静岡県立漁業高等学園は、創立50年。一流の漁師になる近道です。

漁師をめざして、がんばっている生徒たち。
30歳までの若者が全国から漁業の街、焼津に集っています。

救命講習

2018年05月18日 09時00分00秒 | 授業・講演

今年も消防署のご指導で、救命講習を実施しました。
まずビデオで勉強。


あとは、グループに分かれ人工呼吸やAED (自動体外式除細動器automated external defibrillator)の使い方を教わりました。
最近は、AEDが装備されている漁船の増えたんですよ。


とは言え、洋上では救急車も来てくれませんからね。
沿岸なら海上保安庁がヘリコプターで来てくれるかもしれませんが、それでも時間がかかります。
と言うことは、AEDを使う場面にならないことが大事ですね。

漁師と言えば大酒飲みを想像する方もいるかも知れません。
それは昔の話しですよ!
今は酒もタバコもやらない漁師が増えました。
何と言っても体が資本の仕事ですからね!

学園見学のお申し込み、入学のお問い合わせは電話、Eメールで。
電話 054-626-0219
Eメール gyogaku@pref.shizuoka.lg.jp

 園長のつぶやき
遠洋漁船では、酒の持ち込み禁止が増えています。
酔って海に落ちたり、ケンカになったりするからですね。
健康管理のためにも良いことだと思います。

昔の漁村では、脳出血が多かったと聞きます。
青魚は血液をサラサラにすると言いますが、昔の漁村では青魚ばっかり食べていました。
私の子供の頃も肉はごちそうで、基本は魚です。
血液がサラサラな上に、大酒飲んだから脳出血になっちゃう。

今は漁船の食事でも魚ばかり食べることもないし、大酒も飲みません。
逆に血管が詰まる方が心配なくらいです。

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カットスプライス

2018年05月17日 09時00分00秒 | 実習

今週は実習は二手に分かれています。
カッター訓練に行かない人は、航海実習棟で刺し継ぎの練習です。

やっているのはカットスプライス。漁師用語で「さつま」です。
二本のロープをつなぎます。

練習用の黒いロープは「まぐろ縄」。
マグロはえ縄の幹縄に使うロープです。
幹縄は200kmの長さがあるのに、こんな細いロープなんですよ!
だから、切れることも珍しくないので、素早くつなげる必要があります。


まぐろ縄が黒いのはコールタールを付けてあるから。
そして細い割に固いので、刺し継ぎは簡単に行きません。
でも、漁業の現場で柔らかいロープを使う方が少ないですからね。
固いロープで練習しないと意味がありません。


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今週末は見学会がありますよ。お申込みをお待ちしています。
http://www.pref.shizuoka.jp/sangyou/sa-940/kengakukai5.html

 園長のつぶやき
業界用語ってご存じですか?
業界の中で使われる専用語です。

私が就職してすぐ、ニジマス養殖関連の仕事に就きました。
ニジマスで150gサイズ(塩焼き用)を「成魚」と呼びます。
成魚??
なぜ??かというと、ニジマスの150gサイズは子供です。幼魚なんですね。
これが業界用語。
ちなみに大人になったニジマスは「親魚(しんぎょ)」と呼びます。

漁業の世界にも業界用語はたくさんあります。
なかでも「はしご=タラップ」は船によって呼び方がバラバラです。
我々も、一部しか知らないのが実状です。

だから、卒業生が遊びに来た時に教えてもらいます。
用語だけでなく、船によって違う流儀を聞くのは楽しいものです。

学園では上の「さつま」のように、漁師用語もなるべく教えます。
すべての漁師用語は教えることができませんが、それでもよく使うものを知っておくのが大事です。
これも、「漁師の専門学校ならでは」です。

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カッター訓練が始まりました

2018年05月16日 09時00分00秒 | 実習

毎年、生徒から不満の続出するのがカッター訓練です。
そして学園生活で一番思い出に残るのもカッター訓練です。

カッターに限らず手こぎの船なんて使う漁師はまずいません。
私が育った漁村では「てんま船」と呼ぶ、小さい手こぎの木造船がたくさんありました。
今ではヤマハ発動機さんが開発した船外機エンジンがありますからね!
人力の船を探すのが大変なくらいです。

そんな時代背景をものともせず!!カッター訓練をやっちゃいます。

まずは実習棟で基本を説明。


そして海に出て、ひたすた漕ぎます!
でも、動きがバラバラ...
なんでも、簡単にはいきません!

 


生徒から不満が出るのには理由があります。
カッターは9人または10人で漕ぎます。
生徒の体格、体力そして技術もはバラバラなので、
「推進力として貢献する人・しない人」
が出てきます。
職員はどの生徒にも精一杯漕ぐように言います。
そこで
「俺は一生懸命やっている」
「手を抜いて漕いでいないやつがいる」
などなどの不満が出てきます。

こんな状況で、自分はどうするべきか?
これを考えるだけでも、とても有意義な実習です。
仕事について、同じ給料をもらっている人が同じだけ仕事をしている訳ではありません。
必ずしも、世の中平等はないのが当たり前です。
優秀な人が手を抜いて仕事をすることも、不器用な人が懸命にがんばるってもたくさんできないこともあります。
そして、それを周りの人は見ています。
カッターで手を抜けば、すぐにわかります。それは、自分にはね返ってくることです。

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 園長のつぶやき
学園の一番誇れるところ...
それは離職率の低さです。

高卒者の離職率は5割と言われています。
たぶん、最近はもっと増えています。
漁師の場合だと、9割くらいになるはずです。

学園の卒業生は、最近では1割くらいです。中卒者を含めて1割ですよ!
これが、どんなにすごいことかわかっていただけるでしょうか?
その理由はなんでしょう?

