と聞くと
『えー行くの?あそこは危険だって聞いたけど・・・』と何回か聞いて若干のビビリがあった。
笠小屋のおじさんは『クリヤ谷?ウーン。ああ大丈夫だよ。あんたら若いから大丈夫だよ』との返事。
笠ヶ岳に登頂!!!この時はまだ笑っている。
この山行のハイライトは槍登頂でも、西鎌でも、笠登頂でも無かった。クリヤ谷だったのである。
クリヤ谷はスーパーロング急登であったのだ。
笠新道が出来てからはメッキリ人も居なくなり、若干寂れている。
山頂からズイズイと下るが、テクテク歩くと言うより、落ちるような勾配。
森林限界で岩ばかりの所で雷鳴がゴロゴロビカビカ・・・これでヒロミがテンションダウン。
更に下っていくと樹林帯に入る。
人と一切会わない中で、久々に出会った人が居た。同じく下りの人である。
『コンチワー!!イヤーここのルートは大変ですねぇ』と話しかけるが、
このおじさんは目つきが怖くて素っ気無いのだ。
なんか俺等が休憩するとチョット離れた近所で休憩するってのが2~3回続いた。
なんだか恐ろしいヨロシクナイオーラを出していたので俺は意味も無く怖くなってしまった。
俺等はチョット下りスピードを上げてグイーンと引き離した。
もうヘロヘロになった所で今度は別のおじさんに追いつかれた。
おじさんはこのクリヤ谷を朝登って日帰りで降りるらしい。
『バカじゃないの(笑)』と言いそうになったけどイロイロ話を聞くと大分エキスパートなおじさんだった。
『100名山は全制覇した。200名山も全制覇した。300名山は70座まで行ったけど九州が多くて遠いから止めた。今はまた100名山を登っている』
とか言っている。登山家の仙人の様なお人だ。
仙人は『このルートは日本でも指折りでキツイよ。黒戸尾根や剱の早川尾根と同じだよ。』
とのご説明。俺は黒戸尾根のキツさを十二分に知っていたので若干後悔の念が・・・
とにかく後から怖いおじさんが来るので、この仙人に付いて行こうとテクテク歩き出した。
仙人のペースは速い速い。歩く速さとしては普通の速い人と同程度だろう。
ただ普通と違うのは、次の一歩の踏み場を判断するのが的確でありスキが無い。
俺が先頭の場合、歩くペースはそれなりに早く歩けても急斜面になると
『あそこを踏むと崩れるかも・・・』とか『あそことこっちはどちらが良いだろうか?』
と一瞬の判断に迷いが出てがトータルすると若干ペースが遅いのだ。
しかし仙人は急斜面でも迷いが無く足の踏み場の判断も正しいのでガツガツ歩く。
だから仙人の後を歩くのはとても楽で尚且つ速かった。
『エキスパートはこう言う小さい所まで正確なんだなぁ』と感心した。
数分後、後を振り返るとヒロミが死にそうに『もう先に言ってて・・・・』バタンと倒れた。
いや実際には倒れていないけど、仙人のペースがあまりにも速すぎた為、HPを著しく消費してしまったのだ。
ワシラは仙人に『ありがとうございました』と礼を言って別れた。
また俺達は二人パーティになったので、ゆっくり降りた。
何回か小さい川を渡って『もうすぐ車道が出てくる』『もうすぐ車道が出てくる』と祈りながら歩く。
この時ヒロミは『これは遭難している。本当に死んでしまうかも』と思ったらしい。
俺は、『山道がある限りここを歩けば文明社会に戻れるのだ』と確信していたけどあまりにも長い登山道に
『本当に文明に戻れるのかいな?』と若干の疑念が浮かんできた。
『とにかく二人とも無事で帰らないとイカン!』と気合だけで歩いた。
最後に槍見館の屋根が見えた時は嬉しくなって叫んだ。ヤッター!帰れるぞ!
クリヤ谷を制覇した!嬉しい!
