静岡県立漁業高等学園は、創立50年。一流の漁師になる近道です。

漁師をめざして、がんばっている生徒たち。
30歳までの若者が全国から漁業の街、焼津に集っています。

生徒諸君の実習や講義の感想 4

2024年08月09日 14時38分22秒 | 授業の感想
カッター遠漕
カッター訓練の集大成となる焼津(小川港)から静岡(用宗沖)間を往復する授業です。
カッター訓練の狙いは、皆で力を合わせて目標を達成することにあります。
漕ぎ終えた生徒諸君の感想はどうでしょうか?

○ 遠漕前に実施したカッター訓練の感想
・ 最初はかいを持つだけで重くて駄目だと思った。(3名)
・ 遠漕で往復するのは無理だと思っていた。(2名)
・ 先生に漕ぎ方を習った後は大分楽なった。
・ 波があるときついことを知った。
・ 練習の積み重ねで漕ぎ方や声出しが上達した。

○ 遠漕復路の感想
・ 仲間が頑張って漕ぐ姿を見たり、大きなかけ声を聞くと、自分がつらい時であっても自然と手が動いたり声が出ていた。(3名)
・ 復路は漕げなかったが、精一杯声を出した(2名)
・ 率先して声を出していた生徒に元気づけられた
・ 率先して声を出していた生徒のかけ声で、漕ぎ手の一体感が生まれた。
・ 漕ぎ手が減ると、かいにかかる力が増した。
・ 復路はきつくて漕げなくなってきたが、心配してくれる仲間のために漕ぎきるとの思いで最後まで頑張った。

○ 遠漕完走後の感想
・ みんなよく頑張った(2名)
・ 先生と生徒が一致団結できた(2名)
・ 一緒に漕いだ先生やサポートの先生に感謝(2名)
・ 楽しかった。(2名)
・ 体力や精神的にきつい訓練を乗り越えられた経験は、これから遭遇するかもしれない困難な出来事を乗り越えるための基礎となる。
・ 自分を褒めたい。
・ 二度とやりたくない。
・ 参加者全員で頑張った初めての行事で、良い思い出となった。

○ 今後の学園行事に向けて
・ 遠泳を完泳できるように頑張る(2名)
・ これからの行事でも仲間たちと頑張っていきたい


遠漕の前後での生徒諸君の気持ちの変化が見てとれると思います。
生徒たちに一体感が生まれているように思います。
また、今後の学園行事への抱負がでてくるなど、前向きな姿勢が強くなっています。
みんなで何かを成し遂げることの重要性を再確認できました。
生徒諸君!! お疲れ様でした。

疲れが出ていますね。
頑張ったことが自分の力となっています。
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生徒諸君の実習や講義の感想 3

2024年08月07日 09時20分09秒 | 授業の感想
御前崎魚市場
・ 定置網で獲れる魚種が御前崎と焼津で少し違いがあった。
3名の生徒が同様の感想を持っていました。
大型定置の実習との違いを肌で感じた結果だと思います。
良く観察していますね。興味を持って見学していることの現れですね。


・ 南方系の魚種であるオオニベが獲れるようになったことや藻場面積が縮小するなど地球温暖化による海水温上昇が漁業与える影響が大きい。
2名の生徒が同様の感想を持っていました。
生息環境の変化が、魚を追って遠くに行けない沿岸漁業に対して影響が大きく現れることを驚いたのでしょう。
さらに、何かを考えて行動しなければ!との動機となり得る感想が続いていました。
・ 環境変化に対応して漁業も変わることが大事。


大型船での生活環境や船上での注意点など、それぞれ以下のような感想がありました。
・ 船の生活環境が昔に比べて良くなっている。
・ 船上活動において最も気をつけることは海に落ちないようにすること。
・ 漁業が衰退していると聞いたが、再び盛り上げられるような漁師になりたい。
・ 興味を持っているブランド化の話しが聞けて良かった。
自分が漁業者となる姿を想像して、気になる事柄を考えたようです。
自分の事として市場見学での説明を聞いていたのでしょう。
素晴らしいですね。