それは職業を漁師に限定し、現場困らないように育てるからです。
学園で教えている職員でも、漁師に成り立ての頃は苦労を経験しています。
だから、同じ苦労を少しでもなくせるように指導します。
学園で先生から叱られた生徒はラッキーです。
同じことを漁船でやったら、何倍も激しく叱られるからです。

離職率が低いのは、他にも理由があります。
それについては、またの機会に...

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運用の授業

2018年05月15日 10時51分56秒 | 授業・講演

学園の授業の中で授業名から中身が分かりにくいものがいくつかあります。
それが運用と執務です。
運用は航海、執務は機関の授業です。
(この日は県庁水産振興課で学園を担当している職員が見学でした)

なぜ分かりにくい名称を使っているかというと、海技士試験の科目名だからです。
海技士試験で「運用」という科目で出題される内容を勉強することになります。
運用以外では、航海、法規があります。
で実際の「運用」は船の構造、エンジンの原理、当直などをやります。
実際にエンジンを扱うのは機関員の仕事ですが、航海士もエンジンの仕組みは知る必要があるんですね。


さて、この日の授業は錨(いかり)、アンカーについてです。
アンカーも種類があり、それぞれ特徴があります。
今回は、実際にアンカーを引き上げる際の注意点をやりました。

これは学園の玄関横にあるアンカーを引き上げる揚錨機(ようびょうき、ウインドラス)と言う装置です。
残念ながら動きませんが、なるべく現場を想像できるように機械を見せて説明です。


漁師と言っても、船乗りでもあります。
特にアンカーは船を固定させる大事な装置なので、しっかり理解してもらいます!

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 園長のつぶやき
5月から6月は、私は学園不在が多くなります。
なぜかというと、県下の高校を回って進路担当の先生方に学園の説明をするためです。
一部の進学校を除き、ほとんどの高校に行きます。
高校の先生も、学園なんてご存じないので大事な仕事です。
....なんですが、90校くらい回って生徒の入学に結びつくのが1,2件。
相手側も、「漁師になりたい」なんて生徒はめったにいないので、しっかり聞いてくれているのかどうか?
そんな理由で、効率が悪い上に肉体的にも精神的にもくたびれる仕事です。
高校の情報が入る良い点もありますが、これで10日以上が潰れるのが痛いです。

最近は県内の高校ですが、以前は中学を回っていました。
東北の中学も回って、青森の大間(マグロ漁で有名なところ)からも生徒が来ていたそうです。

このところ、高校生と行っても県外の農業高校が増えています
それも、長野、滋賀、埼玉など海のない県が多いです。
本当は、その辺を重点的に回りたいですよね。
でも、例えば長野県の農業高校は8校あって一日で回るのは難しそう...
浜松や静岡で高校がたくさんある場所でも、一日に10校は厳しいですから。
なにか良いアイデアがあれば教えてください。
少なくとも、今年は県外の農業高校にも入学案内を送付したいと思っています。

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深海魚専門漁師 長兼丸・長谷川さんの講義

2018年05月14日 14時10分09秒 | 授業・講演

海外まき網で初出航する48期生を見送りをYouTubeにアップしました!
初代?軍曹です。
https://www.youtube.com/channel/UCsItlPZhzc98RK7zhYqUOow

さて焼津で一番番の有名人に授業をお願いしました。
長兼丸(ちょうかねまる)の船主、長谷川久志さんと息子の一孝さんです。
テレビ出演は市長より多いかもしれません。
長谷川さんは深海魚を専門にとる漁師です。


学園の授業は毎年お願いしているので慣れたもの。
生徒に「漁師を志した理由」を聞いたり、クイズを出したりで楽しく講義をしてくれました。
マグロ漁師だった頃の「死にかけた」話しもありましたよ。

ところで、実は深海魚を捕る漁師はたくさんいます
例えばキンメダイ。
近海、沖合でキンメダイを捕る船はほぼ周年、キンメダイを捕ります。
キンメダイは水深数百メートルに生息する深海魚です。
魚ではありませんが、サクラエビは昼は深い海にいます。
夜、浅い場所に浮上したときに漁をします。

深海のサメだとか、グソクムシを捕る漁師は珍しいけど、深海魚の漁師は珍しくありません。
そして、深海魚を皆さん食べています
長谷川さんが狙うのは、一般の漁師が狙わない深海魚。
需要が少ない魚ですが、捕る人も少ないからやっていけるんです。

長谷川さんについて、興味がある方はこちらをどうぞ。
サッポロビールの「静岡が好きだから」インタビュー
http://www.sapporobeer.jp/shizuokabakushu/interview/03.html
長兼丸ホームページ
http://web.thn.jp/tyoukanemaru/same.htm


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 園長のつぶやき
先週は水産技術研究所職員からサバの講義もありました。
生徒の感想に
「サバのことを色々知ることができて、漁師になる楽しみが一つ増えた」
と書かれていました。
こんな感想はうれしいですね。
実を言えば、サバの授業も学園職員でやることができない訳ではありません。
でも、外部講師を呼ぶことに意義があるんです。
まず同じ内容でも、説明が違います。生徒にとっても新鮮な気持ちで聞くことができます。
加えて、研究所の職員も1時間の講義で何を話すかしっかり考えてくれます。
若い研究員にとって大事なことだと思っています。

生徒は、これからもたくさんの外部講師の話しを聞くことになります。
生徒の心と教養が少しでも豊かになることを願ってやっています。

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