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西東京市・北海道富良野の森林を舞台にした遺伝,育種,生態などに関する研究ノートの一部を紹介します

バスガイド

2007-06-03 | フィールドから
・休出。市民公開セミナー。第13回を数えるわけだが、今日は今までにないくらいいい天気。植樹した後、まだ少しだけ雪が残る経才鶴山頂にて昼食。大雪山系が見事に見える。



・神社山の自然観察路へ。




・あずまやからの眺望。こちらは芦別岳方面。農地の丘陵地帯がなかなか・・・。



・余りのいい天気で日射病になりそうなくらい。樹冠に日が差し込むとなんともいい感じ。DBH130cmのミズナラとか、マカバとか、センとか見ごたえのある樹木がたくさんあって、散策にはなかなか楽しい。


動物の森

2007-05-29 | フィールドから
・北大実習対応ということで、一日、林内案内。まずは、大麓山の垂直分布から。実にいい天気で視界良好である。



・保存林などをゆっくりと説明。久しぶりの実習のためか、久しぶりに(?)熱心に説明したりして・・・。相手もマスター以上なので、自分のテーマを持っているため、受け止め方はそれぞれに違って面白い。



・直営現場では、エゾマツ地帯の施業など。水場からぐるりと回ると結構距離が長い。一段落したせいか、皆さん、昨夜の飲みが効いたのか、多くの学生が沈没。次の説明箇所の前に、メガフォンサイレンでみんなを起こす。



・この辺は定期的に択伐施業をやっているのだが、概観を見ると施業をしているとは思えないほど木が生い茂っている。最後に山火事後の再生林を眺めて、帰途についた。今回の実習では、雌シカ3、きつね1、クロテン1を見た。なかなか動物好きには堪えられない内容であったろう、と帰りがけにセミナーハウスでエゾリスに遭遇。こういうときに限って学生たちはいない。しかし、かわいい。





ブナ開芽、終盤

2007-05-22 | フィールドから
・森林立地に投稿予定のエゾマツ造林地の原稿、引用文献など最終チェック。ついでに、テキストの細かい言い回しも直す。やはりオンライン投稿とかは無理で、オリジナルとコピー3部を郵送する必要がある。さらに、投稿連絡表に共著者全員の誓約書も必要、って何でこんなに厳しいんだ、この雑誌。結局、10時半過ぎまでかかってしまった。

・明日のゼミのプレゼンチェック。時間を測定しながら、練習しようと思っていたら、途中でノックされたり、電話が来たり、で全然分からなくなってしまう。さらには、練習しながら、スライドの修正とかもしてしまったりして、ああもう、ぶっつけ本番じゃー。Landscape Geneticsの部分は説明していて、自分で言っていても、おぼつかないな。電車内で、Manelの総説をもう一度しっかり読もう。

・トドマツ原稿をもう一度読み返し、セルフチェック。さらに、細かい修正が必要であることが発覚し、ちょこちょこと直す。イントロもモデルの導入パートを追加(あまり自信ないけど・・・)。

・午後からブナ調査。この高温で一気に進んだ。久しぶりのブナ産地別試験地はまるで別の林である。東北までは完全に終了。秩父産もかなりステージが進んでいる。今日は全体的に2階級特進、といった雰囲気。しかし、中には全然開芽が進んでいない個体もあり、なかなか面白い。一方、梶先生のブナの方はやはり遅いところもあり、全体的にみれば開芽時期というのがずいぶん違うもんだ、ということが改めて実感できる。とにかく、まともなデータが取れたようで一安心である。



・所用を終えて、トドマツ原稿に戻る。一応改訂が終わったので、改訂のポイントなる文章を作成。こうしてみると、それなりに修正したようにも感じる。全体的に流れが良くなっている・・・といいのだが。アップロードさせていただいて、久保さん、練さんに連絡。自分用にもPDF版を印刷しておく。賽は投げられた、か?