温水利用研究センター
・ 魚の病気などにより育てている稚魚が全滅することがあるなど、種苗生産現場の大変さに衝撃を受けた。
2名の生徒から同様の感想がありました。
種苗生産時の担当者の様子を想像したのでしょう。
実はその後の話もあり、センターの職員の皆さんは、失敗の原因を分析し、次回の生産時には影響が大きいと想定される要因に対する対策を講じて、一つ一つ課題を解決して技術向上を続けています。
生徒諸君も、もし失敗した場合には、なぜ失敗したのかを細かく分析し、次への対策につなげて行くことを心がけてください。


・ ヒラメやマダイでは放流された稚魚が成長し漁獲されていることを知り、栽培漁業が重要だと思った。
・ 天然魚と人工生産魚で形態や模様に差があることを初めて知った。
・ 栽培漁業に多くの人達が関わっていることが実感できた。
育てることが主体である栽培漁業についての必要性を感じたようです。


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生徒諸君の実習や講義の感想 3(序)

2024年08月07日 09時14分05秒 | 授業の感想
御前崎地区施設見学

生徒諸君の感想文を紹介する前に、御前崎魚市場、漁協のブランド魚、磯焼け及び温水利用研究センターを簡単に解説します。
生徒諸君の感想を補完する内容にしたつもりです。
感想を読んで、”???”となりそうな部分を想像して書いています。


御前崎魚市場
御前崎魚市場では、近海かつお(生)、しらす、きんめだい、さわらなどが水揚げされています。
秋から春にかけては、刺網で獲れた生きたいせえびも水揚げされます。
また、多種多様な魚が入網する小型定置の漁獲物も水揚げされ、見学時にはブリやカンパチなどが水揚げされていました。


漁協のブランド魚「波乗り鰆」
近年、御前崎市場を運営する南駿河湾漁協では、同市場に水揚げするさわらのブランド化に取り組み、厳しい基準をクリアしたものをトップブランドの「波乗り鰆」として出荷しています。その基準は、11月から2月末までに曳縄漁法で漁獲、船上での脱血処理、魚体に傷が無い2.5~4kgであって脂肪量10%以上などとなっています。


御前崎周辺海域の磯焼け
かつて御前崎周辺海域には東京ドーム1,700個分ほどの広大な藻場が存在していました。
昭和の終わり頃から「磯焼け」と呼ばれる藻場が衰退していく現象が見られ、平成12年頃にはほとんどが消失してしまいました。
磯焼けの原因については特定されていませんが、藻類の移植や藻類を食べる魚類を駆除することが藻場の回復・保全に役立つことがわかりました。
漁業者などがこれらの活動を続けたことで徐々に藻場が回復しています。


温水利用研究センター
原子力発電所からの温排水を活用して、マダイ、ヒラメ、アワビなどの有用水産物を卵から稚魚まで育てる(種苗生産と呼びます)施設。
マダイやヒラメは、この施設で概ね3cm程度の大きさまで育て、漁業者により海に浮かべた生け簀などで6cm程度になるまで育成された後に、海に放流されます。
放流された魚たちは、海で大きく育ち、翌年以降に漁獲されます。
また、全国的にも珍しいクエの種苗生産と養殖を行っています。
*人工的作った稚魚の放流による積極的な資源増殖行為を栽培漁業と呼んでいます。


読んでいただき感謝です。
次は、生徒諸君の感想です。

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生徒諸君の実習や講義の感想 2

2024年08月05日 13時59分10秒 | 授業の感想
水産技術 (水産加工)
この授業についての生徒諸君の感想は。。。
様々でした。
以下に感想を列挙します。

・魚は新鮮なものが最も美味しいが、加工することで品質保持期間が長くなることがわかった。
・魚の加工目的が食味向上や品質保持期間の長期化であり漁獲物を有効に利用できることから、持続可能な開発目標であるSDGsにつながる産業だと感じた。
・さば節を知らなかったが、蕎麦つゆに使われている事を知った。
・まぐろ缶詰のほとんどが静岡県で作られている事を知り誇らしかった。
・全国1位の生産量を誇る製品が多いことから、水産物の有効活用や遠くの方々に食べてほしいとの水産加工業者の情熱を感じた。
・水産加工による保存性向等の工夫をすることで、漁獲量の変動が大きい漁業が支えられていると感じた。(水産加工業者が漁獲量の多少に合わせて買ってくれるとの意味でしょう)
・水産加工品の事について興味を持ったので、もっと詳しく知りたい。


