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西東京市・北海道富良野の森林を舞台にした遺伝,育種,生態などに関する研究ノートの一部を紹介します

イチョウと青空

2007-12-05 | フィールドから
・東京は晴天である。弥生キャンパスはイチョウと青空の対比が美しい。いやあ、それにしても雪がないって素晴らしいねえ。などといっている場合ではなく、着いたらそのまま集中講義に突入であった。前半1時間半は施業と更新に関する講義。その前のK氏の講義で自然選択による3名減はあったものの、皆さんの意識は高く、誰一人寝ることもなくつつがなく終了。



・後半は、初の試みの投稿論文執筆ミニ講座。学生にとっても、初めての体験だったらしく、いい緊張感で終わってみれば6時前。途中で、自分の論文について、主題と売りを語ってもらう機会を作ったのだが、これも良かったみたい。何より、自分自身が一番楽しかった。こうした内容の講義をいかにしたかったか、ということが分かり、自分再発見ともなった。講義を受けた学生にとっても有益なものであれば嬉しい限りである。

・Texで作成したテキストはほとんど”本”のようになってしまった。我ながら、それなりに楽しい本になっているのではないかと思う。今のところ題材としている投稿論文が投稿中のものなので、公開しない方がいいと思っているのだが(もしリジェクトされたら恥ずかしいから・・・)、受理された暁には、そのうち自分のホームページで公開したいと思っている今日この頃である。

Winter wonderland

2007-11-21 | フィールドから
・6時半起床。都心部は朝焼けに輝いている。それにしても雪がないって楽だねえ。旭川空港に戻ったときに車がどれだけ埋もれているかが当方の関心事である。

・午前中、トドマツ標高間交雑試験地の論文執筆を進める。不思議なことに、思いがけずぐぐっと進んでしまった。というわけど、Iくんにいったん送信し、TableとFigureの整理をお願いする。全体的に、すらすらといきそうな予感(甘い予測?)。

・東京ではクリスマスイルミネーションがあちこちで展開されている。当方のホテル正面でもきらびやかな飾り付けが華を添えている。富良野だと寂しい限りなんだけど、都会ではこれからクリスマス一色、なんでしょうねえ・・・。

天然林へのエゾマツ播種

2007-11-14 | フィールドから
・12林班の天然林へのエゾマツのタネ蒔き。麓郷の市街地から山を見ると白く曇っていたので、てっきり雪中作業かとおもいきや、調査地付近はまったく雪がない。雪に覆われていたのはもう一標高上だったようだ。ほっとしながら、まずは地がき地の播種準備。赤杭、ロガー、タネ、くわ、かなづちなど、必要なものをそれぞれに持っていざ出発。

・既に、播種場所の設定など、最初の”仕掛け”は終わっているので、本日の作業はタネまきと赤杭と温度ロガーの設置である。樹木園スタッフが協力してくれたので、作業手順が決まるとすいすいと進む。当方提案のピート盤もなかなかいい感じにふやけている。いくつか自分でもぱらぱらとタネを蒔いてみるが、均等に蒔くっていうのが、福岡時代にベテランのY氏から習ったのだけれど、案外と難しいもんだ。どんな結果となりますか・・・、来春が楽しみである。



・午後から投稿論文執筆ミニ講座のレジュメを再び作成。引用文献リストを表示できるように、地がき論文のTeXファイルから必要なところをコピーして、と・・・。おっと、何の問題もなく動いた。日本語文献の読み込み方などもやっているうちに分かってくると楽しくなり・・・。つい、修正作業にかまけてしまった。本講義の準備がまだまだなんだけど・・・。

シュートは語る

2007-11-13 | フィールドから
・エゾノウワミズザクラのジェネット構造に関する原稿の修正。細部をチェックしてほぼ完成した。何とか投稿まで持っていけそうである。ひとしきり修正が終わったところで、トドマツ標高間交雑試験地へ。昨日の雨でササがぬれており、ズボンがじっくりとぬれてしまう。先日はカマで採取しようとして手間取ったので、高枝切りに変えたところ、採取は一気に楽になった。

・プレゼン用に同じ低標高母樹(A16)で自殖、低山、高山、オープンの4つのタイプの交配タイプに分けて写真を撮る(左から、自殖、低山、高山、オープンの順)。シュート成長量はともかく、自殖では葉の量が少ないようにも見える(一枚一枚の葉も小さい?)。SLAや窒素などで、どのような値がでるのか楽しみである。それにしても、シュートをじっくりと観察するだけで、かなりの情報が得られるのには驚いた。



