環境と体にやさしい生き方

環境の悪化は生物系全体に大きな影響を与えています。環境と体にやさしい健康的な生活を考えるための新鮮な情報を紹介します。

窒素バランスの変化が世界環境を悪化!(追記)

2012年06月20日 | 環境問題
有史以来この数十年間で、急激に人口が増加したことに伴って、地球上の窒素の量が増えています。
この量は、2009年時点で地球限界の3倍を超えているそうです。

下記の9項目は、「9大地球環境問題」といわれていますが、窒素循環の問題はこのうちの「酸性雨」に該当します。
1.地球温暖化
2.オゾン層破壊
3.酸性雨
4.野生生物種の減少
5.森林の減少
6.砂漠化
7.海洋汚染
8.有害化学物質の越境移動
9.開発途上国の環境問題


食料自給率の低い日本は大量の窒素も輸入しています。これは、輸出国や日本の環境はもとより、健康にも影響を与えています。


【広域的な窒素の移動】
過去のブログ「日本も本当は水不足の国?」で、『日本は、海外で生産された農産物や製品を輸入する際に、これらの生産に使用された水(バーチャルウォーター)も間接的に輸入している。』という内容のことを書きました。実は、農畜産物や飼料などを輸入することで、水と同時に大量の『窒素』も輸入しているのです。


農産物等の生産には、窒素、リン、カリを中心とした栄養成分が必要です。このため、農産物等の輸出国の土壌は窒素不足等によって土壌が疲弊化し、砂漠化の要因ともなっています。そして、農産物等の輸出によって生計を立てている発展途上国は、生産性が低下することでさらに貧困化が進むこととなります。一方、日本のように食料自給率が低く、多くの農産物等を輸入に頼っている国では、窒素過多の状態となっています。

このような、世界的な窒素バランスの変化が環境に与える影響については、ほとんど問題として議論されることはありませんが、温暖化問題やエネルギー問題と同様、早急に検討すべき大きな課題ではないかと思います。


【日本国内における窒素バランス】
日本国内の窒素バランスについて考えた場合、農畜産業の盛んな地域の土壌ほど窒素過多の状態にあります。
その主な原因は、農地への肥料の大量施用によって、土壌中に窒素分が流出することによるものです。窒素は、葉肥(はごえ)とも呼ばれるように、葉の生育を促すため、葉を収穫するお茶の栽培などには特に多く使われています。肥料として散布された窒素の半分以上は、土壌中に流出するというデータもあります。

さらに問題なのは、畜産地帯で毎日大量に発生する牛や豚、鶏の糞尿です。過去には、田畑に野積みされた畜糞や素掘りの穴に溜めた糞尿が各地で見られ、地下浸透による水の汚染や悪臭が大きな問題となっていました。
平成11年11月1日に「家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律」(家畜排せつ物法)が施行されてからは、農水省や地方公共団体による補助金などで、堆肥化処理施設や浄化処理施設が整備されて、野積みや素掘りの問題は解消されたことになっています。

しかしながら、堆肥化処理施設が整備されたことで堆肥の供給量が増大し、過剰な堆肥の処理が問題となっているところも少なくありません。堆肥は、容積が嵩張る割に単価が低いために広域流通が難しいという特徴があります。また、畜産専業農家の多くが自ら散布できる田畑を持っておらず、耕種農家(田畑を利用して農作物を生産する農家)との交流が少ない場合も多く、これが堆肥需給のアンバランスの一因ともなっています。
大量に生産される堆肥を必要以上に農地に還元することで、土壌の窒素過剰を招いている農地も少なくありません。

苦肉の策として、畜糞を炭化して生産された炭を利用する方法や、燃焼により電気や熱のエネルギーに転換利用する方法を採用しているところもありますが、炭化品や灰化品の販売に頭を痛めている場合も多々あるようです。


【窒素過剰による環境・健康への影響】
農地に施用された堆肥中の有機態窒素は、土壌微生物のはたらきで無機化されアンモニア態窒素となります。このアンモニア態窒素は酸化により亜硝酸態窒素(亜硝酸性窒素)を経て硝酸態窒素(硝酸性窒素)に変化します。アンモニアや硝酸は作物に吸収されますが、過剰分は土壌中に流出します。

窒素が湖沼や河川、海洋に流出すると、富栄養化の原因ともなります。特に、亜硝酸、硝酸は土壌と同様にマイナスイオンのため、土壌に保持されずに地下水に浸透しやすい特徴があります。硝酸塩・亜硝酸は人体に有害であり、汚染された地下水は健康に影響を与えます。特に、乳幼児の場合には、チアノーゼの症状を引き起こす、メトヘモグロビン血症にかかります。また、亜硝酸は、胃でアミノ酸と結合して、発ガン性物質であるニトロソアミンを生成します。


このように、グローバル化し、大量生産・大量消費の経済の中では、窒素の面からも環境や健康に大きな影響を与えているといえます。



・ホームページ「環境と体にやさしい生き方」

※健康参考:首こり、肩こりのサイト
 よくわかる首こり、肩こり解消法

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