メイヤーさん案内

2007-05-16 | フィールドから
・終日、メイヤーさん案内。麓郷街道はカツラの新緑が実に美しい。スイス人のメイヤーさんはところどころで、写真撮影をしている。なぜか自分の中で定番になりつつある、アカエゾ、ミズナラの林に行く。昨年、択伐を実施しているので、施業方法の説明にも便利なのである。



・メイヤーさん、スイスに日本の樹木園を造成したという人だけあって、実によく樹木の名前をご存知(日本の図鑑も書き込まれている)。主な樹種の学名は覚えているのだが、イヌエンジュとか、学名がすぐにでてこない。それにしても、メイヤーさんは実に多くの写真も撮る。樹皮の様子をこれほど熱心に撮る人をはじめてみた。案内のしがいがあるのはいいんだけど、質問に答えられないことも結構ある。



・ようやく雪がとけ、前山にいけるようになった。少し標高の高いところ(標高680m付近)を散策。またもや自分の趣味で、またもやアカエゾ湿地林に行ってしまう。頼りにしていたナナカマドの枝が折れて、いきなり湿地に足を取られる。長靴は水が入ると悲惨だ。



・なんと前山でお昼になってしまった。弁当を食べながら、メイヤーさんがかつて訪れた日本の場所をお聞きする。秋田杉とか、北山杉とか、縄文杉とかか、日本人だって全部は行ったことないね、たいてい。



・再び、湿地林へ。いつ行ってもここはよい。ハンノキの樹皮が気に入ったご様子。西の沢の山火事後二次林で写真撮影。この時期に訪れると、また違った印象。作業道の様子もよく分かる。



・最後に直営現場。帰り、ガソリンがなくなりそうになって焦る。「給油してくださいランプ」がでても、演習林の奥から戻ってこられるということを発見した。帰宅後もあれこれやっているうちに、あっという間に5時半。樹木園に携わるものとして、設定方法とかコレクションの仕方などとても参考になった。樹種特性と立地特性をよく考えて配置すべし・・・ということだったが、最初にどのようなテーマで集めるかが肝心ですなあ。

湿地林の魅力

2007-05-11 | フィールドから
・昨日、測り残したスギの測定。10時ごろ無事に任務完了。谷さんに演習林を案内。久しぶりに三の山峠から樹海を見せる。改めてみると、実に広いところだな。直営現場でエゾマツ丸太などを見た後、湧き水へ。この辺りは雪がかなり残っている。上流はまだまだ山が動いていない感じ。こうしてみると、下流と上流で花粉散布パターンが全然違うというカツラの結果は納得できる。標高差がなくても、フェノロジーはかなり違っていることを確認。



・岩魚沢の研究サイトを案内し、風のデータを回収。この時期の風向は、カツラの花粉散布パターンにも影響を与えると考えられるので重要。やや怪しくなった天気の下でお弁当を食べた後、湿地林へ。そういえば、湿地林へ行くのは久しぶり。想像通り、エゾノリュウキンカが満開。この時期は視界をさえぎる大型草本がないので、湿地林は実に不思議な景観を存分に見せてくれる。やっぱり魅力的な場所である。



・湿地林では、ヤチダモとハンノキが林冠を構成する単純な構成である。ヤチダモは小径木から大径木まで連続的に分布するが、樹高1-2mの稚樹群がブッシュ状に生えている。この集中分布はどのようにして生じるかを谷さんと話す。あまり明瞭ではないが、やはりギャップに対応していることと、かなり湿地がかったところに集中しているみたいだ。



・最後に、麓郷街道近くの低標高でアカエゾマツとミズナラが多い森を見つつ、アカエゾマツの局所適応に関する研究計画について議論に付き合ってもらう。フランスでのQuercusの研究の方向性など、貴重な情報を頂いた。もう少し考える必要がありそうだが、大変参考になった。気がつくと、もはや4時。山にいると時間が経つのが早い。

ブナの開花

2007-05-10 | フィールドから
・午前10時半ごろ、久しぶりに元技術職員の高橋さんに来ていただいて、一緒にブナの開芽調査。雪害の程度を細かく記録。とりあえず、曲がり、折れの本数を記録し、全体に与えている被害の程度をスコア値(6段階)で評価。天城産のものに被害が多いようだ。これまた産地間差が明瞭に出そうで面白い。開芽はまたぐっと進み、ステージ3に進む個体も出現しはじめている。



