環境と体にやさしい生き方

環境の悪化は生物系全体に大きな影響を与えています。環境と体にやさしい健康的な生活を考えるための新鮮な情報を紹介します。

環境問題に潜むウソ

2007年07月26日 | 暮らし全般
環境問題は複雑・多岐にわたっており、これに関連する各種のビジネスも増えています。しかし、その一方で、環境問題にはいろいろなウソもまかり通っているのが現状です。今、本当に重要な環境問題とは何なのでしょうか?


18世紀末の産業革命以降、人口の急激な増加と、これに伴う化石燃料や天然資源の大量使用で環境は大きく悪化しています。
(1800年:約10億人⇒2007年7月末予測:約66億人、2050年予測:約90億人
eco検定公式テキスト(東京商工会議所編著)によると、環境問題は次のように分類されています。

《環境問題》
 【典型7公害】
  ●大気汚染     ●振動
  ●水質汚濁     ●地盤沈下
  ●土壌汚染     ●悪臭
  ●騒音

 【9大地球環境問題】
  ●地球温暖化    ●砂漠化
  ●オゾン層破壊   ●海洋汚染
  ●酸性雨      ●有害化学物質の越境移動
  ●野生生物種の減少 ●開発途上国の環境問題
  ●森林の減少

そして、これらの環境問題に関わる施策やビジネスも増加の一途をたどっています。それは、とりもなおさず環境に関するビジネスで着実に収益が得られるようになってきたためです。


中部大学教授で、『リサイクル幻想』や『「リサイクル」してはいけない』などの著者である武田邦彦氏が、本年3月(2007.3)に『環境問題はなぜウソがまかり通るのか』(洋泉社)を発刊しました。武田氏は、いろいろな事例をあげて、私たちの身の回りには「環境活動」という大義名分の下、「環境問題のウソ」がまかり通っていると言います。そしてこれは、販売部数や視聴率を伸ばしたいマスコミや、国民の合意を形成して税金を投入しやすくする政府などの「故意の誤報」によるものだと指摘しています。

環境問題はなぜウソがまかり通るのか (Yosensha Paperbacks (024))
武田 邦彦
洋泉社

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本の内容は、個人的には極論にすぎると思われるものもありますが、確かにリサイクルしているという部分だけがクローズアップされて、それに費やされるコストや資源について科学的な分析がなされていないものも多いと思います。

武田氏は、事例のひとつにペットボトルのリサイクルをあげ、次のようなことを書いています。

・ペットボトルはリサイクルするということで気軽に使われるようになり、消費量の増加を加速させた。
 (2004年は1993年の約4倍、51万トン)
・ペットボトルは、作るよりもリサイクルする方が資源を7倍も使う。
・ペットボトルの販売量51万トン(2004年)に対し、再利用は3万トンである。
 (この数値には疑問の声が多く論議になっています。下記の※を参照してください。)
・ペットボトルのリサイクルは環境に対して逆効果だが、リサイクルが横行しているのは利権構造があるためである。



※武田氏の本では、PETボトルリサイクル推進協議会からの出所のデータとして、2004年のペットボトルの販売量が51万トンなのに対し、再利用できたのはたった3万トンであると指摘していますが、これは自身の調査を基に独自に推定したもののようです。(この推定は、商品化までの材料ロスや海外輸出量等を差し引き、独自の市場調査を加味したもののようです。)
これに対し、PETボトルリサイクル推進協議会は6月28日に、当該データは同協議会の名前を騙った捏造データだとしてホームページに反論を掲載しています。武田氏も誤りを認め、次著では訂正するとしています。


確かに、PETボトルリサイクル推進協議会のレポート「2005年度PETボトルリサイクル概況」の数値から計算すると、回収率は上昇しても生産量が増加しているため、未回収のペットボトルは2002年から2005年の間では、毎年170~194千トンの範囲を上下しています。
また、リサイクルするものによっては、洗浄用の水やエネルギーを多く使うものもあります。
ペットボトルがリサイクルされてどのような商品になり、どの程度販売されているのかという統計的な資料も目にしたことがありません。

リサイクルを考える場合、その手法のひとつにライフサイクルアセスメント(LCA)があります。これは、ある製品が製造、使用、廃棄(または再利用)されるまでのすべてのプロセスで、環境に負荷を与える物質を定量的・科学的に分析し、その影響を評価するものです。LCAは製品やサービスの環境への影響を定量的に評価できるので、環境問題を考えるには有効な手法です。
しかし、製品のライフサイクルを考える場合、それに関連する要素や組み合わせは多く、かなり複雑であるため、誰もが納得する評価は難しいのが現状です。

いずれにせよ、環境問題には既述したようなさまざまな理由で、「ウソがまかり通ることもある」ということを念頭に置いて、ひとつの情報を鵜呑みにするのではなく複数の情報をもとに自分なりに考えていくことが必要です。
(これは、健康問題についても同様です。松永和紀氏の書いた「メディア・バイアス あやしい健康情報とニセ科学」が参考になります。いずれ、ブログで紹介の予定です。)

前述の武田氏は、本当の環境問題は、「石油の枯渇問題とそれに伴う食糧問題」だと指摘しています。そして、マサチューセッツ工科大学メドウス博士の「21世紀中頃には石油の枯渇で世界中で約30億人が餓死するだろう」との予測を例に、子孫が生き残れるような対策こそが優先されるべきと書いています。また、石油の枯渇で日本の工業国としての製品輸出力がなくなれば、食糧輸入もできないうえに、石油を大量に使っている国内農業の効率も低下し、食料自給率も40%から25%程度まで低下すると指摘しています。
これまでのブログで私が書いてきたことを端的に表現しており、まったく同感です。

最後に...
本も商品のひとつであり、中には消費者の関心を引きつけるために自分の都合のよいデータだけをピックアップし、それをことさら強調しているものもあることに注意が必要です。

メディア・バイアス あやしい健康情報とニセ科学 (光文社新書 (298))
松永 和紀
光文社

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【主な参考資料】
・「環境問題はなぜウソがまかり通るのか」 武田邦彦著 洋泉社
・日経エコロジー2007.08号「25万部の”環境本”に疑問の声 ペットボトルの再利用量で論議」
・eco検定公式テキスト 東京商工会議所編著
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