1名の生徒が漁業と関係した感想を持っていました。
漁業から見た水産加工業者は、漁獲物を”安定的に購入”するお客さんです。
加工業者が港の周りに多く存在することで、
・業者間の競争が生まれ魚価が向上する場合もあるでしょう。
・多く獲れて魚価が安い場合などでは、工場の受け入れ限界近くまで購入することもあるでしょう。
・両者の関係は、上記2点以外にも相互に支え合う関係や価格面などで競合関係があります。
水産加工業と漁業のつながりに着目した視点は素晴らしいですね。
このような視点も伸ばしていくカリキュラムを考えますね。
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生徒諸君の実習や講義の感想 2(序)

2024年08月05日 10時42分47秒 | 授業の感想
水産技術 (座学)
当学園の教務職員が講義をするほか、静岡県水産・海洋技術研究所の研究職員や普及職員を講師に招き、彼らの専門分野についてわかりやすく講義をしていただく時間を設けています。
1学期には、水産加工、しらす(いわししらす)、さば、かつお、海洋環境及び深層水について、講師を招いての授業を行いました。


今回は、水産加工の授業について紹介します。

○ 静岡県の水産加工の現況
静岡県は、水産加工業が盛んな地域で、その生産量は北海道、千葉県に次ぐ全国第3位となっています。
製品ごとにみると、国産のかつお缶詰やまぐろ缶詰は、ほとんどが静岡県内で生産されています。
また、あじの干物やなまり節は、全国シェアの半分程度を占めています。
その他にもかつお節やしらす干しなどがあります。
生産量、全国シェア及び静岡県内での主な生産地などの情報に興味がある方は、静岡県経済産業部水産・海洋局水産振興課のHPをご覧ください。

* 皆さんがツナサラダ、ツナサンドなどに使っている国産ツナ缶(最近はレトルト処理された袋状の商品もありますね)は、ほとんどが静岡県内で生産されたものです。

○ 水産物を加工する目的
 水産加工の目的は、生の状態よりもおいしくすること、変質(劣化)しやすい水産物の保存性を高めることです。
 おいしくすることは理解しやすいですが、変質しやすい理由はわかりにくいので、少し解説します。
 水産物は、水分が多く組織がもろいため、細菌などの増殖による変質(劣化)が起こりやすいこと、内臓などに含まれる物質(酵素など)により自らを壊していくことなどにより畜肉などに比べて変質しやすいと言われています。塩漬けや干すことで水分を減らしたり、熱を加えることで酵素を壊したりなどの加工を施すことで、これらの変化が起こりにくくしています。

* 昔に比べて現在では、漁船から小売りまでを低温管理できること、漁獲後すぐに臓器を除去すること等により変質を抑え、生食用として利用できる期間を著しく伸ばしています。遠洋まぐろ船などでは、漁獲後にエラや内臓の除去などの必要な処理をした後に-50度の船内にある超低温冷凍庫で保管されます。陸揚げ後も陸上の超低温冷凍庫で保管されます。

○ 静岡県の缶詰製造史
静岡県は、缶詰製造における新興産地で、昭和初期に多くの製造工場で稼働が始まりました。
昭和8年における工場数は、全国にまぐろ類の缶詰を製造工場が29あった中で、県内では15が稼働していたそうです。
製造した缶詰は、アメリカやイギリスなどに輸出していたそうです。
当時は、夏にはまぐろの油漬け缶を、冬にはミカンの缶を製造する周年稼働の体制がとられていたようです。
これは、まぐろが水揚げされる漁港とミカンを生産する農家が近接し、原材料の調達が容易であったため、まぐろ缶とミカン缶の製造技術が確立されていたことで可能となったそうです。
また、缶詰の缶を製造する工場も県内に作られたのもこの頃のことです。
地理的に有利な環境を活用した先人たちの努力により、現在のように静岡県が全国一の缶詰生産地へと発展していきました。


文字ばかりですみません。
次は、生徒諸君の感想です。


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