・と、高橋さんから、「あれは花じゃない?」というお言葉。しかも、当方が気がついた高千穂No.10ではない。よく見れば、確かに花らしきものが1個だけ開花している。相変わらず、すごい観察眼で、ブランクを全く感じさせない。問題の高千穂No.10はというと、誰にでも分かるくらいに開花している。梶先生の指摘どおり、他の葉芽よりも早く開花すると同時に、その部分の葉も展開している。皆さん、よく見ているもんだ。



・2時ごろ、森林総研の谷さん到着。早速、スギの測定にかかる。どうも色がおかしく、先枯れしているものも多数あり。もともとの根っこの状態が悪かったのにくわえて、いきなりの低温と乾燥に戸惑っている感じ・・・。だが、枯れそうか?と言われるとそうとも言い切れない感じ。赤褐色になりながらも乾いた感じのないものも多数あり、本州では見ない雰囲気だとか・・・(九州でも見ない)。これぞ、ここに植栽試験をした意義でもあるんだが、最初のうちは単に苗木が悪いのか、遺伝的なものなのかを判別するのは難しそうである。

オタマジャクシ

2007-05-06 | フィールドから
・実にさわやかないい季節である。GW最後の本日は、家族に付き合ってもらって、樹木園のブナ開芽調査。ここのところの暖かい日和に誘われて、東北・北海道グループは一気に開芽が進み、ついに1個体は完全に緑の葉が展開した。福井の辺りの開芽が早いのも昨年と同じ傾向と・・・。



・梶先生収集のブナの方も青森産の芽が動き始めた。全体的にはまだまだである。てっきり、こちらの方が早いと思っていたのだが、ちゃんと調べてみないと分からないもんだなあ。



・お、キタコブシが開花、と。そういえば、通勤途中でもいくつか開花が見られている。キタコブシは何年かに一度、花がとても綺麗な年がある(つまり豊作)のだが、今年はそんな予感。ちなみに、ヤチダモの雄花も膨らみ始めており、当方の中では、ヤチダモも今年は久しぶりの大豊作と予想されている。



・帰りがけに池の辺りに立ち寄ると、水芭蕉の花。



・子供達と池の中の水生昆虫など観察。昨日名前を覚えたばかりのマツモムシはここにもいる。と、ひしめきあうオタマジャクシを上の子供が発見。まだ孵ったばかりですごい数。このうちどのくらいカエルになるのだろうか・・・。


ブナの花?

2007-04-29 | フィールドから
・今日も上の子はバスケットの試合である。が、当方はブナの開芽調査があるので、付き添いはお休み。妻、下の子に付き合ってもらって、休日ながらブナ開芽調査。だいぶ芽は伸びてきたが、まだ開芽とはいえない状態である。いつもの定点観測の写真はこんな感じ。



・と、ここで、高千穂の1個体(No10)に、妙に丸っこい芽が着いていることに気がつく。最初は単なる個体差か、あるいは虫こぶかと思ったが、剥いてみると花らしき組織が。いわゆる葉の芽とは剥いた感じが全く違う。雌花だろうか・・・。ステージがもう少し進めばはっきりするだろうが、今年は少々開花も見られるかもしれないということで、一つ楽しみが増えそうだ。



・一通り調査終了後、カラマツ林の下層にてノラニンジンを摘む。フィールドハンター(?)O氏の情報はさすがである。山菜自体はそれほど好きではないのだが、こうして摘むのは楽しい。我が家にて、食べきれるくらいの少量を摘んで、収穫の喜びに浸る。



・おっと、また新しい花が咲いている。黄色でこの感じは、ユリ科のキバナアマナであろうか・・・。訪れるたびに新しい花が迎えてくれるようで、全く飽きないところである。



エゾマツの需要と供給

2007-04-27 | フィールドから
・旭川の林産試験場にて、エゾマツ研究会。総勢70名のうち、30名は当機関からの参加。林産試験場は昭和25年設立され、林産試験を中心に行う80名以上の研究者からなる巨大な研究機関。まずは講義室で、話題提供を受ける。

・一つは名寄市のクロエゾ人工林についての説明。以前、エゾマツ研究会で現地検討した場所が風害で倒れたとのこと。人工林は1929年、2000本/haで植栽。下刈りは1929-1939まで16回、6回の間伐が入っている。写真を見る限り、かなり生育がよいらしいが、風倒被害は相当なものであったらしい。