がここから新穂高温泉まで30分以上歩いてやっと車に辿り着きました。
車に着いた時は達成感は無し。
『助かったぁ~』となんだか涙が出てきてしまったのでありました。
若干の涙顔
車に戻った時は達成感が少なかったけど、後から地図を広げて行動範囲を見ると
エライ達成感が沸いてきたなぁ。
今でもヒロミにクリヤ谷の話をすると
『あたしゃ後にも先にも死ぬと思ったのはあの時だけだよ!クリヤ谷だけは二度と絶対に行きませんからネ!』
と『思い出し笑い』ならぬ『思い出し怒り』をするのだ(笑)
30代のパワーがあるうちにクリヤ谷を登ってみたいなぁ。とひそかに思っている。
笠を目の前にして帰るのはチョット残念だよなあ。
大キレットを通過出来なかったし、笠を欲張ってもヨロシイのではないでしょうか。
笠を目指す。思ったより長いね。
途中で雷鳥に出会ったり、休憩したり色々なイベントが発生してもナカナカ山頂は遠い。
笠小屋でクリヤ谷の事を聞いた。
途中、山道ですれ違う人に『クリヤ谷ルートはどうですかねぇ』と聞くと
『えー行くの?あそこは危険だって聞いたけど・・・』と何回か聞いて若干のビビリがあった。
笠小屋のおじさんは『クリヤ谷?ウーン。ああ大丈夫だよ。あんたら若いから大丈夫だよ』との返事。
笠ヶ岳に登頂!!!この時はまだ笑っている。
この山行のハイライトは槍登頂でも、西鎌でも、笠登頂でも無かった。クリヤ谷だったのである。
クリヤ谷はスーパーロング急登であったのだ。
笠新道が出来てからはメッキリ人も居なくなり、若干寂れている。
山頂からズイズイと下るが、テクテク歩くと言うより、落ちるような勾配。
森林限界で岩ばかりの所で雷鳴がゴロゴロビカビカ・・・これでヒロミがテンションダウン。
更に下っていくと樹林帯に入る。
人と一切会わない中で、久々に出会った人が居た。同じく下りの人である。
『コンチワー!!イヤーここのルートは大変ですねぇ』と話しかけるが、
このおじさんは目つきが怖くて素っ気無いのだ。
なんか俺等が休憩するとチョット離れた近所で休憩するってのが2~3回続いた。
なんだか恐ろしいヨロシクナイオーラを出していたので俺は意味も無く怖くなってしまった。
俺等はチョット下りスピードを上げてグイーンと引き離した。
もうヘロヘロになった所で今度は別のおじさんに追いつかれた。
おじさんはこのクリヤ谷を朝登って日帰りで降りるらしい。
『バカじゃないの(笑)』と言いそうになったけどイロイロ話を聞くと大分エキスパートなおじさんだった。
『100名山は全制覇した。200名山も全制覇した。300名山は70座まで行ったけど九州が多くて遠いから止めた。今はまた100名山を登っている』
とか言っている。登山家の仙人の様なお人だ。
仙人は『このルートは日本でも指折りでキツイよ。黒戸尾根や剱の早川尾根と同じだよ。』
とのご説明。俺は黒戸尾根のキツさを十二分に知っていたので若干後悔の念が・・・
とにかく後から怖いおじさんが来るので、この仙人に付いて行こうとテクテク歩き出した。
仙人のペースは速い速い。歩く速さとしては普通の速い人と同程度だろう。
ただ普通と違うのは、次の一歩の踏み場を判断するのが的確でありスキが無い。
俺が先頭の場合、歩くペースはそれなりに早く歩けても急斜面になると
『あそこを踏むと崩れるかも・・・』とか『あそことこっちはどちらが良いだろうか?』
と一瞬の判断に迷いが出てがトータルすると若干ペースが遅いのだ。
しかし仙人は急斜面でも迷いが無く足の踏み場の判断も正しいのでガツガツ歩く。
だから仙人の後を歩くのはとても楽で尚且つ速かった。
『エキスパートはこう言う小さい所まで正確なんだなぁ』と感心した。
数分後、後を振り返るとヒロミが死にそうに『もう先に言ってて・・・・』バタンと倒れた。
いや実際には倒れていないけど、仙人のペースがあまりにも速すぎた為、HPを著しく消費してしまったのだ。
ワシラは仙人に『ありがとうございました』と礼を言って別れた。
また俺達は二人パーティになったので、ゆっくり降りた。
何回か小さい川を渡って『もうすぐ車道が出てくる』『もうすぐ車道が出てくる』と祈りながら歩く。
この時ヒロミは『これは遭難している。本当に死んでしまうかも』と思ったらしい。
俺は、『山道がある限りここを歩けば文明社会に戻れるのだ』と確信していたけどあまりにも長い登山道に
『本当に文明に戻れるのかいな?』と若干の疑念が浮かんできた。
『とにかく二人とも無事で帰らないとイカン!』と気合だけで歩いた。
最後に槍見館の屋根が見えた時は嬉しくなって叫んだ。ヤッター!帰れるぞ!
クリヤ谷を制覇した!嬉しい!
がここから新穂高温泉まで30分以上歩いてやっと車に辿り着きました。
車に着いた時は達成感は無し。
『助かったぁ~』となんだか涙が出てきてしまったのでありました。
若干の涙顔
車に戻った時は達成感が少なかったけど、後から地図を広げて行動範囲を見ると
エライ達成感が沸いてきたなぁ。
今でもヒロミにクリヤ谷の話をすると
『あたしゃ後にも先にも死ぬと思ったのはあの時だけだよ!クリヤ谷だけは二度と絶対に行きませんからネ!』
と『思い出し笑い』ならぬ『思い出し怒り』をするのだ(笑)
30代のパワーがあるうちにクリヤ谷を登ってみたいなぁ。とひそかに思っている。