・講義用スライドの作成。例年だとかなり凝ってしまうのだが、レジュメを別に作るので、ことさらに情報を削ることにする。要するに、項目と写真だけみたいなものにすると非常に簡単である。問題は講義ノートをいかに充実できるかにかかっている。改めてカラマツ人工林施業の指針を読み返したりして・・・。

・4時半過ぎにTさんとともに、湿地帯ではない前山のアカエゾマツ針葉形態の写真撮影準備。今までになく、横に薄い。これまた新しいタイプ、なんだろうか・・・。

雪山調査

2007-11-09 | フィールドから
・アカエゾ調査2日目。90林班の奥地林。昨晩の雪でいきなり冬景色である。見ている分にはきれいなんだけど、調査となると、ササにかぶった雪が冷たい。斜面方位によってアカエゾがあるところは決まっているようだ。風の通り方の問題なんだろうか、ふうむ興味深い。



・この地域の土壌はかなり砂質な感じ。シュートを見ると想像以上に成長がよさそうである。これらのサイトが加わることで傾向が強まるのか、意味不明さが強調されるのか、全く見えない。が、分からないから面白いんで、まあいいかっと・・・。



・下界に下りてくると、そこは季節が違っている。冬から秋に戻ったみたい。あんなに寒かったのは幻だったのか・・・。


アカエゾ追加調査

2007-11-08 | フィールドから
・おとといの打ち合わせで急浮上したアカエゾ現地の追加調査。前山の下湿地と上湿地の間で1箇所、前山の上湿地で1箇所、さらに26林班で1箇所を調査する。前山の林道沿いにはポツポツとアカエゾが分布しているが、思った以上に環境はヘテロである。岩がらがらのところもあれば、沢がかったところ、土壌が発達しているところなど・・・。中にはナキウサギが住んでいそうな穴が開いているところも・・・。ちなみに写真は前山の間(maeyama_m)の様子。



・今回の最大個体は胸高直径90cmを超えていた。圧巻である。大きな木というのは独特のたたずまいを持っている。ふと見ると、周りは倒木だらけだ。講義によさそうな、かなり大きくなった倒木更新。非施業林での更新の様子ということで、写真を撮る。



・前山の上湿地(maeyama_u)は、場所によってはかなり水が溜まっている。これは確かにストレスが多いことであろう。



・上湿地のサンプリングは1時間足らずで完了し、2時過ぎに26林班に移動。しかし、3時過ぎには既に暗くなってくる。なんとも心細くなるような薄暗さである。この時期はもはや3時までが限界であろうか・・・。それなりに広い範囲を歩きながらなんとか20個体を完遂。27林班との類似性が気になるところである・・・。

アカエゾ研究打ち合わせ

2007-11-06 | フィールドから
・札幌二日目。北大にてアカエゾ局所適応の研究打ち合わせ。久しぶりに3名で顔をそろえる。お互いに進捗状況を報告しつつ,今後の計画を考える。飯島くんの報告は,環境(土壌),生理,形態のデータ。8ページに及ぶ報告書の体裁が整っている(すごい)。結果はというと,標高によるクラインや面白そうな挙動を示す形質があるものも,意味不明なものも,玉石混交といった感じ。しかし,中にはデータが信じられないものもあり,後で確認することになる。どうも,当方のミスではないかという疑いが・・・。

・北村さんの報告は適応的な挙動を示すアロザイム研究のレビューとアロザイム分析の結果。なかなか味わい深い結果である。当方はというと,針葉の個葉の形態分析結果と環境(気象ロガー)の説明。SHAPEの微細な形の違いを検出する能力には,ちょっと感動していただいたのではないだろうか。さらに,局所適応に関する論文を代表的なものをレビュー。今後の展開とも関わるのだが,今ひとつ(まるで?)はっきりしなかった本研究の位置づけを行った。何はともあれ,結果を森林学会にて発表することになったので,その中でもう少し具体的に固まっていく予定である。

・投稿論文としてまとめるために,集団数やサンプリング戦略は現状のままでよいかという議論をしているうちに,やはり前山上の湿地林と上と下の湿地をつなぐ地帯,さらに経才鶴付近の個体はやった方がいいだろうという話になる。最初は2-3月の積雪期にやろうかということで話を進めていたのだが,よく考えてみれば雪前にやった方がいいんじゃない?ということで,話は急転直下。あさって8-9日のサンプリングと相成った。支部会終わってちょっとゆっくりという訳にもいかなくなってしまったが,3集団の追加は論文とするときにも結構,重要になりそうである。

・例によって,パン吉に寄ってお土産のパンを購入,さらに“きのとや”で”きのら”も買って,し,ようやく任務完了。高速バスで揺られていると,実にいい気分である。などと悠長なことを言っている場合ではないのだ,これが。とにかく,12日締め切りの50周年原稿と12月5日予定の講義準備を進めねば・・・・。