・もう一つ、道立林産試の佐藤さんからクロエゾ人工林の材質特性についてのお話。先の風倒被害木を調査したとのことだが、結局、天然クロエゾと人工林のクロエゾでは、年輪幅は大きく異なるものの、材密度、圧縮強さ、曲げ強さなどはそれほど変わらない。クロエゾ人工林の材質は決して悪くないので、これから使えるようになるといいですよ、という力強いお言葉であった。



・道立林産試の場内を見学した後、場所を移して麻生木材工場の視察。クロエゾを挽いている現場を見たのだが、65%がトドマツ、30%が北洋材で、扱っている量は全体の5%未満だとか・・・。この工場では、枕木の取り扱い量はハンパではなく、元々、枕木生産と坑木生産で会社を興したそうである。単線、複線、引込み線、その間などで微妙に枕木の大きさが違うのが面白かった。

・お話を伺う限り、エゾマツ材についての潜在需要はあるが、供給体制が全くなっていないことがよく分かる。色々と議論する中で、やっぱり今からでも造林をしていく必要があり、そのためには苗木を生産する必要があること、その前に種子を確保する必要があること、さらにその前に母樹林の指定が必要があることを感じた。川下を見て、川上の必要性が強く感じられたのは、ある意味、収穫であった。

フキノトウの花

2007-04-26 | フィールドから
・昨日の夕方は、北海道大学の飯島くんにD論の内容(エゾマツとトドマツの倒木更新)を分かりやすく勉強会で話していただいた。両名にはそのまま宿泊していただいて、今日は雨交じりの中を案内。まず、直営現場に行く。標高800mを越えているので寒い。エゾマツ疎林を穴を広げるように伐採し、樹群単位で管理しようとする試み。そのせいか、伐出される材はなかなか粒ぞろい。それなりにいい値がつくんではなかろうか。



・しばらく見たのち、ストライプ状に伐採し、低密度植栽する現場を見る。現在は切り倒された木々が折り重なっている状態。30m幅なので、ずいぶん空けたようにもみるが、両脇のエゾマツの樹高が大きいので案外天然更新も期待できるかも・・・。乾燥のモンダイはそれほど大きくならないかもしれない。



・渋谷先生と択伐施業について雑談。蓄積ベースの従来の基準では、蓄積は保たれるものの、サイズ構造が崩れてしまう、というのは当方の意見と一致している。しかし興味深かったのは、樹高が高い木があると他がそれに追いつくために伸びるのだが、いったん”小さい森”にしてしまうと、勢ぞろいして止まってしまう、という垂直方向のお話。確かに、空間利用としてはDBHよりも樹高に注目する方が理にかなっている。

・久しぶりに岩魚沢保存林に行く。雪が薄くかぶっており、なかなか歩きやすい。かと思うと、ごそっと足元が抜けたりして・・・。この時期、普段は乾いている林床が氾濫して小さな川のようになっている。こうした攪乱は種子散布にも大きな影響を与えていそう(特に、水に浮く種子については・・・)。



・飯島くんとは”倒木ふぁん”としてのマニアックな会話。さすが、一目見ただけでこの倒木は皮がむけて、実生が辛そうな倒木ですね、などと適切なコメントを頂く。と、突然、渋谷先生がテレビで”山菜採りおやじ”がフキノトウは雌雄異株で、雌雄で味も違うし、雌が先に咲く、ということを言っていたというのを思いだし、「えー、そんなことがあるの?」と騒然と(?)なる。岩魚沢では、どうも雌しかないようで・・・。


・樹木園では、ブナ産地別試験地などを見ていただく。やっぱり産地試験地は見れば分かるので、インパクトが大きいようである。と、ここでもフキノトウが気になってしまう。うっ、この花は色が違う。明らかに雌とは違うようだ。これが雄か・・・と思ったら、おしべのなかにめしべらしきものが・・・。ということは両性か??つまり、”雌性両全性異株”というのが正解であろうか・・・。身近な植物なのに知らないもんである。しかし、”山菜おやじ”の観察眼はすごい!

<右が雌、左が両性(だと思っている)>