環境と体にやさしい生き方

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遺伝子組換えトウモロコシと発がん性の関連が明らかに?

2012年09月23日 | 食生活等
仏ノルマンディーにあるカーン大学の研究チームは、マウスの実験結果に基づいて、米国の種子メジャー・モンサント社製の遺伝子組換えトウモロコシ「NK603」系統とこれと抱き合わせで販売している除草剤「ラウンドアップ」に発がん性の疑いがあると指摘しました。
これは、同大学が仏専門誌「Food and Chemical Toxicology(食品と化学毒性の意)」の中で論文として発表しています。

【関連サイト】
→ 「GMトウモロコシと発がん性に関連、マウス実験 仏政府が調査要請」(AFP BBNews 2012.9.21)

過去ブログでも書きましたが、モンサント社は、遺伝子組み換え(GM)技術を用いて、除草剤に対して耐性をもつ作物HRCs(Herbicide Resistant Crops)の種子と除草剤ラウンドアップを一式で販売しています。
過去ブログ→「意図的に歪められた食の安全

前述のAFP BBNewsの記事によると、カーン大学の研究内容と結果は次のようなものです。

1.実験内容

【実験対象】
マウス200匹

【実験内容】
GMトウモロコシ「NK603」を与える、または除草剤「ラウンドアップ」に接触させるグループ(実験群)とこれらと無関係のグループ(対照群)との比較

【実験期間】
マウスの寿命にほぼ相当する2年間

2.実験結果
・実験群のマウスに腫瘍を確認した。
・がん腫瘍の発生が確認されたのはメスに多かった。
・実験開始14ヶ月目で、対照群にはがんの発生が確認されなかったのに対し、実験群ではメスの10~30%に確認された。
・実験開始24ヶ月目では、対照群のメスのがん発生率は30%であったが、実験群では50~80%と高かった。
・実験群のメスでは早死も多かった。
・実験群のオスには、肝臓や皮膚の腫瘍、消化管の異常が見られた。

フランス政府はこれらの実験結果を重視して、9月19日(2012年)に農業、エコロジー、保健の各担当大臣らが、保健衛生当局であるフランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)に対して、GMトウモロコシと発がん性の関連性について調査を要請しています。

また、当該3大臣は、ANSESの調査結果次第ではフランス政府として、EU当局に対しても域内への当該トウモロコシの輸入緊急停止等、必要な措置を要請すると発表しています。

これらの実験結果や報道に対して、モンサントのフランス法人はコメントを控えています。

なお、欧州食品安全機関(European Food Safety Agency、EFSA)に属するGM作物に関する委員会は、2009年に90日間のマウス実験結果を基に、「NK603」は安全であるとしています。しかし、この安全性の評価には、「実質的同等性」というきわめて曖昧な世界共通の概念が基準として採用されているものと思われます。

実質的同等性とは、遺伝子組み換え作物・食品が、これまで食べてきた同様の作物・食品と比べた場合に、形や生態の特徴、構成成分、使用方法などがほぼ同程度とみなせれば、その安全性は従来のものと同程度とみなせるという考え方です。
このことは、過去ブログ「遺伝子組み換え食品は安全か? 」にも書きました。


欧州では現在、GM作物の栽培は禁止されている一方で輸入は認めており、これは日本も同様です。
しかし、大きな違いは食料自給率です。欧州の多くの国の自給率は70%以上で、フランスは100%を優に超えています。
これに対し、日本は40%程度しかありません。
このことは、少々古いデータですが過去ブログ「食料問題とWTO、EPA/FTA」にも書いています。

2011年現在、世界の大豆作付面積のうち約75%、とうもろこし作付面積の約35%が遺伝子組換えとなっています。
また、米国農務省(USDA:United States Department of Agriculture)によると、米国の2011年に作付された大豆の94%、とうもろこしの88%が遺伝子組換え作物となっています。
すでに、ほとんど遺伝子組換え作物に切り替わっていると言っても過言ではない状況です。
日本の場合、大豆の約95%、穀物用トウモロコシに至ってはほぼすべてを輸入に頼っています。

これについては、過去ブログ「遺伝子組み換え作物、遺伝子組換え食品の現状」も参照して下さい。

食の安全は、人類存続の根幹をなすものであり、原子力発電事故に伴う放射能汚染と同様(もしくはそれ以上)の重要な問題です。
この、健康・環境・生物多様性・人類の存続などに広く関係するきわめて重要な「遺伝子組換え問題」がなおざりにされている現状に、個人的には高い危機感を持っています。

「遺伝子組換え」についての過去の各ブログ記事については、下記をクリックして下さい。
(※冒頭にこのブログが出てきます。過去ブログはその下にあります。重複する内容もありますがご容赦下さい。)
過去の「遺伝子組換え」に関する記事へ



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