支部会完了

2007-11-05 | フィールドから
・北海道支部大会当日。久しぶりの札幌である。実にいい天気でこのままドライブしたくなる。富良野に比べるとやはり暖かいのか,公園の木々はまだ緑の葉が残っているものが多い。記念公園では,石弘之氏による”FAOからみた世界の森林状況”というお話。アフリカやアジアの森林の現況を写真、数値とともに示していただいた。違法伐採の仕組みや現状も分かり,興味深かった。さすがジャーナリストという視点であったが,全体的に“救い”がないのが聞いていて痛かった。

・おとといの晩,”ブラッドダイヤモンド”を観たのだが,そのときに感じた”救いのなさ”を思い出したせいかもしれない。そうそう,この映画,ブラピの痛快ダイヤモンド探検みたいな話かと思ったら,実はかなりメッセージ性の強い映画でした。現地の抱える問題点とか,家族とか,人種を超えた友情とか,ダイヤモンドに直接関係しないテーマが実はしっかりと横たわっていて,見ごたえがあった。

・肝心の支部会であるが,4名ともに上出来といってよいだろう。中には予想外の質問(しかも,どうしょうもない質問)に度肝を抜かれた人もいたようだが,いい経験になったのでは。終わった後の開放感がいいんだよねえ、これが。他の発表はというと・・・,実は特筆すべきものがない。というか,時間守らない人は多いし(ちゃんと練習しろよ・・・),既存研究のレビューをしていない発表も多い。

・ちょっと面白いと思ったのが,豪雪地ではエゾシカの足の沈み具合(沈下量)が生存に効く,ということで、天然林とトドマツ人工林で沈下量を測定していた研究。測定は簡単な割に,フィットネスに直結する上に評価が定量なのがいい(欧米ではかなり盛んに研究されているらしい・・・)。

アカエゾマツcommon garden test測定

2007-10-31 | フィールドから
・58林班に設定したアカエゾマツのcommon garden testの測定。これらは湿地産と高標高産の母樹別実生苗を単木混交し、そのパフォーマンスを比較できる仕掛けになっている。この試験地は当方が設定したもので、100本×12ブロックになっている。昨年同様に、樹高と根元径を測定。またもや、樹木園スタッフに手伝っていただいて、3組に分かれて測定。



・プラスチックラベルをつけているので、個体番号の識別は容易である。いつか、枝に付け替えるなどをしなければならないが、とりあえずは食い込む心配はなさそうである。昨年と比較する尾t、新たに枯死した個体は少なく、順調に生育している。成長のいいものだと、当年生シュートが20cm以上になっている。



・妙な”雄たけび”がするなあと思ったら、なにやら黒いものが飛行している。クマゲラである。鳴き声を聞くことはあるが、姿を見るのは珍しい。2回ほど飛行を見ることができた。さらに、これまた珍しいことに写真を撮ることができた。



・地拵えした後には、林縁部でトドマツが旺盛な更新をしている。分かっていたことだが、中央部では更新数は少ないので、林縁効果は絶大である。この付近の標高はトドマツの蓄積量が多い。こうした場所で、湿地産と高山産の子供たちがどのようなパフォーマンスをするのか、データを見るのが楽しみである。


カラマツ黄葉

2007-10-29 | フィールドから
・アカエゾマツ研究打ち合わせに備えて、ロガーデータの整理と解析。こうした径時的データというのは処理が難しい。本当はRでびしびしとデータマイニングすべきなんだろうけど、当方にとってはある程度までエクセルのピボット・テーブルを使って加工した方が楽。とりあえず、月ごとに平均気温と湿度をプロットすると、温度はもちろん標高にそって変化するが、湿度は必ずしもそうはいかない。

・標高別に相互移植した論文という条件で検索してみると、意外とたくさん出てくる。確かに、ここほどの規模は少ないようだが、分かっていたこと(だけど、単に無知で知らなかったこと)と分かっていなかったことを峻別してからでないと、論文は書けないなあ。

・午後から東大の実習。午前中までは、雨が降っていなかったのだが、当方が担当すると雨が降るというのはいつものとおり。しかし、学生達はなかなかの気合で、雨合羽などを準備していてくれている。興味深く実習を受けてくれていたので、こちらも気合が入る。ブナ産地別試験とトドマツ標高別相互移植試験は相変わらずプレゼンしやすい。



・ここのところの暖気で、カラマツの黄葉は意外と進んでいない。今だと、樹種による黄葉の進み具合の違いが明瞭に分かる。短い秋である。